ダバル・インジャン・サルカール

現在、UP州とウッタラーカンド州にて、それぞれの州議会選挙戦展開中。こうしたシーンで、近年のBJPがよく口にするのは「ダバル・インジャン・サルカール (Double Engine Government)」。インドの英語ではDoubleは「ダバル」、Engineは「インジャン」と発音される。

つまり中央政府の「インジャン」と地方政府の「インジャン」がともに連結し、どんどん前進していくというイメージだ。急勾配を上る列車が2連結の機関車に力強く牽引、あるいは先頭で1台の機関車が牽引するとともに、最後尾でもう1両の強力な機関車が押し上げていくイメージだ。

日本の県よりもインドの州のほうが権限が大きく、場合によっては「違う国」みたいな様相を呈することすらある。たとえば州政権が変わると、いきなり「禁酒法」が施行されて、「ドライ・ステート」になってしまうこともある。

しかしながら、州政権はあくまでもインド共和国内での地域政権に過ぎず、やはり中央政府の威光は強大。中央政権と関係の良い政党が運営する州政府には、有利な開発プログラムが導入されるいっぽう、折り合いの悪い政党の州政権には、あからさまな嫌がらせがなされることだってないことではない。そんな中で、特にBJP政権だと困るという層の人でなければ、UP州政権を率いるヨーギー・アーディテャナートには好感を持たなくても、中央政権のモーディーと関係が良いし、同じBJPだから「ダバル・インジャン」で経済発展をどしどし進めてくれそうと期待して票を投じる人も多いはず。

それもこれも、やはり中央でも地方でも、BJPが少なくとも経済発展と民生の向上においては、いい結果を出していることがある。これがBJPよりもマイノリティ(ムスリム)に対してもフェアな態度で臨み、貧困層に属する割合が高いとされるコミュニティには気前よく留保枠を与える国民会議派や社会党だったらどうだろうか。たとえばUP州の人で、マジョリティのヒンドゥーで、とりわけヤーダヴではなく、OBCs(その他後進初階級)でもなく、少数民族や部族ではない人たちにしてみると、中央政府が国民会議派あるいは社会党(社会党は主にUPの地域政党なのだが中央政府に連立ではいるということはあり得る)で、自分の州の政権も社会党という「ダバル・インジャン」が成立したら、とんでもない悪夢だろう。

形勢からして、どうやらウッタラーカンド州はBJPがそのまま再選されそうだし、UP州においても社会党はある程度の伸びは期待できても、BJPを政権から「引っこ抜いて捨てる」と豪語する社会党の若党首アキレーシュ・ヤーダヴの主張するような結果にはならないように思われる。

PM Narendra Modi lauds infra projects in Ghaziabad by ‘double-engine’ govt (HINDUSTAN TIMES)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください