中国東方航空にて、上海経由でデリーに行くことになった。
インドと中国双方のキャリアによる両国間の直行便が飛ぶようになったのは確か2003年あたりのことであったと記憶している。それまでは4,000kmにおよぶ長い国境線を分け合っている隣国同士を直接結ぶフライトはなかったのである。(香港を除く)
今では中国に仕事や観光などで訪れるインド人、反対にインドを訪問する中国大陸の人々も増えてきている。印中両国互いの不信感、とりわけ前者が後者に抱くネガティヴな感情はまだまだ深いものの、こうして両国間での経済活動が活発になってくることが、安定した二国関係への一番の方策だろう。互いに依存する部分が多くなればなるほど、相手国にて操業する企業等の活動が盛んになればなるほど、両国の政府はそう易々と相手国に対して軍事的な挑発はかけにくくなる。いわば相手国に預けている資産が増えるほど、軽はずみなことはしにくくなることは、いずこにおいても同じことだ。
さて、いつも日印両国のキャリアによる直行便あるいはタイ航空、キャセイパシフィック、シンガポール航空などを利用している私にとって、中国経由という選択は初めてだ。乗り継ぎ時間にかかる時間が長かったり、中国では長らく乗り継ぎでも到着時に入国手続き、出発前に出国手続きをしなくてはならなかったりするケースが多くて面倒という思いもあった。
インド行きのための中国での乗り継ぎについて、かなり遠回りとなる北京経由はともかく、上海での乗り換えはなかなか良い選択肢になるのではないかと思う。近ごろは同一キャリアを利用の場合は、中国の乗換地で出入国しなくて済んだり、荷物も最終目的地までスルーで行くことができるようにもなったりしている。
また、スカイスキャナー等で検索してみるとわかるが、ピークシーズンの比較的直前でもそれなりにリーズナブルな価格のチケットの入手が可能であることが多いようで、出発の日程が差し迫ってくるまで予定が立たないという場合などに利用できる可能性が高い。
それはともかく、上海経由で予約してEチケットを印刷してみて、やっと妙なことに気が付いた。「上海には国際空港がふたつある!」
到着は上海市の東にある虹橋空港、出発は西にある浦東空港である。両者の間には55kmほどの距離がある。日本の成田空港と羽田空港は90kmくらいの距離があるので、その6割くらいと思えばマシかもしれないが、上海の交通渋滞は世界的にも有名だ。両空港間を結ぶリムジンバスは運行されており、利用する航空会社がそのチケットを供給してくれるようだが、乗り換えに5時間半ほどあるとはいえ、道路状況がどんなものだか、かなり気になる。時間を容易に予測できる地下鉄利用のほうが安心だろう。
国際線は虹橋空港のターミナル1(虹橋1号航站楼)に発着する。地下鉄で浦東空港まで移動するには、虹橋空港の国内線が発着するターミナル2(虹橋1号航站楼)まで、地下鉄10号線で移動して、そこから地下鉄2号線に乗り換える必要がある。
路線図上では、あたかも浦東空港まで直通になっているように見えるのだが、実際には広蘭路が折り返し駅になっているため、ここでプラットフォーム反対側から出る支線に乗り換えなくてはいけないことを付け加えておく。
あるいは、広蘭路の少し手前にある龍陽路から浦東空港との間を結ぶリニアモーターカーを利用することも可能だ。
こんな面倒があるので、予約の際に気をつけるべきは上海に出入りするフライトが両方とも浦東空港からのものであることを購入前に確認することであることがわかった。通常、上海の国際空港といえば浦東空港だが、日本を含む一部方面のフライトについては、まったく違う場所にある虹橋空港から出るものもあるからだ。私の場合はそのケースにあたる。
〈続く〉