日本の印象 インドのイメージ

ワンセグ画面
 BBC Hindiで、日本で今年4月から正式に開始された携帯電話等向けの地上デジタルテレビ放送『ワンセグ』について取り上げられている。今のところワンセグ受信に対応した携帯電話の機種はごく限られているし、テレビを視聴した場合のバッテリー持続時間の問題もある。NHK受信料については各世帯での支払いに含まれることになってはいるものの、単身者などで自宅にテレビを持たずにワンセグだけ観るという人も出てくるのではないかということから、一部ではこれまでの受信料とは切り離して論議しようという動きもあるようだ。
 しかし今後はワンセグチューナー対応のモバイルパソコンや車載テレビなども各社からいろいろ出てくる模様だ。すでにソニーからはVAIOシリーズのモバイルパソコンにワンセグ放送を受信できるモデルが用意されている。
名 前だけ先行して、まだまだ一般に身近なものとはなっていない『ワンセグ』だが、こうして海外のニュースで取り上げられているのを見ると、なかなかスゴイことのように思えてきた。(私自身はテレビをあまり見ないので、特に魅力は感じないのだが)
 BBC Hindiとは言うまでもなくイギリスの放送局がインド向けに発信しているものであり、コンテンツの作成には多数のインド人たちがかかわっているものの『地元メディア』とは言いがたい。しかしインドの新聞でもこうした日本の『ハイテク』なイメージを裏づける報道が新聞紙上で小さな囲み記事になることは多く、日本人と直に接触したこともなければ、日本を訪れたこともないインドの一般大衆の間で『ニッポンのイメージ』を形成するにあたり、こういったニュースが大きな役割を担っていることは間違いない。同時に一般の人々が日本におけるどういった事柄に関心を持っているかということの裏返しでもある。
 かつて日本でインドにかかわるニュース報道といえば、大きな鉄道事故、印・パ間の緊張、貧困、経済の停滞、カーストにかかわる問題といったネガティヴなものが多かった。 
 今でもそうした部分を伝える報道は少なくないが、IT産業の隆盛、順調な経済発展といった明るい材料がずいぶん多くなっている。そういえば日本でインド映画ブームが訪れたこともあった(・・・と過去形で語ることになるのは残念だが)し、かつて中華・洋食・和食以外の異国の味覚が広く『エスニック料理』という奇妙なくくられかたをしていたころもあったが、インド料理は日本の家庭料理として定着したかどうかは別にして、今や外食のポピュラーなチョイスとしてすっかり根付いている。それだけインドに対する興味や関心がやや広がってきたということになるだろうか。
 良くも悪くもある特定の国についての報道の多寡、ニュースのジャンルのバリエーションの広がりは、その国に対する関心の高さを如実に示す。ネパールにおけるインドにかかわるニュース、イランにおけるアメリカ関係ニュースの量を見てもそれは顕著であるし、私たちの東アジアにあっても、お隣の韓国におけるテレビ等での日本に関する出来事を伝えるニュースの量には目を見張るものがある。
 だが報道量が多いほどその国への理解や親近感が高まるというわけでは必ずしもないようだ。相互にほどほどに良好な関係を続けていくにあたっては、着かず離れずといった適当な距離感があったほうがいいこともあるのかもしれない。相互依存の関係が深まるほど、利害が大きく対立する局面もしばしば出てくるからに違いない。お互いに心地よい夢ばかり見ているわけにもいかず、厳しい現実や好ましからざる面も目に付くようになってくる。
 さて今後の日本とインドはどういう関係を築いていくのだろうか。
日本で携帯電話向けのテレビ放送開始 (BBC Hindi)
ワンセグとは(NHK)

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