ムルシダーバード

オートの若い運転手はとても感じの良い人でとてつもなくおしゃべりなのもいろんな話を聞けて良かった。

ラージバーリー、文字通り領主の館なのだが、現在の当主はコールカーター在住とのこと。年に一度、ドゥルガープージャーの時期に一族が集まる習慣になっており、その他の時期は不在となる。

ここで働く年配女性に館内を案内してもらったが、本日雇った若い運転手によるベンガル語からヒンディー語への通訳なしには、私には何もわからなかった。運転手はとても感じの良い人でおしゃべりなのでいろんな話を聞けて楽しいが通訳としても活躍してくれた。

残念なのは、館の中は撮影禁止であること。オーナーは、使用人が観光客から心付けをもらって館内を見せるのは黙認しているようだが、写真については厳しく禁止を言い渡しているそうだ。「ネットに拡散されたら私はクビですから」とのこと。そんなわけで敷地外の柵の外から建物の外観しか撮ることができなかった。中も見事なもので、欧印折衷の華やかな館。屋敷内に家族専用な立派なお寺も複数ある。

界隈には他のラージバーリーがある。同じ一族が異なる目的(商取引等のための事務所など)のために複数の館を持っていたそうだ。ここに来る途中で、クリーム色の壁でボロボロになった屋敷も見えたが、それはすでに廃屋とのこと。

ラージバーリー

現在も整備してあるこの屋敷は、もともと一族の居住用であったので、現在も彼らが一堂に集まる際に利用しているとのことだ。屋敷の一部は、ROOPKATHA GUEST HOUSEという名前で宿泊施設になっており、きれいなレストランも併設している。

こちらのサイトにこのラージバーリーの来歴等が記されている。

他にも見学できるラージバーリーがあり、入ってみたのだがかなりひどく荒れていた。もったいないが、本来の修復ではなくコンクリートでやってしまっていたものもある。費用が安く済みメンテナンスの頻度も少なくて済むのだろう。私有財産なので、所有者がどのように処理しようが、こればかりはいかんともしがたい。

ラージバーリーだがハザールドワーリーを想起させるファサード
このラージバーリーもハザールドワーリーを模倣した正面となっている。
かなり残念なコンディションのラージバーリーもある。

壮大なイマームバーラーは残念ながら中に入ることはできなかった。修復作業が行われていたからだ。こうした場所でしばしばあることなのだが、全館このような形にするのではなく、部位ごとに異なるフェーズで修復を実施し、工事中でも該当エリア以外は見物できるようにしてもらいたいものだ。近年も旧パティヤーラー藩王国見学の際、パレスのひとつがそのような具合で見学できなかったことを思い出した。

イマームバーラー

これと向かい合う場所にあるベンガルのナワーブの宮殿であったハザールドワーリーは現在博物館となっているため見学することができる。

ハザールドワーリー
ハザールドワーリー
ハザールドワーリー

イマームバーラーやハザールドワーリーのようなハイライトはもとおり、それ以外の規模の小さなマスジッドや遺跡などにも実に見どころが多いことに驚かされるムルシダーバード。まさに古都としての趣にも満ちており、できれば2、3日滞在してじっくり見学したいところだ。時間の制約があり、午後の列車で出なくてはならないのが惜しい。

マスジッド
マスジッドの遺跡
マスジッド風の意匠のヒンドゥー寺院
ヒンドゥー寺院
見事なハヴェーリー
オランダ人墓地
オランダ人墓地
オランダ人墓地

オランダ人墓地などを経て、最後に訪問したのは、総レンガ積みのカトラーマスジッド。石材をほとんど産出しないベンガル地方ではこういうタイプのマスジッドや寺院が多い。

カトラーマスジッド
カトラーマスジッド

古都の趣があるにもかかわらず、現在のムルシダーバードは「だらだら広がる大きな村」になっていて、この地域の中心地は隣のベルハムプルになっている。ASI(インド考古学局)管轄下にある遺跡はもちろんのこと、民間所有のラージバーリーに至るもチケット売り場には「外国人料金」なる10倍から20倍もの料金を掲げているが、実際には適用されない有名無実なものになっているようだ。

この地方の秋の風物詩として、束ねたヨシの茎をきれいにクロスさせて干している風景がある。これを水に浸して腐らせてからとりだした繊維で紐を作るのだ。あとは繊維を取るだけの段階で建物にかけて干していたり、道路に 広げて干していたりするのを見にする。

ヨシの束を乾燥中

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください