不覚にも、今ごろになって知ったのだが、パキスタン建国の父、ムハンマド・アリー・ジンナーの娘、ディーナー・ワーディヤーが11月に亡くなっていたそうだ。享年98歳。
ジンナーとゾロアスター教徒富豪出身の奥さんとの間の子、ディーナーは長じてゾロアスター教徒出身のクリスチャン実業家と結婚。私生活では母方の人脈との繋がりが濃密だったのかもしれない。
父は建国したばかりのパキスタンの初代総督となったが、娘のディーナーはインド人としてムンバイーに残った。
為政者が勝手に描いた国境線のため、親族がこちらとあちらに引き裂かれるケースは多いが、為政者ジンナーは自身の家族が印パ両側に分裂した。
いかに有能な政治家であっても、家庭のこととなると、また別の話となるようだ。インドを独立に導いたガーンディーもまた、ほとんど聖人に近いイメージで伝えられる姿の裏にあった「父親としてはいかがなものか?」と思われる有様は、映画の題材にさえなっている。
印・パ分離時にインドに残ることを選択したディーナーは、後に米国に移住しているが、近年の風貌は父ジンナーの晩年にそっくりだ。それはともかく、ムンバイーでディーナーがインド政府相手に係争中だったジンナーの屋敷についてはどうなるのだろうか。
Dina Wadia | Passing away of Jinnah’s only child (The Daily Star)