先日取り上げたミャンマーのヤンゴン郊外の日本人墓地のすぐ北にクリスチャン墓地がある。英国人をはじめとする欧州系の人たちの墓が沢山あるのではないかと予想していたが、そうではなかった。
敷地内の墓石の大部分はミャンマー人のもので、クリスチャンネームとともにビルマ名も刻まれている。世俗の生活の中で、もっぱら使用していたのは当然後者のほうだろう。この国においては、ヒンドゥーもムスリムも日常用いているのはビルマ名である。
欧州人たちの墓は、ごく小さな一角にまとめてあった。想像していたよりもはるかに少ないが、相当整理されてしまったに違いないことは、墓石が無造作に積まれている有様からも見てとれる。
時は移ろう。世を支配する立場の側にあった人たちも鬼籍に入り、世間に影響を及ぼすことはなくなる。人々の間の記憶から忘れ去られていき、歴史の過去に消えていき、この世に生きる私たちとは無縁の存在となっていく。
付近にはシーア派ムスリムの方々の墓地もある。当然、インド亜大陸からの移民(および少数ながらイラン系の移民)ということになるので、ぜひ訪れてみたかったが、すでに日没の時間となってしまったので断念せざるを得なかった。