高い基壇の上にふたつ、あるいはよっつのミーナールを立てた井戸は、シェカワティー地方特有のものだが、なぜこうした構えになるかといえば、キャラバンを組んでやってきた人たちにも、井戸の存在が一目瞭然であること、そこに集落や町があることを知らせる役割もあったという。
小さな町というか村というか?という程度の規模しかないアルスィーサルだが、それに似つかわしくない大きさの寺院あり、ハヴェリーありといった有様は、ここがオアシスの町として栄えた過去を象徴している。
この井戸は、規模はもちろんのこと、塔の高さ、周囲にチャトリーも備えられているとなどからも、シェカワティーでも第一級といえる。華麗な装飾は、本来赤と青を基調としたフレスコ画と違って、1910年代から1950年代に多用された手法を用いたものである。つまりその頃には大量に手に入るようになったペイントを用いたものである。
今日のシェカワティーでは、一見華やかに補修されたものの多くが、この類の方法でなされている。それでも、何もせずに朽ちていくよりはよほどいいのではないかとも思う。