携帯電話SIM 「J&K州 only」

インドのどの州で携帯電話のSIMを入手しても、基本的にはこれを全国で利用することができる。SIMを購入した州外で使うと「ローミング」扱いとなり、通話料は若干高くなったり、同じ携帯電話会社でもキャンペーン内容も少し異なったりするものの、通話もスマートフォンの場合でのインターネットも問題なく用いることができる。多くの機種では、これを介して自前のパソコンをネット接続するテザリングも利用できるはずだ。また、大半の州で3G回線での接続となっているため、あまりストレスなくネットの利用ができる。インドでは3G環境下でSkypeの通話を利用できるのもありがたく、料金を気にすることなく国際通話ができる

プリペイドのプランのユーザーが非常に多いこと、携帯のハンドセットの中古市場もさることながら、新品でも手頃なアンドロイドのスマートフォンが出回っており、micromaxなどのものでは、5千ルピー台くらいからあるので、スマートフォンによって得られる利便性、加えてSIMフリーでインド国外の第三国でも利用できることなどからも、決して悪い投資ではないだろう。外国語版アンドロイドを日本語化する方法は、ウェブでいろいろと公開されており、ごく簡単に日本語でのメールのやりとりも可能となる。

携帯電話会社はいろいろあるが、SIM購入の容易さやネットワークの広さなどを考え合わせて、airtelあるいはvodafoneを選択しておけば間違いないだろう。SIMそのものの代金は100ルピーもしないし、現在のインドの携帯電話の国内通話料金は世界最安レベルである。たとえ旅行中であっても自前の携帯電話回線があると何かと便利だ。

インド中、どこに行っても、そこに電波が届いている限り、全国縦横無尽に活用できるインドの携帯電話のプリペイドSIMだが、ひとつ例外的な地域がある。J&K州だ。同じく政情に不安があったり、国境地帯であったりもするナガランド、ミゾラムその他の北東州では問題なくとも、J&K州だけは「別格」で、基本的に他州で購入したプリペイドSIMは利用できず、反対にJ&K州で入手したSIMも州外では用いることができない。もちろん通話だけではなく、インターネット接続も同様だ。

一度購入すると、SIMがその後他人の手に渡ってもわからないプリペイド(ときおり携帯電話会社から利用者の本人確認の問い合わせ電話がかかってくることはあるが・・・)の場合と違い、継続的に毎月利用者が料金を支払い続けるポストペイドのプランの場合は大丈夫なのだが。

J&K州では、州外で購入したプリペイドSIMができないとなると、同州で購入すれば済む話ではあるものの、他州の場合と異なり、この州に居住している必要があるとされるのが厄介だ。ラダック地方でのサービスを実施している携帯電話会社は3社しかない。国営のBSNL、民間会社のaircelとairtelである。前者ふたつは地域内での居住者であるという条件に厳格でダメだったのだが、airtelは、州内在住者が保証人となる(選挙民登録証または運転免許証の写しが必要)ことにより、非居住者でもSIMの購入が可能と言われた。とはいえ、一介の訪問者に過ぎない私が地元の保証人を用意しろというのは無理な話だ。

ただし、かようにしてガードが甘そうなので「滞在期間が限られているのだから」ということでお願いしてみると、案外簡単に「いいでしょう!」との回答を得ることができた。写真は5枚も必要であった(通常、他の州では1枚のみ必要)が、SIMを購入することが出来た。ただし、購入してからすぐに利用できる他州と異なり、SIMを手にしたものの、「アクティヴェートできるのは明後日の午後4時以降から」とのことで、携帯電話が開通するまでに2日間の時間を要することになった。これは地元の人が購入しても同じことらしい。

2日後、所定の操作により、アクティヴェートを完了。通話は問題なく利用できるようになったのだが、ネット接続がうまくいかなかったが、ハンドセットの問題ではなく、地元の通信事情が原因であった。まだ2Gでのサービスしか行なわれていないことに加えて、回線そのものの容量がとても小さいため、人口が少ないこの地域では利用者の数も知れたものだが、それでも日中はほとんどパンク状態にあるらしい。日中は電気の供給がなく、午後7時から午後11時までしか電気が来ないという事情も、携帯のネット環境への負荷が大きくなることのひとつの要因ではないかとも思う。

通話は大丈夫だが、インターネットの利用ができないため、てっきり私のギャラクシータブの設定がおかしいのではないかと思ったくらいだ。日中はエラー表示が出ることが少なくなかったが、深夜近くや明け方に操作してみると、速度はかなり遅いものの、メール等のチェックをすることはできた。

ただし、通話やネット利用できる圏内は広くない。レー周辺やある程度大きな町があるエリアでは利用できるものの、それ以外ではダメなようだ。ラダック地域で最もカバーしているエリアが広いのは、国営のBSNLらしい。地域内各地を行き来する運転手たちの多くが利用しているからだ。vodafoneその他、サービスを展開してみても、さほど旨みがあるとは思えないこの地域への進出を尻込みしている民間の携帯電話会社も少なくない中、行政の見地からこうしたインフラを提供できるのは、やはり政府系の会社ということになるのだろう。

蛇足ながら、宿泊先での会話の中で知ったのだが、airtelのプリペイドの通話分のバランスについて、他のairtelのプリペイドユーザーとの間でシェアできるサービスがあることを知った。5Rsから始まり, 10Rs, 20Rs, 30Rsまでの間の任意の金額で相手に譲ったり、反対に貰い受けたりすることができる。

わずかな手数料分は差し引かれるものの、付近にバランスをチャージできる店がなかったり、緊急の場合などで役に立つのはもちろんのこと、J&K州で購入したSIM(J&K州の外では使用できない)の通話分のバランスを使い残してしまったりする場合、デリーその他で購入したairtelのSIMのほうに移行する(州外のSIMにバランスの移行することは可能なようだ)ことができる。また、インドから出国する場合も同様に、未使用のバランスを他のユーザーにあげてしまうこともできることができる(あるいは出国する人から譲ってもらうこともできる)ことは、覚えておいて損はないだろう。

「携帯電話SIM 「J&K州 only」」への2件のフィードバック

  1. テロ多発地帯の北東州、アッサムもJ&Kと全く同じ状況です
    他州のSIMは使えませんし、州内で購入したSIMは外では使えません
    外国人は州内住所と保証人が必要ですが、頼めばプリペイドの購入は可能です

    1. コメントありがとうございます。
      昨年12月から1月にナガランド、マニプル、アッサムとメガーラヤを訪れた際、コールカーターで購入したプリペイドSIMについてちょっと不安はあったのですが、幸いにして私も同行者も通話とこれらの州にて、ネットを利用することができました。おそらくプリペイド携帯SIMの制限は緩和されたのではないかと思います。あるいは、北東州にて利用できないのは、その後のことでしょうか?
      ネットは2G回線のようで、非常にスローで、なかなか繋がりにくかったです。

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