ePaper, eMagazine

数年前からThe Times of IndiaHindustantimesなどといった新聞は、通常のウェブ版に加えてePaperと称し、紙媒体の内容をそのままの形で用意している。もちろん過去にさかのぼって紙面を探すことも可能だ。なお後者については無料のID登録を済ませれば、毎朝読者自身のメールアカウントに『Mornig dispatch』として当日のePaperが届いて便利。
『消費期限』がわずか一日と短い新聞に比べて、ニュース雑誌等は紙媒体のコンテンツを惜しげなくネット上に公開することについては積極的でなかったようだ。少し前まで、India Todayのウェブサイトは、定期購読者のみID等を入力することにより主要コンテンツを閲覧できるようになっていたものだが、最近は大きく様変わりしたようだ。現在、メインの記事はひととおりウェブ上で見ることができるようになっている。
読者からのフィードバックをウェブ上で受け付けるとともに、各記事の末尾には閲覧者自身が五段階の評価を付けることができるようになっている。インディア・トゥデイ側としては『情報公開』を今後の誌面づくりのためのマーケティングに大いに活用しようという姿勢に転換したのだろうか。
ウェブ版をそのまま斜め読みするのもいいのだが、最新号からバックナンバーまで、市販されたそのままのものを『eMagazine』として、表紙や広告等を含めて全ページ閲覧することもできる。文字サイズが二段階にしか調節できず、拡大してみても実際の印刷物よりもかなり文字が小さくて見づらいという向きには、まるごとPDFとしてダウンロードすることもできる。
India Today (English)
India Today (Hindi)
こうしたサービスが、India Todayの英語版、ヒンディー語版ともに利用できることに加えて、同じ版元から出ているMoney Today、 Business Today、SIMPLY DELHI、 SIMPLY CHENNAIなども同様だ。
近年、ウェブ上で豊富な情報提供がなされるようになったことに加えて、すでにニューズウィーク等で同じようなサービスは提供されているものの、インドの雑誌による『eMagazine』という試みも面白い。今後、THE WEEKFrontlineといった他のニュース雑誌もこの動きに追随してくれるとありがたい。

ポケットの中のインド

iPod
2001年に最初のモデルが発売されたアップル社のiPod。以前は携帯音楽プレーヤーといえば、ソニーのウォークマン、CDウォークマン、MDウォークマンや他社によるこれらの競合商品が店頭に並んでいたものだが、携帯性、機能性、収録できる曲数、拡張性どれも秀逸で、圧倒的な支持を得てこの分野第一級の定番商品となった。
これまでiPodを手にしたことさえなかった私だが、遅ればせながら私も購入してみたのは、第6世代のiPod Classicである。最近のモデルは動画機能が強化されていることが購入の動機。出先でヒマができたときにインド映画を観るのにどうだろうかと思ったのだ。

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ネットで体験する世界遺産

ネットで体験する世界遺産
 World Heritage Sites in Paranography というサイトがある。ここでは各地の世界遺産のパノラマ画像を360℃の角度から眺めることができるのだ。(閲覧にはQuick Timeのインストールが必要)
 日本やロシアのコンテンツは今のところアップされておらず、このサイト自体がまだ発展途上といった印象を受ける。しかしここで見ることのできる画像の美しさはもちろんのこと、画角の広さからその場の雰囲気もよく伝えていて興味深い。イランのイスファハーンの画像などは、卒倒しそうなほどに美しかった。最初は『ああ、こういうサイトもあるのか』と何の気なしにブラウズしていたのだが、知らぬ間に『呑み込まれて』しまい、ずいぶん時間が経ってしまった。
 もちろんインドについてもかなり手厚く25か所のパノラマ画像が掲載されている。南アジアの周辺国のものなども含めて、訪れたことのあるところ、ないところをあれこれと眺めてみるのも面白いだろう。
 どういう技術でこういう画像の作成が可能なのか、ハイテク音痴の私には皆目見当つかないのだが、こうした手法で各地の旧所名跡や風物を記録したギャラリーが増えてくるといい。遺跡の外に広がる景色をしばらくたどって行くことができたり、最寄りの町までの沿道風景をそのまま画像でフォローできたりする『仮想旅行体験』が用意されているとなお楽しそうだ。
WH Tour

