2月26日午前3時半(インド時間)にパキスタンへの領越境空爆が実施された。
パキスタン側の反応時代で核保有国同士の戦争となりかねない事態となった。今月14日にカシミールでインドの治安部隊を狙った大規模なテロが起きる前まで、あんな融和ムードであったのに、わずか12日でこのように急変してしまった。まさに印パ関係の難しさを象徴しているようだ。
インド空軍によるパキスタン領内のテロ組織への「サージカル・ストライク」を賛えるAAP(Aam Aadmi Party庶民党)のアルヴィンド・ケージリーワル。個人的には最も好意を持てるクリーンで誠実、民主主義を尊ぶ政治家だが、こういう人でも対パキスタンとなると、タカ派となる。
実はこの関係については、右翼のシヴセーナー、BJPから中道の会議派、左翼の共産党まで、全党一致でパキスタン強硬派しか存在しないのがインド政界。
インドによるパキスタン領内への直接攻撃は2016年にもパ領カシミールにて小さな規模で起きたが、あのときはパキスタンはそうした攻撃自体を否定したが、さすがに今回は次元も方法も違うので、同じようにスルーできない状況だ。
Kejriwal lauds IAF pilots for striking terror targets inside Pakistan (THE TIMES OF INDIA)
今回の空爆について、インド側はあくまでもパキスタン領内にあるテロ組織のキャンプを叩くための「サージカル・ストライク」であったと強調している。
当初は「インド軍機がパキスタン領内を侵犯。これを受けてパキスタン空軍機が緊急スクランブルをかけて、侵犯機を領外に追いやった。侵犯機は爆弾を投下したが被害はなし」というような発表をしていたのだが、インド側による華々しい成果の公表と、標的となったバラーコートにおける人的・物的被害の大きさから、発表の方針を転換した模様だ。
しかしながら、インド軍が攻撃した先は市街地ではなく、パキスタン軍の庇護下にあるとされる過激派組織のトレーニングキャンプであったので、「被害なし」という部分については変更できない。
しかしながら、今のところ幸いであるのは、パキスタンは少なくとも現時点までにおいては、それなりに抑制の効いた対応をしているように見えることだ。
NSC on LoC violation: Pakistan will decide time and place of response to India (GEO News)
「パンドラの箱」を開けてしまったのは、果たして今月7日にカシミールで移動中のインドの治安部隊へ大規模な攻撃を仕掛けたパキスタンのテロ組織なのか、本日の越境空爆を実施したインドなのか。
それにしても、パキスタンに本拠地を置くテログループがこれまで幾度もインド側に出て、こうした事件を起こしている(多くは最後に自爆する覚悟で来ている)ため、もういいかげんインドの堪忍袋の緒が切れたという具合だ。
今後の進展がとても気がかりなところだが、パキスタンという国にとっては、自国のありかたをしっかり見直さなくてはならない、これまでの責任を取らなくてはならないときに来ていることは間違いない。
繰り返されるテロについて幾度も抗議しつつも、まともな対応をしない相手国を容認する国がどこにあるだろうか。
IAF strike in Pakistan killed 300 terrorists: Government source (THE TIMES OF INDIA)