往来が簡単になったバナーラス旧市街の路地裏。環境が完全に変わってしまったことに驚愕した。もはや旧市街の路地がまったく迷路ではないのだ。
昔は一度ガートに出てから目標の場所にたどり着けなかったし、知らない路地裏奥深くで夕暮れ時となると、大変心細かったものだ。人に尋ねて教えられたとおりに歩いたつもりでも、どこか違って見当違いのところをまだウロウロしていて、日没後元気になった野犬たちに吠えられて大いに困ったものだ。
雨季に来てみて、ガンガーの増水のためガート最上部あたりまで水に沈んでいるため、ガートからの迂回が出来ず、ダメだこりゃ!と気弱になったのだが、そんな心配はまったく不要であった。環境が驚くほど変わってしまったため、路地裏歩きがまったく難しくなくなっているのだ。目的地までスイスイと行けるし、混雑したメインストリートを避けて、空いている路地でショートカットという、昔は絶対に出来なかったことがカンタンに出来てしまう。
・・・と書くと、クネクネと捩れた、そして細くなったり、少し太くなったり、行き止まりになったりする、あの難解なバナーラスの路地が大規模な区画整理で整然としたものになり、見通し良くまっすぐに歩けるになったのかと思う方がいるかもしれないが、それとは全然違う。
路地は何十年前と変わらない。佇まいも変わらない。でも私たちの環境が完全に変わったからだ。何がといえば私たちが手にするスマホのGoogleマップである。あの難解な路地裏構成が、きちんとマップに反映されており、目的地を入れれば、最短ルートを即座に示してくれる。こんなことになっているとは想像すらしなかった。これでは迷子になること自体があり得ない。

こうなると苦手だったこの街の路地裏歩きが俄然楽しくなり、気の向くままにズンズン歩いてみるのである。どこにいるのかわからなくなったらGoogleマップで現在地を確認。さて、どこに行こうかと目的地を決めて、あとはマップの示すルートを辿ればどこにでも行くことができる。

ゴチャゴチャの路地への苦手意識が完全に払拭されて、もうバナーラスのどこでも行けと言われれば、まるで地元の人にでもなったかのようにスタスタとこの迷路を自由自在に往来できるのだから素晴らしい。

もはやバナーラスの路地で、あなたの行く手を邪魔する「難解な迷路」という障壁はもはや存在しない。あなたはどの路地裏でも無敵のセルフナビゲーター。くれぐれもスマホの電池切れにはご注意を。