日本でインド系放送の輪広がる


 昨年から日本で東京のMOLA TVと大阪のHUMTUM TVがインド、パーキスターン、バングラーデーシュのテレビ番組をウェブ上で配信するサービス(番組配信事業において両社は提携関係にあり、契約パッケージ内容・料金ともに同一)を行なっており、この一年ほどで取り扱いチャンネル数が次第に増えてきた。
 当初はヒンディー番組のみであったが、今ではパンジャービー、グジャラーティー、マラーティー、ベンガーリー、ウルドゥーと放送言語のバリエーションも広がっている。BTV(バングラーデーシュ)、PTV(パーキスターン)に加えて、南アジアのさらに他の国の放送をラインナップに加える予定もあるのだ。各現地語による放送番組をそのままウェブ上で流す、いわばケーブルテレビのインターネット版といえるだろう。
 この盛況を受けて、新たな会社がこの業界に新たに参入する動きが出てきている。IP電話を利用した安いプリペイドカード国際電話の取り扱い、国際線航空券の販売、自動車の輸出などを手がける株式会社ユアチョイスコーポレーションである。
 この手のサービスの広がりはADSLや光ケーブルによる大容量回線の普及を背景にしたものであることはいうまでもない。ZEE TV等の各放送局により国ごとに指定の番組配信取扱業者があり、これらの業者が番組を流すのは日本国内のみであること、番組で使用されるのはどれも現地の言葉であるため顧客の大部分が日本在住の南アジア系の人々であるため、日本における彼らの人口規模の相当な拡大が感じられる。
 契約者の大部分を占める南アジア系世帯の中で、番組視聴時間が最も長いのは主婦であるといわれる。在日の南アジア系の人々の中に占める勤労者は男性が圧倒的に多い。彼らは日中ずっと仕事で出払っており夕方の帰宅時間も決して早くはない。そのためあまりテレビを見る時間はない。だが夫の赴任についてきた奥さんたちの多くは専業主婦で小さな子供がいるケースも多いので家にいる時間が長くなる。そのためこうしたサービスが必要とされるのだ。結局のところネット経由のインド系テレビ番組の普及のカギを握るのは主婦らと小さな子供たちなのかもしれない。
 80年代末のバブルの頃から日本の街角では南アジア系の人々の姿が急増したのだが、当時は短期滞在において日本との間に査証の相互免除の取り決めがあったパーキスターン、バングラーデーシュ(そしてイラン)の人たちが工場や建築現場などで働いていたが、ほとんど例外なく単身で日本に来ていた。
 やがて日本の景気の悪化とヴィザ取得の義務付けと審査の厳格化により、彼らの数は次第に減少していくのとちょうど入れ替わるように増えてきたのがIT関連の業界で働くインド人エンジニアたち。やはり彼らもまた比較的若い年齢層の人たちが多いが、前者と大きく違うのは合法的な在留資格を持ち、いわゆる3Kの職場とはまったく違う環境での業務に従事するエリート的な立場であることはもちろんのこと。しかし日本での生活面でも大きく違う面がある。若い層が多いことから単身者も決して少なくないものの、奥さんや子供を伴って来ている人が非常に多いことである。日中多くの時間を家の中で過ごすことが多い彼らにとってこそ母国の放送がリアルタイムで受信できることのメリットは大きい。
 
 もちろんインドだけではなく、東南アジアや南米など各国の放送がネット経由で流れるようになっている昨今。在日の外国人等を相手に小さな会社が番組のパッケージを細々と切り売りする状況にも変化が現れるのではなかろうか。大手通信系会社が一手に複数の国々からなる大量のチャンネルを扱おうと試みることがあるかもしれないし、各国での大容量通信回線の普及が進めば、外国のそうした業者が日本国内に拠点を構えることなく、直接切り込んで来ることもあるのかもしれない。
 いうまでもなく、現在インド系テレビプログラムを日本国内で配信する業者たちは、各放送局と正規の契約を交わしたエージェントであり、放送されるコンテンツについては著作権等の関係も含めて法的に守られていることから、他社が勝手な真似をすることは許されない。それでも第三者によるプログラムの二次利用や再配信、そして『海賊放送局』など、いろいろ出てきそうな予感はする。
 かつて海外のテレビ放送受信といえば、巨大なパラボラアンテナを設置して海外のテレビ局による衛星放送を受信なんていう大掛かりでマニアックなものであったが、ここのところ急速に手軽で簡単なものになってきている。時代はずいぶん変わったものだとつくづく思う。こと通信や放送について、世界は本当に小さくなったものだとつくづく思う。

珍品エレクトロニクス

Islamic Mobile
 現在のLG電子に、1997年以前Gold Starブランドで販売していたころの白物家電メーカーのイメージ(今でもそれらは商品構成の主要な部分を担うが)を重ねる人は今やほとんどいないだろう。
 ソニー、日立、ナショナル、パナソニックといったグローバルなメジャー・プレーヤーの本拠地ニッポンでは存在感はほとんど無に近いが、パソコンやその周辺機器を含めたさまざまなハイテク分野で力を発揮するエレクトロニクス関連の総合メーカーに成長した同社は、高い技術力と旺盛な営業力をバックに世界各地に進出している。

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