インド式行列

感染予防のため、「social distancing」「do gaj ki duri」等々、人と人との取るべき距離について言われているのはインドも同じだが、コロナ後のインドで「インド式行列」が改まる未来はあるのだろうか。

ご存知のとおり、列に並ぶ人たちが身体前部と後部を密接させる、極めてコンパクトな並びかたのことである。列の長さがさほどではなきように見えても油断してはいけない。密度がたいへん高いため、なかなか先頭に出ることができないのだ。

なぜこういう暑苦しいことにになるのかといえば、理由は明快で、「割り込みを防ぐ」ためである。それでもわずかな隙間からねじ込もうとしたり、列の人に話しかけてドサクサで入り込もうとか、「☓☓で超急いでいる」などとウソをついて入り込もうとする輩もいれば、こともあろうに行列全体を無視して、「先頭に割り込もう」とする厚顔無恥な者も少なくないからだ。

このあたりの突破力というのは、明らかに人口過多な超競争社会で揉まれてきたインド人の中でも選りすぐりの猛者はめげることすらない。それらに対して「あんまり猛者ではないタイプ」の普通の人たちが対抗するには、人の鎖を形成して、つけいる隙を与えないに限るのだ。かくして「インド式行列」が形成される。列に並ぶ人たちの「割込みは許さない」という決意と覚悟に満ちた表情をご覧いただきたい。

これが解消されるには、人口過多が解消されたり、人々のマナーが向上したりしていかないと、なかなかむずかしいことかと思う。同様にバスや通勤電車などの激混み状態も器のキャパの問題があるため、こういうところはコロナ禍にあって、さらにはコロナ後になっても、あまり変わりがないことだろうと思ったりする。

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