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投稿者: ogata

  • ジャーゴー・パーティー 君たちは何者か?

    jago party
    今年1月28日に政党登録された『目覚めよ!』なんていう団体がある。日本のメディアに取り上げられることがあれば『覚醒党』なんていう名前が付けられるのだろう。彼らの雑誌広告には、以下のような主張が示されている。
    ・留保制度反対
    ・汚職者と性犯罪者に絞首刑を
    ・司法判断迅速化 判決を3か月で
    ・英語教育の普及による完全雇用
    ・民営化を推進し、すべての街や村に電気を
    この『ジャーゴー・パーティー』のウェブサイトにもう少し具体的に書かれているのだが、まずはトップページアクセスしてみよう。最初に表示される大きな画像に絞首刑の縄が揺れ、『汚職者と性犯罪者に死を!』なんていう文字がジワジワと出現してビックリする。やがて画像が入れ替わり『Reservationなんて列車だけで充分だ!』という文字が出てくる。
    パッと見た印象では、過激な行動をする団体かと思えるかもしれないが、よく読んでみると彼らが語りかけようとしている対象は、これまでどちらかといえば政治というものに冷淡であったり、無関心であったりした層であるように思われる。だからこそ『あきらめないで、みんなで声を上げよう』『投票に行こう』『輪を広げよう』などといった簡単でわかりやすいメッセージが記されているのだろう。そもそも先に挙げた彼らの主張自体が何ら目新しいものではなく、すでにいろいろなところからこうした意見は出されている。
    ただし彼らの注目すべき点は、人々の気楽な『政治参加』を促すための積極的な試みがウェブ上でなされている部分だろう。犯罪・汚職・不正などについての通報窓口が設けられており、ここに記録されている事案を閲覧できるようにもなっているのだ。
    地域やコミュニティなどといった縦横のつながりや、職場あるいは労働組合などとのつながりとも関係なく、まずは個々にネット上でつながりを持ったり協力したりできるようになっていることから、都市部でミドルクラス、郊外の新興住宅地の住民、転勤族といった人々の支持はもちろんのこと、いわゆる浮動票を集める勢力となることを狙っているものと思われる。
    権利意識の高揚、社会正義、行政への監視といったごくあたりまえのことをわかりやすく、そして政治参加への垣根を低くして人々の自発的な参加を促そうという、ごくまっとうな市民政党としての道を歩もうとしているように見えてくるのだが、果たして彼らは何者なのだろうか?その背景がまだよく見えてこない。ひとつにはその指導者の顔が出ていないという部分も大きい。同サイトに登録すれば、毎週ニュースレターが送られてくるとのことなので、とりあえずレジスターしておいた。
    社会のありかた、人々の暮らしぶりや考え方が急速に変貌しつつあるインドの『民意』について、既存の大政党では吸収しきれない領域が増えてきたからこそ、単一の政党がマジョリティを占めることはもはやなく、幾多の政党の寄り合い所帯の連立での政権運営がなされるようになってきたのだといえる。そうした中で、こうした形で広く市民の参加を募る政治活動は、うまくいけば既存政党が無視できない一定の勢力を築く可能性もあるかもしれない。彼らによれば、今後カルナータカのヴィダーン・サバー、そして中央のローク・サバーの選挙に打って出ることが記されている。
    これら直近の選挙ですぐにどうのということはないとは思うし、そもそもこのジャーゴー・パーティという試み自体がうまくいくのかどうかは不明だ。しかし既存の政党とは違う市民運動型の政党が他にも次々出てきてそれなりの勢力を確保するようになれば、旧来の政治団体の活動のありかたにも影響を及ぼすことになってくるのではないだろうか。
    それにしても、ジャーゴー・パーティー、君たちは何者だ?

  • 亡命者と母国

    チベット亡命政府こと中央チベット行政府(Central Tibetan Administration 略称CTA)は、インドのヒマーチャル・プラデーシュ州のダラムサラを本拠地とする。CTAのウェブサイトは、チベット語、英語のほかに中国語、スペイン語、ドイツ語、アラビア語、ロシア語そして日本語でも読むことができる。
    国家元首であるダライラマ14世のもとに、立法機関としての亡命チベット代表者議会、行政府としての内閣、司法機関として最高司法委員会がある。また文部省、財務省、内務省、厚生省、情報・国際関係省、宗教・文化省、公安省といった『省庁』それぞれに担当大臣がいる。またチベットにとって重要ないくつかの国々には、同亡命政府の大使館に相当する海外出先機関として代表部事務所が置かれている。日本もそのなかのひとつで、東京の新宿にダライラマ法王日本代表部事務所がある。

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  • 春近し

    今年の桜の開花は平年並みか少し早目であることが予想されているのだとか。さくら情報ウェザーニュースによれば、本日現在、都内で「一輪咲いた」という情報はチラホラ出ているらしい。ともかく花の便りがすぐそばまで近づいてきた東京である。
    開花とともに、いわゆる桜の名所が花見客でごったがえす時期を過ぎると、あとはぐんぐん気温が上がってくる。目にしみるように鮮やかな新緑を眺めながら外を歩いていると、軽く汗ばむ陽気。ようやく屋外イベントの季節が始まる。
    そんな時期のインド系・南アジア系の催しといえば、桜の季節恒例のインド大使館主催サクラバザーは、私がこれを書いている時点において、まだ開催は決まっていないようだ。大使館新築工事のため九段から麹町に一時的に移転していることもあり、どうなるのだろうか?
    4月20日(日)には、JBSによる『第9回カレーフェスティバル&バングラデシュボイシャキメラ』が開催される。足を運んでみるとベンガル人知人によく出会ったりするのだが、実際かなり遠くからやってくる在日バングラーデーシュの人たちは多いようで、ちょっと話してみると『愛知から来ました』『茨城からです』なんていう答えが返ってくる。
    開催地は池袋西口公園。豊島区の名所のひとつ(?)であるショヒード・ミナールが建っている場所だ。2005年の定礎式の際、来日中だったカレダ・ジア首相(当時)がここを訪れている。
    インドや南アジア関係以外で、近日開催予定のイベントとしては、3月30日(日)に代々木公園で開催される『ONEKOREA FESTIVAL TOKYO 2008』、同じく代々木公園で5月10日(土)および11日(日)に行なわれるタイフェスティバルがある。ご存知のとおり、後者はこの会場での催しものとしては年間を通じて最大級である。加えてまだ日程は出ていないようだが、今年もおそらく4月に飛鳥山公園で在日ビルマ人たちが主催する彼らのお正月イベント『東京ダヂャン』が開かれることだろう。
    身も心もウキウキする春の足音が、すぐそこまでやってきている!

  • コンパクトデジカメ新時代到来か シグマDP1

      
    発売前から大いに話題を集めていたシグマのコンパクトデジカメDP1。発売日前からメーカー発のサンプル画像、店頭で売り出されてからは購入した人々による作例がインターネット上にアップされていくにつれて、それらの画像の背景のボケ具合やリバーサルフィルムで撮影したかのようなコクのある風合いに心惹かれた。
    やはりセンサーが大きいと違う。APS-Cサイズのセンサーといえば、デジタル一眼レフの入門機から中級機にかけてのモデルに使用されている大きさだが、面積比にして従来のコンパクトデジカメで使用されているものの7倍から12倍にも相当する。それで良いレンズを搭載していれば、描写に格段の差があって当然だ。
    実際に触れてみると金属製のしっかりしたボディにツヤ消しブラック塗装で、それなりの高級感がある。よくリコーのGR-Digitalと比較されることの多いこのモデルだが、パッと見た感じはどことなく似ているような気がしないでもない。
    実物はかなり大きめなのではないかと想像していたのだが、意外なほどコンパクトにまとまっており、先述のGR-Digitalと並べてみてもそれほどの違いは感じない。ただしレンズ鏡胴部分が大きい突き出しは、やはり搭載しているセンサーのサイズがまったく違うことを物語る。
    上がDP1で下がGR-Digital

