ジャングルウォーク
早起きしてチトワン国立公園のジャングルウォークに参加。参加、といっても、私以外にカナダから来た若い男性がいるだけなのだが、安全面への考慮からガイドが2人付くことになっている。
川、草原、深いジャングルと変化に富む国立公園を徒歩で行くのは楽しい。様々な水鳥を含めた鳥類、ワニ、サイ、何種類かの鹿などを観察することが出来た。
ガイドのひとりは、地元先住民のタールー族で、動物の生態に詳しいだけではなく、彼の民族や村の話も聞くことも出来たのは幸運である。
水際では、トラの足跡をいくつか見つけることも出来たが、歩いている最中にトラとばったり遭遇することがあったらそれはそれで困るかもしれない。ガイドたちが手にしている棍棒が威力を発揮することを願うしかない。
ちなみに英語のjungleは、英語の語彙を構成する三大要素であるローマン系、ノーマンフレンチ系、アングロサクソン系のいずれでもなく、インド亜大陸のजंगल(jangal)からの借用語。他にも、大航海時代から植民地期に至るまで、もともとの英語には無かった概念や事象などを表す語彙が南アジアのボキャブラリーから吸収されているのだが、jungleについても、それまで英語で抱えていた『森林』を意味する語彙では表現出来ない奥深さと、畏れがあったのではないかと想像したりする。
徒歩で歩くのは愉しいのだが、危険な野獣に遭遇して窮地に陥ることはないのか?ということがときどき頭の中をよぎる。そういうケースは皆無というわけではないようだが、これまでの経験値で危険は少なく、動物たちをそこそこ近くで眺めることが出来るコースが選択されているのだろう。それでもやはりちょっと気になるが。
ジープサファリ
宿に戻って昼食を済ませた後、今度はジープサファリに参加した。ひとつのグループ単位が10人ほどのようで、他のところで申し込んだ人たちと合流して1台のジープで回る。
だが当然、公園内の未舗装ではあるが、道路を走ることとなる。両側はジャングルであったり、深い藪であったりする。そのため動物はあまり見ることができなかった。何種類かの鳥、ハヌマーンラングール、アカゲザル、牛くらいある大きな鹿、クロコダイルくらいだろうか。
最後のほうで訪れた大きな沼には、ずいぶんたくさんのクロコダイルが日向ぼっこしていた。気持ち良さそうだが、非常に危険なワニ。すぐそばではワイルドボアが水際で草を食んでいたが、こういうのが餌食になるのだろう。
国立公園内のワニのブリーディングセンター外にいたのは、ベンガルタイガー・・・ではなくネコ。人が来ると、とりわけスナック菓子の袋をもっていると、足元にまとわりついてねだる。気品のある顔立ちで美しいネコだった。
午前中のジャングルウォークを100とすれば、午後のジープサファリは30点の赤点レベルであった。森林や灌木など、視界を遮るものが少ないロケーションでの場合と異なり、森林地域でのジープサファリはこれまであまり楽しめたことはない。大型の獣が道のすぐ近くに潜んでいたとしても、往々にして獣自身はこちらの動きをつぶさに観察しているものの、ジープ側からは見つけることが出来ず、というパターンとなる。
〈完〉