GABLES RESTAURANT

店にいるネコ。迎えてくれたと思ったら、サッサと居眠りに入ってしまった。

コラバには数軒のゴア料理屋があるようだが、入店すると「いらっしゃい」と、にこやかに寄ってきたので、私はてっきり店のネコかと思ったのだが、「店のペット」装って居座るノラ猫であった。

スタッフたちは特に気にする様子はない。愛想よく、人前では行儀よくしておくことは、ノラ猫が快適にサバイバルしてゆくコツである。3食昼寝付きで、お客がいなければ客席で寛ぐ権利も与えられているという、破格の待遇だ。閉店時に外に出るのは自由だが、店内に居たければそのまま滞在できるようだ。ノラというよりも、ほとんど飼い猫に近い。

どうやら、飼い慣らされているのは、ネコのほうではなく、店を切り盛りする人間の側であるようだ。

さて、インド全土でゴア料理店が見られるわけではないが、英領期にはゴアのクリスチャン料理人たちが広く分布した。遠く離れたデリーや連合州(現在のUP)その他の英国人その他欧州系の家庭やクラブで重宝されたからだ。食材のタブーがなく、クリスチャンであるという安心感(英国人たちが生活する地域のコミュナルな問題と無縁でもある)が主要因だが、彼らのポルトガル・ゴア折衷料理も楽しまれたことだろう。

英国人たちは男性が単身で渡ってくるのが大半だったが、ポルトガル系のカトリックのゴア人が女性と結婚する例も少なくなかったようだ。これについては、在印英国人社会では「堕落」と捉えられることが多かったらしい。彼らが「ネイティヴ」であることに加えて、カトリックであるため、子供が生まれるとプロテスタントではなく、カトリックとして育つことが懸念されたともいう。

フィッシュカレーでご飯を食べて、食後にチャーイを楽しんで一息つく。店のショウウインドウには、ゴア名物の菓子でポルトガルにルーツを持つ「ベビンカ」も置いてある。ムンバイに居ながらにして、ゴアのムードを味わうことができる空間だ。

GABLES RESTAURANT (Zomato)

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

 

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