
朝5時半、スンダルバン・タイガー・キャンプのスタッフたちが敷地内を巡回して鳴らすハンドベルによる合図で目覚める。まだ頭の中が半分眠っている感じだ。テラスに出るとすでにチャーイとビスケットが用意されている。6時半にボートは出発。昨日よりも細いクリークを行くとのことである。トラはともかくして、水辺の小さな生き物の様子なども観察できるのかと期待したが、船は昨日のものと同じ。それなりの大きさがあるため細いクリークを往来することはできない。

ツアーに参加する前は、どこか島に上陸して散策することもできるのではなかろうかと思っていたが、それはできないことになっており、基本的に船に乗ったままで景色を眺めるだけである。

いや正確には幾度から上陸している。しかしそれができるのは金網で囲んで安全が確保された、遠くまで見渡せるウォッチタワーのある部分のみである。そうしたところでは足元はレンガを砕いた砂利で舗装され、公園のように整備されているエリアだ。
マングローブが生い茂る水際に足を踏み入れてズブズブと泥の中に沈む感覚を楽しんでみたり、それらの植物の根元に隠れているカニを探してみたり、広大なガンジスデルタでは一体どんな魚がいるのかと釣り糸を垂れてみたりということができるわけではない。
もちろんトラの危険という点がひとつ、そして足元がどこまでも茂みでよく見えないこの地域には、さまざまな毒ヘビが棲んでおり危険であるということ、水の中にも海ヘビが数多く棲息しているということもあるのだろう。もちろんそれらに加えて国立公園としての規則その他いろいろあるのだろう。

しかしながらどこか一部、マングローブの森林の中を歩き回り、そこでの生き物たちのありかたを五感で知覚できるような場所がひとつくらい用意されていてもいいように思うのだ。せっかくスンダルバンに来ていながらも、あたかもそれを窓ガラス越しに眺めているような(もちろん船にそんなものは付いていないが)気分にさせられるのである。












