GR Digital Ⅲ

久々にカメラについての話題を取り上げてみたい。2009年8月に発売されてから1年経過のGR Digitalシリーズの現行機である。値段もかなりこなれてきており、発売直後は7万円台であったように記憶しているが、現在は販売店によるが、安いところでは4万円強で売られている。

初代GR Digitalは2005年10月に発売された。後継機のGR DigitalⅡは2007年11月、そして現行のGR DigitalⅢは2008年8月にリリースされた。コンパクトデジカメとしては2年間というサイクルはかなり長い。GRシリーズの次期モデルが出るまであと1年くらいはあるため、しばらくすると4万円を切る店も出てくるのかもしれない。

私自身、銀塩のころからGRを気に入って使っていたので、『いつかGRのデジタル版が出ないものか?』と心待ちにしていたのだが、ついに2005年にGR Digital登場。これを発売日に購入して以来5年近くなる。

一眼レフ並みに操作性が高く、機能も充実しているカメラだが、レンズは28mmの単焦点なので、『これ1台で何でもかんでも撮る』というわけにはいかない。それだけに、いろいろと頭をひねって工夫を加えて撮影するのが楽しく、そうすることが可能かつ快適で極めて自由度の高いカメラである。

それでも、このところエラーが頻発するようになってきた。電源が入りにくくなったり、それとは逆にオフにしてもレンズ鏡胴が引っ込まなくなったりといった、ハード面での不具合である。そろそろ寿命が近いのではないだろうか。

そんなわけで、現行のGR DigitalⅢのほうに目が行くようになるのだが、さすがにデジタルの世界で4年の時差(2005年発売の初代機と2009年に出た現行機)とでは、まるで別物のように大きな進化がみられる。

まずは開放値が2.4から1.9へと、2/3段ほど明るくなったため、感度を上げずとも手持ちで撮影できる機会がより多くなる。スナップや風景にも、記録用としてモノを撮る際にも明るいレンズのメリットは大きい。インドでは概して夕暮れ以降は街中も室内も暗いが、だからといって感度をむやみに上げると画像が荒れる。そんな『昼間しか使いものにならないカメラ』では困るのだ。 

加えて高感度域でのノイズもかなり軽減されている。初代機ではISO400くらいになるとかなりノイズが増えるため、ISO200以下でしか使う気がしなかったが、現行モデルではISO400まで特に問題はないし、ISO800くらいまで上げても、なんとか我慢して使えるかな、といった具合だ。明るいレンズと合わせて、夕方から夜にかけて使用できるシーンが増えることにもなる。もちろん大型のセンサーを搭載したデジタル一眼と比較するわけにはいかないのだが。 

フォーカス性能も格段に良くなった。初代機も発売当時としてはキビキビ動作するほうだったが、少し暗いところではすぐにフォーカスに迷いが生じていた。現行機ではちょっとした暗がりでも小気味良く合焦する。 

またホワイトバランスの精度がかなり向上していることに加えて、『マルチパターンオートホワイトバランス』というセッティングも用意されている。色温度が異なる光源が複数混在しても、それぞれ見た目に近い色合いを再現できるということになっている。

背面の複数のキーに、様々な設定を割り当てることができて便利なのは初代機もそうであったが、さすがに2世代分進化すると、使い勝手も飛躍的に向上している。よく使う細かなセッティングを最大6パターン保存することができるのも便利だ。これらは軍艦部右側にあるモードダイヤルで呼び出すことになっている。

・・・と、いろいろ挙げてみたが、GRシリーズについてのレビューは、それこそネット上に沢山出ているので、操作性等について敢えてここで詳しく書き連ねる必要はないだろう。

操作感はもとより、従前の仕様を最大限継承する姿勢には親近感を覚える。設定メニューは基本的に共通しているため新型機種を手に取って戸惑うことはない。外観もほぼ同一といってよいくらい非常に似通ったものである。

GR Digital (第1世代)

GR DigitalⅡ(第2世代)

GR DigitalⅢ(第3世代)

現行機であるGR DigitalⅢは、先代よりレンズの径が少々大きくなった分、ボディの嵩もほんの少し増えたが、並べて見ても一目ではそうとわからない程度だ。ゆえに買い替えても、これまで使っていたモデルを引き続き愛用しているかのような気にさえなる。

電池については、液晶画面の大型化(現行機は3.0型。初代は2.5型、その次が2.7型)に伴ない、容量も大きくなっている。カメラ屋の店員には、カタログだけチラリと見て『バッテリーの型番が違うので旧型のものと互換しません』などと言う者もいるが、これは誤りである。容量が違うだけで、従前の機種のものもちゃんと動作するのだ。

ただし以前の機種のオプション類で使用できなくなったものもある。レンズの口径がやや大型化したため、従前のワイコンとアダプタは取り付け不可となった。ワイコンのアダプタがあると、必要に応じてフィルタを使用できて便利だったりもするのだが、薄着の季節でもシャツやズボンのポケットに無造作に放り込んでおける気軽さを生かして『生のまま』であっても、本格的なカメラとしての性能を楽しむことができるのが、このカメラの最大の利点かもしれない。

しかも先述のとおり、従前のモデルに比べてF値がかなり明るくなったこと、高感度設定時のノイズの軽減という進歩の結果、24時間活用できるカメラとなったと言えるだろう。

コンパクトカメラであれ、一眼であれ、およそデジカメなるものに通常愛着を感じることはないのだが、GRシリーズに限っては『壊れるまで使う』気になる。GR Digital Ⅲについても、今後長く使用することになるだろう。

そんなわけで、これまで幾つかのデジカメについて言及してきた、日常でも旅行先でも便利な『インドでどうだろう?この1台』の筆頭にGR Digital Ⅲを挙げたい。

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