バティンダー

バティンダーで片足のサイクルリクシャー引きに出会った。肉体的なハンデがあることには座席に着くまで気がつかなかった。平坦な土地が幸いしているとはいえ、緩やかな上り坂くらいはある。それでもものともせず、「降りて歩かなくては」という私の心配をヨソに、グイグイ進んでいく。降りてから少し話をしたが、このタフガイは、爽やかなナイスガイでもあった。

ゴーヴィンドガル・キラー

ゴーヴィンドガル・キラーに着いた。ここはずいぶん大きな城塞だ。中に入る際に、なぜか人々は寺院にでも入るかのように、足塵を拝するような動作をしているので不思議に思ったが、入ってみてから理由がわかった。

こちらのグルドワラーでランガルが実施されている。
スペースも人数もささやかなランガル

中にはふたつのグルドワラーがあり、城壁の上にあるほうは神殿があるだけだが、もうひとつのほうではランガルが実施されていた。こんな小さなグルドワラーでも実施されていること、ちゃんとボランティアの人たちが、かいがいしく働いていることに感心する。

近隣在住のスィク教徒家族
こちらは州内のやや離れたところから来たご一行
キラー内にあるもうひとつのグルドワラー。ここには祭壇しかない。

せっかくなのでランガルに参加させていただく。薄いダルとこれまた素朴なローティーと水という簡素なものだが、毎日こうして参拝者たちに提供されているわけであり、調理する人、配る人、食器を洗う人とすべてボランティアで支えられている。スィクの人たちの奉仕精神には頭が下がる。フォートの中にはこれといって残っていなかった。いくつかの車輪がついた大砲が屋内展示されていたこと、巨大な城壁を内側から見た程度だ。

ゴーヴィンドガル・キラーの内部はこんな感じ。

その後、「バティンダーの銀座」ドービー・バーザールへ。小さな町の割にはかなり消費力の高い購買層が厚いことが見て取れる。装身具、貴金属、ブランド衣類等はもちろんのこと、サムソンやソニーのアウトレットが出店していたりする。通りから派生する小路にも、値段の張る商品を扱う店が軒を連ねており、グジャラート州のサウラーシュトラ地方を彷彿させるものがある。

小さな町に似つかわしくない華やかな商店街

緑の革命で成功した農業中心であること、外国からの送金が多いことなどもあるが、やはりパンジャービーの勤勉さ、とりわけスィク人口が多く、モラルや規律といった部分も合わせて他者への影響も強いということなどもあるのかもしれない。

ドービー・バーザールをまっすぐ進むと、やがて鉄道駅に出た。深夜を回った時間帯ならば、長距離急行列車でパティヤーラーまで2時間半くらいで行けるようだが、昼間には鈍行列車しか走っていない。それならばバスで戻ったほうがいい。

町の外れのほうには、グルドワラー・ピール・ハッジ・ラッタンという、名前だけ聞いたらムスリムの聖者廟みたいで、面白い逸話を持つグルドワラーがある。ピール・ハッジ・ラッタンの聖者廟と
隣接しているがゆえに、こう呼ばれるようになり、その背景にはいろいろな逸話もあるのだが、ヒンドゥー、スィクとともにムスリムたちが隣り合わせて仲よくやってきた過去を象徴しているとも言える。

グルドワラー・パール・ハッジ・ラッタンのゲート
グルドワラー・ピール・ハッジ・ラッタン

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