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  • 技術を学ぶ先としてのインド

    アフリカ、中東、東南アジア、南アジアの周辺国等々の途上国および中進国からこの国へ経済、金融、医学、薬学等々のいわゆる実学を身に付ける目的でやってくる人々は多い。もちろん欧米に留学するよりも費用が少なくて済むということもあるが、ローカルな言葉をみっちり習得せずに英語で学ぶことができて、しかもあらゆる分野において高い水準の充実した大学・大学院が存在するという基盤の高さがある。
    インドのライバル中国もまた留学生の受け入れには積極的で、コトバの壁はあれども中国が国費で招聘する者を含めたアフリカからの留学生もけっこう多いというと、意外に感じる人もあるかもしれないが、留学生受け入れは貴重な外交手段のひとつでもある。
    それはともかく、先進国とひとくくりにされる国々からは、インドで言語、社会、文化、歴史、政治、美術、舞踊等々、この国固有の物事を学んだり研究したりするためにやってくる人々は多いが、仕事でおカネになる実学を学ぶ目的でやってくる人はそう多くなかった(あまり目立たないが、決していないわけではない)といえる。そうしたごく普遍的な分野のことを学ぶにあたり、わざわざインドまでやってくる動機に乏しかったからだ。
    だが昨今はちょっと事情が変わってきている。IT関連を中心に、研修目的で若手社員を送り込む企業は多く、仕事に必要な技術や知識を身に付ける場所として認識されてきているインドだ。高いレベルの実務教育をリーズナブルな費用で受けることができるというコストパフォーマンスの高さという魅力は大きい。
    ソフトブリッジソリューションズのウェブサイトを覗いてみると、IT関係の様々な実務教育のプログラムが紹介されている。インドとの関わり方も時代とともにずいぶん変わるものである。10年後、20年後のインドがどうなっているのか、日本とどういう風につながっているのか想像もつかないが、インド社会のどこかに視点を据えて定点観測していくと、とても興味深いものが見えてくるはずだ。

  • シグマDP1 3月3日発売

    Sigma DP1
    常々気になっていたシグマのDP1が3月3日に発売となる。欧州でのエキシビションに出展して話題を呼んでからはや1年半。ずいぶん時間がかかったな、という印象を受けるのだが、この間にさまざまな試行錯誤が行なわれていたのだろう。

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  • 総体としてしっかり

    ムンバイーを本拠地として一定の影響力を持つシヴセーナー。地元マハーラーシュトラの民族主義を基とするヒンドゥー右翼政党だ。彼らの『ヴァレンタインデイ攻撃』については、よく外国のメディアにも取り上げられるところである。ヴァレンタインのギフトを売る店を襲撃したり、『西洋的な退廃の浸透だ』などと大げさなアピールをワアワア繰り広げたりする。
    数年前、ムンバイーで彼らがBJPとともに実行した『ムンバイー・バンド』を目の当たりにする機会があったが、前日に地元に暮らすU.P.州出身の運転手から『セーナー(シヴセーナー)のバンドは本当に怖いよ』と聞いていたのだが、実際あまりに暴力的かつ脅迫的なリーダーシップ(?)と、徹底した実力行使ぶりには背筋が寒くなる思いがした。
    ちょうどその時期、党の創設者であり最高指導者であったバール・タークレーが表舞台から退き、実権を息子のウッダヴに譲り移した時期だった。これまで長きにわたり強い指導力を発揮してきたカリスマが退くことにより、求心力が低下するのでは?という声を払拭するために、このときに起きたムンバイー市内でのバス爆破事件への抗議活動としてのバンドを実行するのは、都合が良かったのだろう。あまりに極端で過激な劇場型政治である。
    やはり代替わりの時期ともなると、新体制やその中での個々のリーダーたちの位置づけや序列などをめぐり様々な摩擦や衝突がある。翌々年のこの時期には、かつてシヴセーナーとBJPが連立した州政府首相まで務めたことがある大物政治家、ナラヤン・ラーネーが党を脱退してコングレスに加入して世間を騒がせたし、それまでウッダヴとともにシヴセーナー新世代の顔として、大親分のバール・タークレーの直近下位にあったラージ・タークレーも党を離れることになった。ラージは、先述のウッダヴのいとこであり、バール・タークレーの甥だ。

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  • 起源はひとつ カタチはいろいろ

    華麗なるインド系文字|
    華麗なるインド系文字(編著:町田和彦、出版:白水社)という本がある。
    この本の冒頭に『現在、南アジアと東南アジアで使用されているほとんどの文字は、歴史的にはたった一つの文字に起源をたどれる同系統の文字です。この根源の文字はインドで生まれたブラーフミー文字で、紀元前3世紀にまで遡ることができます』とある。こうした文字が伝播した地域のひろがりに、インドの圧倒的な大きさと影響力を感じずにはいられないだろう。
    対応する母音字、子音字、数字のひとつひとつが、ブラーフミー、デーヴァナーガリー、グルムキー、グジャラーティー、ベンガーリー、オリヤー、シンハラ、チベット、ビルマ、ラーオ、タイ、クメール、テルグ、カンナダ、マラヤーラム、タミルの各文字にて、発音記号と書き順を並べてあり、カタチをいろいろ見比べてみると面白い。
    またインド諸語の文字それぞれの音について、ざっと一覧できるのもまた便利かつ楽しく、せめて文字だけでも、これら全てを覚えることができたらどうだろうか?なんてあまり役に立ちそうにないことを夢想してみたりする。各言語を専門家による、それぞれの文字の概説なども巻末に書かれておりこちらもまた興味深い。
    起源はひとつといえども、さまざまなコトバを使う人々がそれぞれ伝達手段として、それぞれ独自に発展されていった『文字』の豊かな背景に思いを馳せると、本を手にしたまま時が経つのを忘れてしまいそうだ。文字マニアならずとも、ぜひオススメしたい一冊である。
    『華麗なるインド系文字』
    町田和彦編著
    白水社
    ISBN-13: 978-4560005552

  • ちょっと昔のインド

    1967年に初版が発行された『インド・パキスタンの経済』という本を手にしてみた。これは1964年に刊行されたMarie-Simone Renouの『L’economie de l’inde』の和訳。当時のインドと東西パーキスターンをあわせて『インド』という地域としてとらえ、英領時代末期1960年代初めにかけての亜大陸の経済を概観したものである。
    分離からまだ年月の浅い時期に書かれたものであることもあり、もともと相互補完の関係にあった地域がふたつの対立する新しい国に分かれたことによる損失にもスポットを当てている。現在インドの穀倉地帯として知られるパンジャーブ州だが、分離前のインドでは現在のパーキスターン側のパンジャーブやその周辺こそが穀倉地帯であったようだ。それゆえに緑の革命前にはインドで食糧が相当不足していたにもかかわらず、パーキスターンでは年に50〜70万トン前後の余剰小麦が生じていたそうだ。
    当時の第一次産品については、茶、米、小麦等々についての言及はともかく、特に目を引くのが『アヘンについていえば、これは中国に対する輸出禁止(一九〇七年)および一般的輸出禁止(一九三五年)、さらには国内における消費制限によりその栽培が阻害された。したがって、こんにちのケシの栽培は、とるに足りぬ状態となっている』とあるが、『第一次産品と工業中心地』として示された図の中には、タバコ、茶、ゴムなどといった品目とともに『アヘン』の記述があり、収穫がなされていた地域はビハール西部とU.P.東部にまたがる地域が示されている。
    また当時の映画産業について『製作フィルム総延長およびその投資額において世界第三位にある。また劇場数は、インド二千五百、パーキスターン五百、撮影所は、インド六十、パキスタン七を数える』とある。1947年の分離は、ヒンディー語映画の重要な市場を奪うことになったのだという。つまりパーキスターン側となったエリアによるヒンディー語作品に対する需要は、全体の5割にもなっていたと記されている。
    現在では世界最大級の国営企業としてどっしりとした存在感を示すインド国鉄。しかし19世紀半ばに建設が始まって以来、当時の政府が民間会社に委託してそれに対する補助金を支出していたもので、他に藩王国運営の鉄道などもあり、統一された事業体とはいえなかった。今ではブロードゲージに統一されつつあるものの、いまだに四つの異なる幅の軌道(ブロードゲージ、メーターゲージ、に加えてふたつの異なるナローゲージ)が混在し、効率的な運行を妨げる状況が長く問題となってきた。それがゆえに昨今のインド国鉄ではブロードゲージ化が着々と進められている。そもそもこうした場当たり的な敷設がなされたことの背景には、『国鉄』としての全国を縦横にまとめるネットワークとしての一貫したポリシーが欠如していたことを示している。この本によると、複数の民間会社が運営してきた鉄道の国有化が行われ、ひとつの事業体としてまとまることになったのは1954年のことだ。
    航空事業については、カラーチー・ボンベイ間に最初の郵便航路が開設されたが、当時の航空機の航続可能距離等の制約などから、おそらく最大の商都よりも地理的に西側にある街のほうが有利だったのだろう。国際線網はカラーチーを中心として欧州や中東各地を結ぶ路線が開設されたのだとか。
    一橋大学の黒崎教授による『パキスタン切手のたのしみ』によれば、1947年8月に独立したばかりのパーキスターンの郵便切手は、英領インドのものに『PAKISTAN』と加刷した間に合わせのもので、パーキスターンのものとして正規に印刷されたものが出たのは翌48年の7月であったとのことだ。郵政のみならず、インドとパーキスターンの分離独立から翌48年7月のステート・バンク・オブ・パーキスターン設立までのほぼ1年間に渡り、リザーブ・バンク・オブ・インディアがパーキスターンの中央銀行の役割を果たしていた。
    企業や組織などが合併したり、分割したりというだけでも、その渦中にある人は忙殺されてしまうとともに、業務の中でいろいろ齟齬やトラブルが生じたりするものだ。国の主権の移譲と分割というはるかに大きな動きの中で、これを取りまとめる当事者たちはさぞ苦労したことと思う。しかもその最中に戦争(1947年から49年までの第1次印パ戦争 )まで行なってしまったのだから、まさに動乱という言葉こそがふさわしい時代である。
    新書版のサイズで、広い範囲にわたりテーマごとに独立前後のインド経済の概略が簡潔に書かれており、手軽でしかも興味深い一冊であった。ウェブサイト『日本の古本屋』を通じて入手できるようだし、日本各地の図書館などでも借りることができるようだ。特に経済に関心はなくても、ちょっと昔のインドの世相に触れることができるオススメの一冊だ。
    『インド・パキスタンの経済』(マリー・シモーヌ・ルヌー著・黒沢一晃訳)白水社
    ASIN: B000JA7FPE

