濁った海水の上のさざ波と黒々とした砂州というか干潟というか・・・が大きく広がっている。その黒い砂州には塩田もあり、砂鉄分ともヘドロともつかない土壌の上で作られる塩のミネラル分だか有機分を思うと、工場でケミカルに作られたもののほうがちょっとはマシかねぇ?などとぼんやり思っているうちに、飛行機はスーラト空港のランウェイに滑り込む。
スーラトの街は想像以上の大都会だった。しかも豊かで華やか。街自体や建物の造りも大きく、まるでムンバイあたりに来たかのような気さえする。先進的だ。
94年にペストが発生して50名以上が亡くなったり、700名にも及ぶ人々が感染したりするという出来事が起きたのはこの街だったため、なんとなく「物凄く不潔な街」という先入観が刷り込まれていたのだが、このパリッとした清潔感は一体なんだ?とひっくり返りそうになる。
宿からオートでモーディー・アーターシュ・ベヘラームへ。オートの運転手は、パールスィーの人たちが礼拝から戻るときの姿を見て、ムスリムだかパールスィーだかよくわからないようで、「ありゃ、これはマスジッドかな?いやアーターシュ・ベヘラームと書いてあるからパールスィー寺院だ。」などといっている。確かに装いは見た目似ているし、これがオールドデリーなどだったら、この姿を見るとムスリムであると認識されるだろう。
ちょうど着いたところでバールスィーの参拝客の人たちが出てくるところであったので、少し話をしてみる。パールスィーの女性たちの中には信じられないくらい美しい人がいる。今日の女性もそうだった。パールスィーでない相手と結婚するとパールスィーではなくなってしまうため、物理的にパールスィーの人たちにはイラン系の形質が引き継がれていくことになる。そのためとりわけ数人集まっていると、パールスィーであることがまちがいないことが見てとれる。ここもまたパールスィーでないと入ることはできないのだが、敷地入口のところまでは入れるので、そこから首を伸ばして敷地内を覗いてみる。
〈続く〉
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