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カテゴリー: health

  • SWACHCH BHARAT (Clean India)

    SWACHCH BHARAT (Clean India)

    モーディー首相率いる現在の政府が打ち出しているスワッチ・バーラト(Clean India)
    キャンペーンにあやかって、各地でもスワッチ・ブジだのスワッチ・ラージコートだのという呼びかけがなされているようだ。

    政党の活動家やらその手の人たちか、それとも地元の住民たちが自発的に行なっているのか知らないが、明らかに本来の掃除人ではない人たちが大勢で道路を清掃している姿もあったりするが、なかなかいいものだと思う。

    これが一過性のものではなく、今後も続くといい。写真はムンバイの繁華街のコーラーバーにて、「スワッチ・コーラーバー」。せめてポイ捨てはやめて欲しいものだが、大都会の商業地では、土地に根っこを持たない人が多いので、ちょっとムズカシイかもしれない。

    だが日常的にこうしたものを目にするだけで、人々の意識は変わってくることだろう。たとえ時間はかかるとしても。こうしたものが公衆衛生やトイレの普及(こちらについても今回の政府は力を入れている)等々、民生の向上に繋がってくれると大変嬉しく思う。

    政府の掛け声でこうしたキャンペーンが展開されたのは、実はこれが初めてではない。だが今回はモーディー首相の人気ぶりと指導力に大いに期待したいものだ。

  • ボーパールの悲劇から30年

    1985年12月2日から3日にかけて発生したユニオンカーバイド社の工場からの殺虫剤の原料となる成分からなるガス漏れ事故から今年でちょうど30年経過したことになる。

    マディヤ・プラデーシュ州のボーパール市の住民のうち55万名を超える市民がこの毒ガス被害を受けたとされ、死者の数は2,500名とも3,800名とも言われるが、この毒ガス被害により半月の間に亡くなった方は8,000を超えるという説もあり、今なお史上最大級の産業事故である。

    この事故に関するあらましは以下のリンク先をご覧いただきたい。
    The Bhopal disaster and its aftermath: a review (ENVIRONMENTAL HEALTH)

    この事故はノンフィクションで取り上げられたり、映画やドキュメンタリーとして制作されたりするなど、世間の関心は高い。

    書籍ではドミニク・ラピエールおよびジャヴィエール・モローによるIt Was Five Past Midnight in Bhopal、映画ではBhopal Expressといった作品が入手しやすい。

    また、BBC制作のONE NIGHT IN BHOPALはYoutubeで閲覧することができるので、ぜひご覧いただきたい。

    ONE NIGHT IN BHOPAL (BBC)

    今年12月5日からはインドでラヴィ・クマール監督によるBhopal: A Prayer for Rainが公開されるが、すでにニューヨークの映画館では11月7日から、ロサンゼルスその他の都市では11月14日から封切りとなっている。

    この未曾有の大災害とそれから得た教訓を決して風化させてしまってはならない。そのためには事故に関する真実を今後ともみんなで共有していく必要がある。

  • スリランカ・フェスティバル2014

    9月27日(土)と28日(日)に予定されていたスリランカ・フェスティバルが、当初予定されていた東京の渋谷区の代々木公園から江東区の有明に場所を変更して開催される。昨今のデング騒ぎゆえの措置であることは言うまでもない。

    直前になって他の会場が確保されて幸いであったということになるだろう。私自身は代々木公園での開催について、健康のリスクがあるとは思わない。すでに園内の他の生き物の生態まで心配されるほどなので、当然蚊は駆除されているはずであること、蚊がいたところで気温が低くなるとあまり活動しないこと、参加者は虫除けを塗るなどしておけば、デングウイルスに感染した蚊に刺されることによってのみ罹患するこの病気の心配はないからだ。

    ただし、開催者にとっても、出展する方々にとっても、今回の風評によるリスクは非常に現実的なものである。前週に予定されていたベトナム・フェスティバル、前々週に予定されていた日本インドネシア市民友好フェスティバルが中止される中、先週末にナマステ・インディアが開催されたものの、出展者や出演者のキャンセルが相次ぐとともに、来場者も例年と比較のしようがないほど少なかった。

    健康被害がないゆえに中止とする理由はない、という判断は正しかったものの、あまりに規模が縮小するとともに、来場者も前年に比べて「ごくわずか」という水準では、イベント開催としては明らかに失敗である。

    ただし、開催が近くなってから急遽会場を移すというのも、これまたどういう結果となるのかは、当日にならないと判らない。代々木公園で開催であるがゆえに、何かのついでに立ち寄る、代々木公園で開かれているがゆえに、近くを通りかかった際に足を向けてみた、という人も多いことだろう。

    すると、こちらもまた例年よりもかなり寂しい開催となるような気がしてしまう。これが杞憂だと良いのだが。

     

  • ナマステ・インディア2014 閑散とした会場

    ナマステ・インディア2014 閑散とした会場

    920日の土曜日にナマステ・インディアの会場を訪れてみた。場所は東京の代々木公園イベント広場。

    まさにガラガラの状態

    もしかすると「デング熱騒ぎで閉鎖されているのでは?」と思う方もあるかもしれないが、閉鎖された地域とは隣接しているものの、ここはそうした措置の対象にはなっていない。

    だが、週末であるにもかかわらず、イベント広場の西側のグラウンド、東側のフットサルコートも人影がなく、これら当面の間利用が中止となっているようだ。

    さて、例年のような大混雑が少しは緩和されているのではないだろうか、と思いつつ足を向けてみたのだが、会場に着いてみると、何やら行われている様子ではあるものの、開催される日を間違えて来てしまったのかと思ったほどであった。

    何しろ人出が非常に少ない。ここに掲載した写真は昼過ぎの時間帯に撮ったものである。かつてこんなに寂しい開催日があっただろうか?

    ミティラー画のアーティストたち

    中止とせずにやはり開催することが決まったのが910日であったが、出展されている方の話によると、同じように出展しようとしていた業者等の間で相当数のキャンセルがあったとのことだ。そのため、スペースをかなり狭めて開かれているし、それがゆえに当初割り当てられていた場所からの配置換えもかなりあったようだとのこと。同様にステージのプログラムについてもいくつか中止されたものがあるとのこと。

    レストラン関係の出店取りやめも多かったようだ。それがゆえに、来場者はとても少ないながらも、食事時には出てきているレストランのカウンター前にはそれなりの行列が並んでいるように見えることとなった。

    「まぁ、これくらいのほうがゆっくり見ることができていいですよ。」という声は来場者たちの間からはあり、それはそれでいいのだが、少なくとも初日においては、例年と比較して来場者数や盛り上がりという面で大幅な失敗ということになることは否めないであろう。主催者や出展者の方々にはとても気の毒なことである。

    もうすでに公園内では念入りに蚊の駆除はなされているはずだし、この気温の低い中で蚊の行動が活発であるはずもない。そうでなくとも、要はデングを媒介する蚊に刺されなければ罹りようもない病気であるため、虫除けを持参すれば済む話である。

    まさに「風評被害」ということになるかと思うが、921日の日曜日はもう少し賑やかになって、多少の盛り上がりを見せてくれることを願いたい。個人的には、例年どおり本日ここでいろいろな方々にお会いすることが出来て、やはり来てみて良かったのだが。

     

  • エボラの脅威は対岸の火事ではない

    西アフリカでエボラ出血熱がこれまでにない規模で流行している。

    致死率が90%以上と非常に高いこと、発病後の症状が劇的に激しく、治療方法が確立していないことなどから、大変危険な病気であるということは誰もが認識していたものの、これまでは農村部の限られた人口の間で散発的に小規模な感染が伝えられるという具合であったため、この地域における風土病というような認識がなされていたのではないだろうか。

    だが今回、ギニアで発生したエボラ出血熱が隣国のシエラレオネとリベリアにも及び、ギニアでは首都のコナクリにまで広がるという事態を迎えており、空前の規模での流行となっている。以下のリンク先記事によれば、感染者は635名に及んでいるという。

    史上最悪、西アフリカでエボラ感染拡大(毎日新聞)

    今回、これほどまでに感染が拡大したこと、農村の限られた地域での流行と異なる部分などについてはいろいろ指摘されているが、首都での流行については、これが旅客機等により、地続きではない国々にまで飛び火する可能性を秘めていることをも示している。

    コナクリからフランス、ベルギーといった欧州の国々、ダカールやモロッコ等の周辺国へのフライトがあり、それらの到着地から接続便で北米やアジア方面にも接続することができる。

    そんなわけで、地球のどこの国に暮らしていても、とりわけ今回の流行については、対岸の火事と傍観しているわけにはいかないという危惧を抱かせるものがある。

    あまり想像したくないことだが、これが人口稠密で、インドをはじめとする南アジア地域に飛び火するようなことがあったら、あるいは同様に人口密度の高い日本で発生するようなことがあったら、一体どのような大惨事になることだろうか。だがこれは絵空事ではなく、前述のとおり、ごく短時間で世界のどこにでも移動できる現代では、充分にあり得る話である。

    流行地からは、このようなニュースもある。エボラ出血熱を発症したものの、完治して生還した事例だ。

    エボラ完治「奇跡」の妊婦、喜び語る シエラレオネ(時事ドットコム)

    流行の抑え込みとともに、ぜひとも期待したいのは病理学的な解明と治療法の確立である。今はただ、今回の大流行が一刻も早く収束を迎えることを祈るとともに、医療現場で命を賭して患者たちへの対応に当たっている医師たちに敬意と大きな感謝を捧げたい。

  • マッチャル・マール・エクスプレス

    マッチャル・マール・エクスプレス

    デリーでは蚊の発生時期にマラリアやデングを媒介する蚊を減らすため、2週間に1度、マッチャル・マール・エクスプレスを走らせている。

    鉄路からホースによる液剤の散布の届く範囲に限られるため、どの程度の効果があるのかは疑問ではあるものの、蚊ならびにその幼虫の駆除を実施することにより、沿線住民への啓蒙を促すことの意味はあるし、まさにそこが狙いということなのだろう。

    ひとりひとりの心がけなくしては、都市部において蚊が媒介する伝染病の防止はあり得ないので、これを含めた広範囲な対策が求められるところだ。

    Northern Railway’s mosquito terminator on the prowl (NDTV)

    Delhi’s Malaria Express (The Hindu) ※こちらは昨年の記事

  • インドで新薬治験による死者多数

    しばらく前(2012年11月1日付)のものではあるが、看過できない記事がある。

    Have India’s poor become human guinea pigs (BBC NEWS MAGAZINE)

    従前から、インドは外資系製薬会社をはじめとする医薬品の治験大国として知られている。こうなったのは、2005年にインド政府が医薬品の治験に関する規制緩和を実施したからとのことである。

    人口規模が桁違いに大きく、様々な分野のデータを収集しやすいこと、英語が広く普及しており、現場の医療従事者の中でもとりわけ治験を実施する臨床現場の医師については、英語を駆使できるのは当然であることも好都合だ。

    都合が良いといえば、事故が起きた際の処理にかかる手間や費用についても同様なのだろう。これによる事故についてもしばしば報じられてきたが、具体的にどれくらいの件数が発生しているのかについてはよく知らなかった。

    だが、上記リンク先記事によると、死亡事故だけで、2008年に288件、2009年に637件、2010年に668件、2011年には438件も発生しているのだという。対象となるのは、往々にして貧困層の人たちで、治験に関する説明をして、当人たちからきちんと同意を得ているかということについても不明瞭な部分が少なくない。

    1984年12月、マッディヤ・プラデーシュ州のボーパールのユニオン・カーバイドの工場で起きた有毒ガス漏れにより、25,000名もの市民が亡くなった事故は、史上最大の産業事故として語り継がれている。そのユニオン・カーバイド社による賠償の一環として建てられたボーパール記念病院でも、やはり治験による事故が発生しており、前述のガス事故で被害を受けた人たちもその中に含まれているというのは、あまりにひどい話だ。

    インド自身についても、周辺国で同様のケースを生じさせているのではないかということが懸念されないわけではない。インドの医科大学が、ネパールで近代的な病院を建てて、地域医療に貢献しているが、これとて単純に善意で行っているというわけではないだろう。医科大生や経験の浅い医師等の学びと実践の場でもあることは言うまでもない。それはともかく、こうした施設もまた、製薬会社の治験を引き受けるのには絶好の環境であることは間違いない。

  • 肉食は危ない ? !

    「肉を食べると嘘つきになり、約束を守らない不正直者となり、窃盗や性犯罪を犯すことになる」などと言われたらビックリするだろう。

    Meat makes you immoral, says textbook (THE HINDU)

    India textbook says meat-eaters lie and commit sex crimes (BBC NEWS INDIA)

    インドの小学校の保健の授業で使用されるテキストにそんな記述があるということで話題になっている。

    どの教科書を採用するかについては、各学校の裁量によるものであるとのことなので、この内容の教科書がすべての小学校で使用されているわけではないようだが、この図書を発行しているS. CHAND社は国内最大級の教科書会社なので、その影響は決して小さくないだろう。

    また「肉食=不道徳で犯罪につながる」という記述は、インド社会に馴染みのない国々では奇異なものに聞こえることから、こんな風に扱われたりすることは想像に難くない。

    Textbook: Meat Eaters Steal, Fight, Commit Sex Crimes (TYT NETWORK)

    確かに今でも保守的なヒンドゥーの年配者には、「酒を飲むようになると、タバコも吸うようになるし、肉を食べてみるようになる。すると女や賭博にも手を出すようになってしまう・・・」などという物言いをする人は少なくないので、厳格なヒンドゥーのモラル上においては、確かにその教科書に書かれているとされる内容は誤りではないということになるだろう。たとえそれが科学的には何の裏付けもないものであるとしても。

    経済や社会のグローバル化とともに、伝統的なモラルや価値観が失われつつある今の時代に警鐘を鳴らしていると好意的に捉えることも可能かもしれないし、中央政界で与党への返り咲きを目論むサフラン勢力の差し金ということもあるかもしれない。

    ただし、こうした記述で問題なのは、科学的な根拠の有無という点よりも、菜食を美徳と尊ぶ文化以外のコミュニティへの配慮がまったく無いことだろう。祝祭時に家畜を屠り、盛大に祝うムスリムその他の肉食文化の全面的な否定であり、多文化・多民族が共生するインドにおいて、コミュニティ間の不協和を増長するだけである。マジョリティの文化の唯我独尊的な美化と子供たちへの刷り込みは、どうもいただけない。

  • ラダックのレーへ

    ラダックのレーへ

    早朝の便でデリーを発ってラダックに向かう。以前も2回ほど飛行機で入ったことがあるが、海抜3,500mあるため、高いところに弱い人にとっては着いてからしばらくはかなりキツかったりする。中途陸路で少しずつ高度を上げて行けば問題ないのだろうが、私にはそんな時間はないので、どうしても飛行機でということになる。

    DIAMOXという薬については、当初半信半疑であった。多くは緑内障で処方される医薬品であるというではないか。これを服用することにより、毛細血管の流れがよくなるため、眼圧を下げる効果があるからだという。

    同様に、呼吸器や脳についても、血の巡りがよくなるため、むくみが生じにくくなることから、軽度の高山病に対する予防が期待できるのだという。高地に入る24時間前から12時間ごとに1錠服用するということになっている。高地に入ってからも同様に12時間ごとの服用を3日間続ければ、その間に高度順応が出来てしまうという話を医師から聞いた。更に高いところに行く場合、例えば500m以上高いところに行く場合も同様に、24時間前から開始して、12時間ごとに1錠という、このルーティーンをさらに繰り返せば良いとのこと。

    窓の下に広がる壮大な雪山の景色を目にしながら飛行機は大きく旋回してレーの空港に着陸した。機外に出て深呼吸すると、心なしか空気が薄いような気がする。たぶんしばらくすると例の頭痛がやってくるのだろうなぁ、と思いながら宿に向かう。

    簡単な朝食を摂り、荷物を部屋に置いてから町に出る。レーの王宮を見物してからそのすぐ上にある寺院を目指す。さほどの斜面ではないにもかかわらず、ひどく息切れがすることから、やはり空気が薄いことを実感する。

    ハァハァ言いながら歩き回り、夕方になってから宿に戻る。併設している食堂でビールを飲んでいるオランダ人男性がおり、ついつい私も「ビール一本!」と注文してしまいそうになるが、やめておく。前回、といってもずいぶん昔のことだが、着いたその日に酒で乾杯した後、丸二日間続くひどい「二日酔い」になった記憶があるからだ。

    果たして、DIAMOXの効果は想像以上に素晴らしかった。高所に弱い私だが、坂道で息切れする以外は、翌日になっても、翌々日になってもどうもない。

    この薬は、日本では処方してくれるクリニックはごく限られているし、保険外診療とのことで、金銭的にもかなり高くつく。だが嬉しいことに、インドにおいては、例えばデリーなどではごく普通の薬局でも購入することができ、しかも10錠で72Rsと非常にお手頃である。

    海抜3,500m程度いっても侮るなかれ。稀ながらも、この標高でも高山病になり、重症化する人だっている。そうでなくとも、しばらく頭痛がしたり、気分が悪かったりという人は決して少なくない。とりわけ低地から直接飛行機で入る場合など、なおさらのことだ。空路を利用する場合、私のように往々にして時間に余裕がない人が多いこともあり、着いてすぐから「普通でいられる」ことは実にありがたい。

    これからラダックに向かわれる方、DIAMOXはオススメである。副作用といえば、トイレが少々近くなることくらいか。(ゆえにむくみ止めの効果があるわけで・・・)

    緑内障を患っている方など、長年大量に服用されているケースもあることから、この薬自体が身体に何か悪く作用することもないだろう。

  • トークイベント 「ポスト 3.11をふんばるインド・パキスタン的生き方」

    今年3月以降、家電の大型量販店、アマゾンや楽天その他の通販サイトで線量計が売られているのを見かけるようになっている。

    線量計なるものが世の中にあることを初めて知ったのは、1986年のチェルノブイリ原発事故が発生してからだっただろうか。『ガイガー・カウンター』により、放射線の値を測定している様子をテレビで目にして、一見普通に見える事故現場周辺地域で、目に見えない危険物質が飛散しているということについて、背筋が寒くなる思いをした記憶がある。

    ガイガー=ミュラー管を使用したガイガー・カウンター以外にも、シンチレーション検出器その他いろいろな種類のものがあり、測定の対象や目的により様々な線量計があるのだが、いずれにしても放射線のある環境下での職務に就いている人、あるいは特定の医療従事者以外が手にすることはない特殊な装置だと思っていた。少なくとも今年の3月までは。

    3.11の津波被害に起因した福島第一原発の事故以来、そうした『特殊装置』が普通に身の回りに見られるようになってきた。多くは個人が使用する目的であるため小型の製品だが、それらが目の玉が飛び出るような価格で販売されていた。

    そんなに大量生産・大量消費されるような類のものではないとはいえ、これまで私たちが手にしてきている携帯電話その他の家電製品に比べて、製造にかかるコストがそんなに大きなものなのかどうかわからないが、手にしてみると意外にチャチな製品が、実売価格にして10万円前後あるいはそれに迫る価格で売られているのを見て、唖然としたものだ。

    しかしとりわけ事故現場に近いエリアに住んでいる人々にとっては、たとえそれが避難地域外であったとしても、政府の発表する内容だけでは何がどうなっているのかはっきりしない状態の中、自分の身は自分で守るしかない。

    小中学生、幼稚園、保育所の子供たちにガラスハッヂと呼ばれる個人線量計を配布した地域もあると聞く。これを身に付けて1か月経過したら回収して検査機関に送り、その子供たちには新しいものを配布してまたひと月身に付けさせて・・・といったことを繰り返しているとのことだ。行政として子供たちの被ばく量を測定する目的があるとのことで、意義自体は理解できるものの、何ともやりきれない話だ。

    そこからやや離れた首都圏においても、いくつかのホットスポットについての情報などが出てくるにあたり、やはり不安でこうした機器を購入した人たちは少なくないだろう。それがゆえに全国の顧客が相手の通販サイトはともかく、首都圏の家電量販店でも線量計が販売されているのだ。

    そうした線量計について、震災・原発事故以前の価格が空前の品薄状態を背景に、数倍に跳ね上がった製品、そうした価格で積極的に捌いた業者も少なくなかったことは耳にしていた。おそらくここにきて線量計の『バブル状態』も一服したのか、従前から販売されているモデルの価格はかなり下落してきていることに気が付いているこの頃。

    大手通販サイトで『線量計』と検索してみると、102,900円 → 17,000円やら69,800円 → 13,500円などという価格表示をしている業者がいくらでもある。ボロ儲けをアテ込んでの在庫がダブついたのか、線量計の大きな市場となった日本向けに製造元が生産体制を大幅増強したのか知らないが、確かに原発事故からしばらくはそんな金額で販売されていたモデルだったと記憶している。それが『市場価格』というものだということになるのだろうが、一市民から見るとまさに火事場泥棒的な商売だ。早い時期に購入した人たちは『何!17,000円のものを102,900円で売りつけていたのか!』と怒り心頭のはずだ。

    いずれにしても、これまでそうした機器に縁の無かった一市民が線量計を持つということが珍しくなくなってしまった状況に私たちは置かれており、これまで海外でも安全・安心という評判を得ていた日本そのものに、大きな疑問符が付くようになってしまっている。

    今さら、グチばかり言っても仕方ない。放射能汚染は今後長期間続くことは明らかだ。加えて放射線による直接の健康被害はさておき、ここのところジリジリと後退してきていた日本の国力が、こうした事態であることを背景にさらに削がれていくことは間違いないことも肝に銘じておかなくてはならない。

    さて、前置きが長くなったが、本題に入ろう。12月6日(火)19時30分(開場19時)から東京都渋谷区宇田川町のUPLINK FACTORYにて、J-one talks vol.01「ポスト3.11をふんばるインド・パキスタン的生き方」が行われる。

    J-oneの主宰者で、ナマステ・ボリウッドの主宰者/発行人でもある、すぎたカズト氏がMCを務めるトーク会だ。ナマステ・ボリウッド誌サイトにもこのイベントについての情報が掲載されているので、こちらも併せてご参照願いたい。

    ゲストスピーカーは、NPOジュレー・ラダック代表のスカルマ・ギュルメット氏、ビデオ・ジャーナリストのラシード・サマド・カーン 氏、そして当サイトindo.toのウェブマスターの矢萩多聞氏という豪華な顔ぶれだ。

    災害時にも強い南アジア流生活・共生術、南インド式保存食の作り方(試食あり)から放射能対策・情報リテラシーまで、といった具合に様々な角度からのトークが行われる。ポスト3.11に生きる私たちの日々のありかたについてじっくり考えてみる良い機会となるはずだ。

    チャージは2000円(1ドリンク+「J-one」創刊号1冊付)で、「J-one」持参の方は500円OFFとのことだ。会場となる渋谷 アップリンク・ファクトリーの所在地と電話番号は以下のとおり。

    東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階 TEL.03-6825-5502

  • チェルノブイリは今

    チェルノブイリは今

    今年の9月に、チェルノブイリの現状を写真と文章で綴った本が出ている。

    ゴーストタウン チェルノブイリを走る

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    ゴーストタウン チェルノブイリを走る

    http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0608-n/

    集英社新書ノンフィクション

    ISBN-10: 4087206084

    エレナ・ウラジーミロヴナ・フィラトワ 著

    池田紫 訳

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    1986年に起きた原発事故から四半世紀が経過したチェルノブイリにガイガーカウンターを持ち込んで、バイクで駆ける写真家エレナ・ウラジーミロヴナ・フィラトワがチェルノブイリの現状を伝えるウェブサイトを日本語訳した書籍だ。

    汚染地域に今も残る街や村。すでに暮らす人もなく朽ち果てていく建造物。家屋の中にはそこに暮らした家族の写真、子供たちの玩具が散乱しており、役場等にはソヴィエト時代のプロパガンダの跡が残っている。

    ソヴィエト時代、原発事故が発生する前のチェルノブイリは、中央から離れた周辺地であったが、それでも整然とした街並みや広い道路、広大な団地、病院その他公共施設、遊園地、映画館といった娯楽施設等々の写真からは、社会主義時代に築かれたそれなりに豊かであった暮らしぶりがうかがえる。

    人々の営みが消えてから久しい現地では、それとも裏腹に豊かな自然が蘇り、もう人間を恐れる必要がなくなった動物たちが闊歩している様子も記録されている。

    一見、のどかにも見える風景の中で、著者はそうした街や集落など各地で放射線量を図り、今なおその地が人間が暮らすことのできない危険極まりない汚染地であることを冷静に示している。

    これらの写真や文章は、著者自身のウェブサイトで閲覧することができる。

    elenafilatova.com

    チェルノブイリに関して、上記の書籍で取り上げられていないコンテンツとともに、スターリン時代の強制収容所跡、第二次大戦期の戦跡等に関する写真や記述等も含まれている。

    私たちにとって、チェルノブイリ原発事故といえば、今からずいぶん遠い過去に、遠く離れた土地で起きた惨事として記憶していた。事故後しばらくは、放射能が飛散した欧州の一部での乳製品や食肉などへの影響についていろいろ言われていた時期はあったものの、自分たちに対する身近な脅威という感覚はほとんどなかったように思う。まさに『対岸の火事』といったところだったのだろう。

    今年3月11日に発生した地震と津波、それによる福島第一原発の事故が起きてからは、原発そして放射能の危険が、突然我が身のこととして認識されるようになる。実は突然降って沸いた天災と片付けることのできない、それまでの日本の産業政策のツケによるものである。曲がりなりにも民主主義体制の日本にあって、私たち自らが選んだ政府が推進してきた原子力発電事業とそれに依存する私たちの日々が、いかに大きなリスクをはらむものであったかを思い知らされることとなった。

    順調な経済成長を続けているインドや中国その他の国々で、逼迫する電力需要への対応、とりわけ先行き不透明な原油価格、CO2排出量への対策等から、今後ますます原子力発電への依存度が高まることは、日本の福島第一原発事故後も変わらないようである。もちろん各国ともにそれぞれの国内事情があるのだが。

    原発事故後の日本では、食品や生活環境等様々な面で、暫定基準値を大幅に引き上げたうえで『基準値内なので安心』とする政府の元で、放射能汚染の実態が見えにくくなっている中で、今も収束にはほど遠く『現在進行形』の原発事故の危険性について、私たちは悪い意味で『慣れつつある』ように見えるのが怖い。

    事故があった原発周辺地域の『風評被害』云々という言い方をよく耳にするが、実は風評などではなく実際に無視できないリスクを抱えているということについて、国民の目を塞ぎ、耳も塞いでしまおうとしている政府のやりかたについて、被災地支援の名の元に同調してしまっていいものなのだろうか。

    これまで原子力発電を積極的に推進してきた日本の政策のツケが今になって回ってきているように、見て見ぬ振りをしていたり、『どうにもならぬ』と内心諦めてしまったりしている私たちのツケが、次の世代に押し付けられることのないように願いたい。

    同様に、これから原子力発電への依存度を高めていこうとしている国々についても、将来もっと豊かな時代を迎えようかというところで、予期せぬ事故が発生して苦しむことにならないとも言えないだろう。今の時代に原発を推進していこうと旗を振っていた人たちは、そのころすでに第一線から退いているかもしれないし、この世にいないかもしれない。一体誰が責任を取るのか。

    もっとも今回の原発事故で四苦八苦しており、原子力発電そのものを見直そうかという動きになっている日本だが、それでも他国への積極的な売り込みは続けており、すでに受注が内定しているベトナムでの事業に関するニュースも流れている。

    チェルノブイリが残した反省、福島が私たちに突き付けている教訓が生かされる日は、果たしてやってくるのだろうか。

  • 航空性中耳炎

    中耳炎になった。小学生だったころ以来である。当時は風邪を引いては耳もおかしくなっていたものだが、今回は飛行機に乗ったことが原因である。

    航空性中耳炎について耳にしたことはあり、航空機の乗務員の間でしばしば発生する職業病のようなものということは知っていた。機内の気圧の変化により、耳の中が痛くなることがあるが、その際にあくびや唾を飲み込むなどしてうまく耳抜きができないままになっていると生じる不具合である。

    気圧の変化といっても、上昇時つまり耳の中の気圧が周囲よりも高くなる際よりも、下降時に鼓膜の内側の気圧が、その外側よりも低くなるときに起きやすいという。

    飛行機が着陸態勢に入るというアナウンスの後、飛行機がどんどん高度を下げていく中、耳の中がツーンと突っ張った感じになった。いつものようにあくびをしたり唾を大きく飲み込んでみたりする。普段ならば耳の中が「バリバリッ」と音を立てて元に戻るところだが、今回はカゼを引いていて鼻がひどく詰まっているためか、左側の耳にはまったく効果がなかった。

    飛行機が滑走路に着陸してターミナルまでゆっくりと動いている最中もその状態は変わらず、市内に出て宿に荷物を置いてもまだ同じ状態が続き、数日経っても回復しなかった。

    プールや海で泳いでいて耳の中に水が入ったときの様子に似ている。おかげで左耳の聞こえかたが悪くなっている。障子一枚隔てた向こうからの聞いているような感じだ。

    これではいけない、と耳鼻科医に診てもらっているところだが、なかなか治らない。診察の際に左の鼻から、耳に繋がる耳管に空気を通してもらうと、かなり痛みを伴うがなんとか通気できるようになる。

    するとしばらくの間はすっきりと聞こえるようになるのだが、またすぐに塞がってしまうような感じになる。塞がっているといえば、鼻腔から耳にかけて空気がスムースに通るようになっていなければならないとのこと。そこが塞がってしまうから気圧の調整がうまくいかず、耳の中の気圧が外気よりも低くなったままになってしまう。

    すると鼓膜の内側に水が溜まってきてしまい、いわゆる滲出性中耳炎を発症する。これがいわゆる航空性中耳炎が起きてしまうメカニズムであるとのことだ。

    やれやれ・・・。