  • トラも大変 村人も大変

    先日、ZEE NEWSを見ていたら、スンダルバンのトラ保護区近くの村に侵入したトラが捕獲され、これを安全な場所に逃がしたという映像が流れていた。
    YoutubeでもCNNが流した同じコンテンツを見ることができる。 侵入した村で、そこに暮らす人々による反撃を受けて負傷したトラは妊娠中。追われてヤシの木の上に避難していたところを、担当官たちが麻酔銃などを使って捕獲、そしてケガの治療をしたうえでトラ保護区内まで船で運搬し、マングローブの森林地帯で解放したものだ。
    上記リンクのビデオは映像が終わってしまっているが、拘束を解かれたトラは河の中に停泊した船からビヨーンとジャンプして水中に飛び込み、河岸まで泳ぎついた後、泥地を跳ねながら彼方へと消えていった。
    スンダルバンとは、世界最大級のマングローブ森林地帯で、そこに育まれた豊かな大自然と貴重な生態系、トラやカワイルカなどをはじめとする希少な生き物たちで知られる。ユネスコの世界遺産に指定されている。インドとバングラーデーシュにまたがる広大な地域であるが、前者側では『Sundarbans National Park』として1982年に、後者側では『The Sundarban』として1997年に登録されている。つまりひとつの広大な地域『スンダルバン』が、国境を境に別々の遺産となっている。
    ラージャスターン同様、スンダルバンでも密漁によるトラの頭数の減少が心配されている。また本来開発が制限されている地域でありながらも、他地域からの人々の入植や伐採などにより、トラが生息できる環境がだんだん狭まってきていることから、彼らの行動圏と人間の生活圏の重なる部分が増えてきていることも大きな懸念材料だ。
    スンダルバンで村人が『トラに襲われて死亡』といった事件はしばしばメディアで報じられるところだ。通常、トラは獲物の背後から奇襲することが多いという習性を踏まえたうえで、後頭部にお面をかぶったり、農業や養蜂などで作業をする場所の近くに囮の人形を置いたりして対策を講じているようだ。それでもやはりトラの行動エリアと重なる地域で寝食することのリスクを取り除くことができるわけではない。この大型肉食獣は、本来の『食物連鎖』では私たちヒトよりも上位にある動物であり、他の逃げ足の速い草食動物を狙うよりも、丸腰で単独で歩いている人間を狙うほうが簡単であることは言うまでもない。
    西ベンガル政府には、Department of Sundarban Affairsという部局があり、スンダルバン担当大臣までいる重要な部署でもある。バングラーデーシュ政府には、そのものズバリ『スンダルバン省』なるものはないようだが、いずれの国も私たち人類が共有すべき貴重な『世界遺産』としてのスンダルバンをしっかり守っていって欲しいものだ。
    しかしながら、ここにもまた人々の生活があり、行政にしてみても財政的な制約があることなどから、保護といってもそう簡単なことではあるまい。豊かな自然を破壊するのは人間だけではなく、ときにその大自然自身もスンダルバンを傷つけることがある。昨年11月にこの土地を襲ったサイクロンは、スンダルバンの大自然にも相当なダメージを与えたようだ。
    ともあれ、WHTour.orgのサイトで、インド側バングラーデーシュ側ともに360度画像でちょこっと垣間見てみるのも楽しいし、Digital GrinBangladesh – In search of Man-eaterで、最近のスンダルバンの画像を眺めながら、広大なデルタ地帯に広がる深いマングローブの森林に想いを馳せてみるのもいいだろう。

