サートパダー 2

ホテルから湖をボートで回るOTDCのツアーに参加する。周囲に他のホテルはないため、ここの宿泊客だけを対象するものだと思っていたのだが、ちょっと勝手が違った。もちろん同じOTDCによるものだが、プリーからやってくる日帰りツアーグループに合流することになる。

ツアーグループは、朝9時半にホテルに到着。まず最初に埠頭近くにあるビジター・センターでチリカー湖の成り立ちや生態系等についての基本的な説明を聞いたり、展示物を見たりする。

埠頭からはふたつのボートに分乗して出発。この湖にはイラワディ・ドルフィンという種類のイルカが棲んでいる。もちろん船からは彼らの頭やフィンがときどき見られる程度だが。船頭たちはイルカがどのあたりに多くいるのか知っているので、彼らが多数出没する水域に向かう。

イラワディ・ドルフィンの背中

規則では50メートル以上接近してはいけないことになっているようだが、そんなことはお構いなしのようで、往々にして10メートル、しばしば数メートル先でイルカたちが回遊している様子を見ることができた。

通りがかりの他の船。お客を満載で窮屈そうだ。

次に向かうのは、ラージャンサーという60キロほどもある長い砂州である。これがベンガル湾とチリカー湖を仕切っている。もともと湖から海への出口はもっと北のほうにあったとのことだが、これが自然に堆積して閉鎖されてしまった。その結果、水質の劣化が著しくなり、今の出口になっている部分はその対策として近年になってから人工的に開けたものであるという。

広大な砂州。左手はチリカー湖で右手奥はベンガル湾

砂州といってもかなり幅が広く、優に一キロほどはある。小高い砂地の丘に登ると、ベンガル湾とチリカー湖が左右に見える。

このエリアに定住している人はないが、観光客相手の「海の家」がいくつもある。それらではチャーイや簡単な食事を出している。特にチリカー湖特産の魚介類とりわけエビ、カニの料理が人気だ。

旨そうなカニ料理
こちらもまた食欲をそそるエビ料理

それらを注文すると、裏手で薪を燃やして鍋をかけて炒めた料理を作ってくれる。いかにも『オヤジの手料理』といった感じだが、食欲をそそるいい匂いが漂ってくる。私は、数年前から甲殻類でアレルギーが出ることが多く、試してみることがためらわれるのが残念である。

大きなたらいに入ったハマグリのような貝の殻を割り、中から真珠を取り出してみせている男たちがいる。真珠は白いものが大半だが、ときたま黒いものもある。面白いことに、たいていの貝にそうしたものが入っていた。何か仕掛けがあるのか、アコヤ貝ではないのだが、貝の幼少期に真珠が出来るように細工をしてあるのかもしれない。

真珠?
こうしたハマグリのような貝の中に『真珠』

昼間に湖を行き来する船はかなり多い。漁師たちが仕事をする時間帯ではないため、通りかかる船はほぼすべて観光客用のものばかりである。多くはプリーに宿泊して日帰りでここを訪れている。チリカー湖のクルーズは楽しいが、サートパダーについては特に宿泊するメリットはなかったように思う。とても静かではあるものの、船に乗らなければ周囲に見るべきものはないし、とにかく蚊が多い場所である。

<完>

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