ダージリンのガイドブック 1896 & 1921

ダージリンのチョウラースターにある「Oxford Book & Stationary Company」という書店で、ちょっと気になる「ガイドブック」を見つけた。

ひとつは1896年発行の「ILLUSTRATED GUIDE FOR TOURISTS TO THE DARJEELING HIMALAYAN RAILWAY AND DARJEELING」というもので、もうひとつは1921年に発行された「DARJEELING AND ITS MOUNTAIN RAILWAY」という書籍だ。どちらも復刻版である。

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当時、スィアルダー駅からスィリグリーまでの列車は、現在のバーングラーデーシュ西部から北上するルートを走行していた。パドマー河を越える橋はなかったため、フェリーで対岸のサラー・ガートまで渡り、そこから乗り換えた汽車でスィリグリーに向かうといった具合であったことは、今ではあまり知られていないかもしれないが、分離独立前までインドと現在のバーングラーデーシュはまさに一体の関係にあったことが窺われるだろう。

とりわけバーングラーデーシュ西部の鉄道ネットワークについては、今も昔も広軌が敷かれており、今のインドとの行き来はごく当たり前のことであった。それに対して、東部ではメーターゲージで、現在のアッサム州と繋がっており、こちらもまた相互補完関係というか、切っても切れない一体の関係があったわけである。

それはともかく、当時、開業から十数年という草創期のダージリン・ヒマラヤ鉄道の息吹を感じるとともに当時の白人居住者たちに対する旅行案内書であることから、植民地の避暑地としてのダージリン、社交場としてのヒルステーションの雰囲気を味わうのに最適な書籍だ。

山岳鉄道というもの自体が、素晴らしいハイテクの産物であった当時は、平地の鉄道技術者が次々に現地化、つまりインド人化されていっていた中にあっても、多くのイギリス人の(かなり貧しい)労働者たちがここで雇用されていたことについても言及されている。

冒頭で言及した2冊の「ガイドブック」の発行年には、25年ほどの時差があるため、ダージリンやカルスィヨンといったヒルステーションの整備もかなり進んだように思われる記述が見受けられるし、後者の時代になると周辺地域でのトレッキング案内なども書かれており、だいぶ今の時代の旅行に感覚が近づいているようにも感じられる。

ただし、その時代には今のような便利なアウトドア用品はないため、ガイド以外に食事係、荷物運び人その他の従者たちを大勢雇って出かけるものであったことが、記述内容からわかる。

これらの書籍を購入した「Oxford Book & Stationary Company」は、Oxford University Pressとは全く無関係の書店ではあるが、創業1937年という、植民地時代から続く老舗であり、他にも面白い昔の書籍の復刻版はいくつも置いてあるようだ。上記2冊の古い時代のガイドブックは、どちらもダージリンでリプリントされたものである。

もしダージリンに出かけるご予定があれば、ぜひ覗いてみることをお勧めしたい。

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