ガルフが近い!

air arabia
アラブ首長国連邦を構成する七つの首長国のひとつ、シャールジャー首長国を本拠地として、2003年に設立された格安航空会社エア・アラビア。他の多くの国々でもそうだが、この2003年という年は、こうした新しいタイプのエコノミーな航空会社の設立ラッシュであったことを記憶している方も多いだろう。
こうしたタイプの航空会社の伸張で先行したのはもちろん北米であったが、アジアにおける格安航空会社の先駆けといえば、元々政府系で経営難にあった航空会社を辣腕経営者トニー・フェルナンデスが買取り、新しいコンセプトのエアラインに仕立て上げたマレーシアのエア・アジアであった。
その2年後にはインドで破格の安値で南部地域のフライトから次第に全国にネットワークを広げていったエア・デカン(2008年にキングフィッシャー・エアラインと経営統合、同年後半にはブランド名も統一され『エア・デカン』は消滅した)が最初のローコストなエアラインだったが、その後スパイス・ジェット、インディゴ・エアライン、加えてエアインディア・エクスプレス、ジェット・ライトといった既存の航空会社による格安航空会社の新設が相次いだ。
同時期にアジア各地ならびに欧州その他でもこうした新会社の設立が相次いでいたが、インドにおいては、90年代から続く高い経済成長率と合わせて、空の旅の大衆化が顕著に進み、インドの空港は空前の混雑となり、各地で施設拡張や新空港の建設が相次ぐこととなった。
昨年の原油価格高騰を受けて、旧来の航空会社が苦戦を強いられた以上に、安さのみが取り得であった格安航空各社も燃油代のあまりの上昇のために大打撃を受けた。しかし今年に入ってからは燃料の価格が一気に下落しているので、大手各社に対してまた強気の攻勢に出て行くのではないだろうか。
さて、話はエア・アラビアに戻る。現在では、同社のウェブサイトに示されているとおり、アラブ首長国連邦を軸に、中東および周辺地域の19か国の36都市にネットワーク(このうちカザフスターンのアスターナー、アフガーニスターンのカーブル、アルメニアのイェレヴァンへの便は運休中)を広げている。(2009年3月現在)
これによれば、インドにおける就航地はかなり多い。デリー、ムンバイー、ジャイプル、アーメダーバード、バンガロール、チェンナイ、ハイデラーバード、ゴア、ティルワナンタプラム、ナーグプル、コインバトール、コーチー、カリカットと、実に13都市におよぶ。
南アジア地域内の国々、スリランカのコロンボ、バーングラーデーシュのダッカとチッタゴン、パーキスターンのカラーチーとペーシャーワル、ネパールのカートマンドウーも含めると、実に19都市にもなり、この地域と南アジアとりわけインドとの繋がりの深さ、人々の(主にインドをはじめとする南アジア側の人たちによる)盛んな往来を如実に示しているようだ。
どの就航地からも直行できるのは、この会社の本拠地のシャールジャーだけのようだ。ゆえにその他の都市に向かうには乗り換えを伴う。しかし料金が手頃なので、インドからちょっとアラビアに出かけてみようというのはもちろん、国外からインド旅行に訪れる場合、ついでに足を伸ばしてみるのも良いかもしれない。
インドの都市からシャールジャーまで往復、あるいは異なる都市間の移動をシャールジャー経由で、例えばカリカットからシャールジャーに向かい、そこでしばらく滞在してからデリーに飛ぶとしても、時期や予約するタイミングによるが、チケットにかかる費用は片道100米ドル前後だ。
アラブ首長国連邦は、日本国籍の場合は30日以内の観光ならばヴィザは不要である。また渡航費用の面でもちょっと意外なまでに『近い』ことを感じずにはいられない。

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