デリーで、かねており聞いていた古いハヴェリーを改装してオープンしたホテルに食事に出かけた。チャーンドニー・チョウクの庶民的な細い路地を進むと、前触れもなく「ジャジャーン」と突如あらわれる唐突感も良い。
元々、ジャマーマスジッド周辺やチャンドニーチョウク界隈には、ムガル時代からの貴人や富裕層が暮らしていたため大きな邸宅(ハヴェリー)は多かったのだが、印パ分離により、そうしたムスリム上位層が大量に流出した。そこに庶民層(のムスリム)やパキスタンから流入してきたヒンドゥーの避難民などが定着したがゆえに、大きな屋敷が細分化されて住居や店鋪となったり、集合住宅化したりしているため、往時の姿を留めていないものがほとんどであるため、このホテルは大変貴重な試みであると言える。
この施設HPには、ハヴェリー修復の「Before & After」の写真も掲載されており、これもまた大変興味深い。界隈にいくつもある荒れ果てたハヴェリーも、実は「磨けば光る玉」であることがお判りいただけることと思う。
※内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。