珍品エレクトロニクス

Islamic Mobile
 現在のLG電子に、1997年以前Gold Starブランドで販売していたころの白物家電メーカーのイメージ(今でもそれらは商品構成の主要な部分を担うが)を重ねる人は今やほとんどいないだろう。
 ソニー、日立、ナショナル、パナソニックといったグローバルなメジャー・プレーヤーの本拠地ニッポンでは存在感はほとんど無に近いが、パソコンやその周辺機器を含めたさまざまなハイテク分野で力を発揮するエレクトロニクス関連の総合メーカーに成長した同社は、高い技術力と旺盛な営業力をバックに世界各地に進出している。


 LG社製品はインドにおいてもすっかり定着しているが、同国への進出は1997年であり今年でまだ十年目であることを思えば、すさまじいスピードで事業を拡大してきたことがわかる。
 もっともこれはLGに限ったことではなく、インドで暮らしの中のさまざまな分野に外資系の会社による製品が見られるようになった。その結果、地場の会社によるものも含めて、人々が手にするモノの品質の向上には目を見張るものがある。(あまり変わらないものもあるが・・・)
 これを国外から眺めれば、以前は厳しい規制のためインド国外の企業にとっては事実上存在しなかったはずの十億人規模のマーケットが突然現れたのだから大変なことだ。国境を越えてやってくる多国籍企業は、地元の顧客の購買力やニーズを探ってあの手この手で自社製品の宣伝と売り込みをはかる。
 だからどこの国にあっても本国と同じブランドネームの商品でも、クルマやエアコンなどの例に見られるとおり、国によってかなり仕様が違うことはめずらしくない。
 そんな中で異邦人の目には『珍品』と映るものもしばしば出てくる。たとえば従来からマレーシアやインドネシア等のようにムスリムの多い国などではよく『アザーン時計』なる商品が販売されているのを見かけた。イスラミックなデザインの外観、セットした時間にコーランの朗誦が流れるといった代物だが、多くはプラスチック製のチャチな造りで、製造国は中国というのがよくあるパターンだ。
 実は日本のSEIKOやシチズンの腕時計にもイスラミック仕様のものがある。主に湾岸諸国をはじめとするアラビア市場向けらしいのだが、本体もベルトも金ピカで文字盤にはダイヤモンド風にカットした小さなガラスが沢山埋め込まれている非常に派手なもので、東京や大阪の街の量販店などでもまず目にすることのない『レア物』だ。
 中東にまで足を伸ばさずとも、シンガポールのリトル・インディアにあるインド系量販店ムスタファ・センターあたりでもこうした製品を見つけることができる。壁かけ時計の文字盤が١٢٣٤٥٦・・・といった数字で書かれているだけで、かなり違った雰囲気になるものである。
 そうした中で2004年7月発売のLGのキブラー・フォンは傑作だ。音で一日に五回、礼拝の時間知らせる機能、メッカの方向を示す電子コンパス、そしてアラビア語インターフェイスによる操作されるという『本格派』である。
 話題性はもちろん、販売地域での企業イメージアップにはかなり効果があったのではないだろうか。ともあれ日常使う電化製品にあっても、しばしばその土地ならではの名物商品が出てくるのは面白い。
イスラム教徒向け、「メッカの方角が分かる携帯」
※古い記事ながら・・・

「珍品エレクトロニクス」への5件のフィードバック

  1. idhar, delhi ka japani students nagade, minna akihiko no koto o jante hae. And they all pasant akihiko no article desu.

  2. リー・サーハブのJapani Dostです(以前デリーでお会いしましたね)。Ogataさんのインド関係のエッセイには一歩踏み込んだ深みがあり、また何よりも社会の弱いセクションを見過ごさない暖かみがあるので大変気に入っております。最近のカルカッタの華人コミュニティーに関する連続エッセイは圧巻でした。また、興味深い記事を書かれるのを楽しみにしております。

  3. aree, Lee sahib,
    oso oseyo, How are you ?
    Ilgi nun odaeyo ??
    Thanks for reading my small articles, Komap sumnida !

  4. ごぶさたしてます。今日はFURUIさんにまでご登場いただき、とても驚いています。今後ともどうかよろしくお願いいたしま〜す。

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