洗濯楽しきゃ、旅楽し?

Photo by Tamon Yahagi
 せっかく気分よく旅に出ても、所帯じみた悩みは常につきまとうものだ。洗濯である。高級ホテルに泊まってランドリー・サービスを利用するわけではないので、基本的には自分で洗うことになる。(ときにエコノミーな宿でも頼めることはあるが)
 毎日シャワーは浴びるわけだから、ついでにシャツやズボンも洗濯するなんてワケないのだが、面倒なのは乾かすことなのである。
 乾季の時はいい。干してから数時間もすればパリッと乾く。庇のついたバルコニーがあれば、突然の雨に見舞われても大丈夫。
 一方、困るのは雨季だ。部屋にベランダも窓もないと最悪。仕方なくイスの上に広げたり、ビニール紐を張ったりしてみるのだが、なかなか乾かない。洗って一晩明けたというのに、ジットリ湿っている衣類を目の前にすると、朝からユウウツな気分になる。もちろん、扇風機を回したまま寝れば一晩でカラッと乾いてくれるが、自分自身がカゼをひいてダウンするというリスクがともなう。


 バスや列車での移動時には、やむおえず生乾きの服をリュックに放り込むことになる。カメラのレンズにカビでも生えやしないかと気が気でない。
 半乾きの服をそのまま着るとツーンと臭くなってしまってこれも辛い。大汗かいて塩を吹いているようなシャツ、埃まみれのズボンを我慢して着つづけるのは不快だし、みっともない。衣類を沢山用意すればいいのだが、大きな荷物=動くのが億劫なので、いつも最低限の着替えしか持たないことにしているから仕方ない。
 案外見落としがちだが、「洗濯物をどこに干すか」ということは宿を選ぶ上で重要なポイントなのだ。
 また、バケツでの手洗いは、洗剤を使っても汚れが落ちにくい。白い服を白いまま着るということは、なかなか贅沢なコトなのかもしれない。私の場合、旅の間は汚れが目立たない、なるべく濃い色のものを着ることが多い。
 インドの路上を徘徊している動物たちをぼーっと見ていたら、「衣服をまとう」という変な習慣を持っている動物は人間だけであることにフト気がついた。動物から見たら人間はずいぶん奇妙な生き物だ。「みんな毛皮の様子がずいぶん違う。しかも毎日変わるなんてヘンだね」と思っているかもしれない。
 …こんなどうでもいいことまで気になるのだから、旅人とはヒマなものである。

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