  • 時代はアウトソーシング インドのビザ申請・交付業務

    昨年11月に『査証申請・引渡し業務の民営化』で取り上げたとおり、日本におけるインドの査証申請の取り扱いが変わった。それまでは大使館で申請の受付をしていたが、外交や公用といった一部の例外を除き、外部委託先の民間業者が申請受付と交付を扱うようになっている。
    もちろんこれは日本だけのことではなく、インド大使館はアメリカフランス韓国中国タイなどでも、すでに査証申請受付・交付業務の業者委託を実施しており、今後もイギリス他でも同様の措置がなされる。日々それなりにまとまった件数の査証申請がある国では、アウトソーシング化を進めることになるようだ。
    2年ほど前のものになるが以下のような記事がある。
    India to outsource visa processing (rediff NEWS)
    要は、今日のように大勢の人々が様々な目的で訪れるようになると、インドの在外公館が扱いきれないということだ。査証の必要あるなしは基本的に相互主義に基づくものである。しかし観光業が盛んな多くの国々がそうであるように、特に問題が生じていない国からの訪問者については、一定期間の滞在について査証を免除する独自の措置を講じるなり、ある条件のもとに到着時にヴィザを発給するといった便宜を図ってくれるとありがたいのだが、そういう簡略な方向に向かわず査証発給周辺の業務がひとつの『産業化』するのはインドらしいところかもしれない。
    さて現在、東京でのインドヴィザ申請は、インドヴィザセンターで行なうことになる。申請時間と必要なものはこちらをご参照いただきたい。
    以前に比べて便利になった点はいくつかある。午前中のみならず午後も申請ができるようになったこと(午前中に申請した場合は同日夕方受け取り、午後の申請の場合は翌日夕方受け取り)と土曜日午前中に申請だけは可能(受取は翌営業日夕方)となったことに加えて、申請・受け取りともに郵送で行なうことが可能になった点だ。通常の手数料1950円に1000円プラス、さらに返信用封筒に510円の切手を貼付することが求められるため合計3460円となる。申請から発行まで2週間ほどかかるようだ。
    開設当初、センターに電話するとインド大使館に転送されるようになっていたのは改善された。ただし職員の方々に直接問い合わせができるのは月曜日から金曜日までの午後3時から午後5時まで。他の時間帯は自動音声による対応となる。 ウェブサイトには『オンライン申請』を始めることが予告されているが、こちらについては実現までまだかなり時間がかかりそうだとのことで、現時点ではあまり期待しないほうが良いかもしれない。
    ともあれ久しぶりに日本でインドのヴィザを申請しようかという方、大使館のほうに出向いて時間をムダにされることがありませんようご注意を!

  • Namaste Bollywood #10

    20080218-namaste bollywood 10.jpg
    今度で第10号となるナマステ・ボリウッド。表紙はリティック・ローシャンとアイシュワリヤー・ラーイ出演の話題作『ジョーダー・アクバル』だ。今回は誌名ロゴの『ボリウッド』の部分をウルドゥー語の綴りに変身させての発行である。
    ここしばらく巻頭で女優たちの特集が続いていたが、今回は90年代後半にデビューした中堅どころと新世紀に入ってからの新進の俳優たちの特集だ。おなじみ巻末のBollywood Filmy Pedigreeはジャーヴェード・アクタル。
    その他楽しい記事が誌面に満載だが、今号では小さな囲み記事に注目。『今年から奇数月第3日曜日はボリ友の日』とのことで、いろいろ企画されているのだそうだ。同誌のウェブサイトにも書かれているが、第1回は3月16日(日)にCNC代表の野火杏子さんを招いて『読者交流会・ボリウッド講座 Vol.1』が開かれるとのこと。
    日本でも映画のジャンルのひとつとしてのボリウッドがジワジワと浸透していき、都会はいうに及ばず全国津々浦々どこにいっても常にひとつやふたつのタイトルが上映されている・・・なんていう具合になるかどうかは別として、今や日本で特定の国の映画やドラマを楽しむことについて、映画館で上映されるのを待つまでもなく、いろいろなソースがあるので、個々で日常的に親しんでいる人たちは相当多いのではないだろうか。
    それはさておき、今後ナマステ・ボリウッド誌のさらなる飛躍に期待しつつ、梵林(ボリウッド)愛好者各位におかれましては、日々新作・旧作織り交ぜ鑑賞にいそしみ、交流会にて大いに情報交換を楽しみ、ムンバイー発の多彩で豊かな銀幕の世界への愛情を深められたし。