西葛西にZEE TVがやってきた

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 いまや「東京のリトルインディア」に成長した(?)西葛西。東西線の駅近くのホテル内にあるレストランで、12月18日(日)クリスマスディナーパーティーが催された。現在、ZEE TVのチームが日本のクリスマス、日本に住むインドの人々取材するため来日中だが、この催しは彼らが取り組む番組制作の一環として企画されたものである。
 今年の春先から日本の東京をベースとするMola TVと大阪を本拠地とするHum Tum TVによるZEE TVその他の番組のインターネットによる発信(有料)が始まっており、その視聴者たちが招待されることになった。


 開会は6時と知らされていたが、6時20分あたりに着いてみるとやはりまだ人はまばら。7時近くなってからようやく会場に人が溢れるようになってきた。このあたりでやっと司会者が登場、「もうしばらくでテレビのクルーたちがやってきます。インド時間としては、ほぼ定刻のパーティー開始となります」という挨拶とも無駄口ともつかないおしゃべりがあった。  
 再びしばらく人々のざわめきの中で時間ばかりが経過した後、レストランの入口からどよめきが上がった。誰か有名なタレントでも現れたのかと思いきや、お待ちかねの「ZEE TV取材班」の登場である。
 ザワザワしてなんだかよくわからないうちに突然ゲームが始まった。ハウズィーという、ビンゴを少々複雑にしたようなものだ。みんな入場の際に配られたカードを手にして、読み上げられる番号とともに歓声を上げたり舌を鳴らしたりしている。景品は現金やZEE TVのロゴ入りTシャツ等々。
 ひとしきり盛り上がった後、食事の時間となった。参加者たちは皿を片手にビュッフェ台の前に並び、ドカドカ盛り付ける。ここは本来イタリアレストランなのだが、およそ半分はインド料理であった。おそらく外の専門店から運んできたのだろう。そしてサービスしてくれるのもインド人シェフである。。
 食事をパクついていると、フロアーの片隅では参加者たちへのインタビューが始まっている。日本にあってもさすがはインド人、自己顕示欲の旺盛さには恐れ入る。マナーの良い人たちが集まっているので、カメラの前で押し合いへしあいなんてことはないのだが、やはり多くの人々が「オレが」「ワタシが」と顔を紅潮させて出番を求めている。
 一度マイクを握るとマシンガンのようにしゃべりまくり、リポーターの女性に促されるまでそれを離さない。やはりインド人はしゃべらせるのではなく、黙らせるのが難しい。
 取材班の「何か得意技見せて」という一言で、「よっしゃ!」とBGMで流れるボリウッド映画やパンジャーブのポップスに合わせて、恍惚の表情で一人踊り狂う男性は群集の中で孤高を演出していたし、逆に取材カメラマンに対して撮り方の注文をつけている女性もいた。彼女は会場の奥からゆったりと歩いてきて突然顔を上げて「カッ」とレンズを見つめたかと思えば、まるで映画の一シーンのように一瞬ポーズをつけてからいきなり激しく踊出したのだ。そうかと思えば、即興で次々と詩の朗読を披露してみせる年配の紳士もいたりなど、なかなか役者揃いなのには感心した。
 でもよくよく眺めてみると、多くはそんなたいそうなことしゃべっているわけでもないし、ダンスも格好よくキメているわけでもない。ただ誰もが自信たっぷりにやっているので、一応それらしく見えるのである。インド人のこういうところはスゴイと思うので、私たち日本人も大いに見習うべきである。
 もっともカメラを前にして、本人たちは精一杯頑張っていても、周囲の人々の多くは自分たちのおしゃべりに夢中でそんなことにちっとも目をくれていない。さっきまで踊っていた人も自分の出番が終われば、友人知人たちとのおしゃべりに没頭。こんな調子なのだから、あまり気にしないで思い切り発散したほうがトクなのかもしれない。
 それにしてもアルコールが入っているわけでもないのに、よくそこまで張り切れるものだ。私にはちょっと真似できそうにないし、そんな彼らが少々うらやましくもある。
 子供たちが駈けずり回り、大人たちも大声でおしゃべりに興じる中、ZEE TVのクルーたちは粛々と撮影を続けている。大混乱の中、なんだかわからないうちに、コートを羽織って帰途につく人々もある。何の合図もないので、パーティーが終わったのかそうでないのか判然としないが、これでどうやらほぼ散会ということらしい。
 会場から一歩外に出ると、そこはシベリアから下りてきた記録的な寒波によるカチーンと凍てついた空気。にぎやかでホットなインド空間から数秒で「帰国」することになったが、ともあれ楽しい夕べであった。今後、日本でもZEE TVのますますの発展を期待したい。

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