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  • 小売外資規制緩和 日本からも熱い視線

    bazar
     インドの街並みを特徴づけるものとして、商業地域を担う主体が小規模な小売業者たちであることが挙げられるだろう。近ごろインドの都会に林立するようになった大型のショッピングモールにしてみても、喧騒の街角ではなく静かでモダンな建物の中であるという『器』が違うこと、多くがこぎれいで洒落た店であることを除けば、個々の業者たちが規模の小さな商いをしていることに変わりはない。
     日本のヨドバシカメラ、ビックカメラといった電化製品の総合アウトレット、あるいは大手ディスカウントストアと呼ばれるロヂャースやドンキホーテのような店舗、西友やダイエーといった大型スーパーのような大規模小売業者は見当たらないし、同一の看板を掲げて傘下の店舗を全国規模で展開するフランチャイズ式の商売も、ファストフードや携帯電話の販売店などを除けばあまり見ることができないのが従来のインドであった。一見これらに少々似ているものも確かにあったのだが、正確には従来型の規模の小さな小売業者がやや大型化したものという位置づけになるだろう。
     乱暴に単純化してしまえば、主要駅前や繁華街などに大型商業施設がドンと構えて地元商店街を睥睨する、いわば『大>小』『会社>個人商店』というシンプルな対立軸の中におけるある意味安定した華夷秩序的な構図が日本の街中風景とすれば、ひとクセもふたクセもあるオッサンたちや明日を夢見る血気盛んな若者たちが群雄割拠して、絶え間なく衝突しながら浮沈を繰り返す活気溢れる状態なのがインドの街中ということが言えるのではないだろうか。
     そんなインドは世界第八位の小売市場と言われる規模の巨大さから、小売業を生業とする海外企業からも今後の市場開放がどのように進むのか大いに注目されている。今年1月には単一ブランドを販売する場合おいては51%を上限とする外資本の参入を認められるようになったものの、ウォルマートのような外資の大型店舗による小売業者の進出を認めるところにはまだいたっていない。
     とはいえ、小売外資規制緩和が『あるのか?』ではなく、すでに『すぐ目の前!』という差し迫った状態になる中、近ごろ本格的なスーパーやコンビニをチェーン展開し始めた国内勢力が、やがて始まる外国企業による攻勢を迎え撃つ地盤を固められるようにと政府が時間を稼いでいるのが昨今である。
     風雲急を告げる中、『日本小売業協会』による『インド最新流通視察ツアー』なるものが来年3月に予定されている。欧米の郊外型アウトレットを展開する企業が進出を控えていることを踏まえたうえで、同種の事業を急ピッチで進める国内財閥系企業の動きを学ぶとともに日本の小売関連企業の進出の可能性を探るのがこのツアーの趣旨らしい。
     近い将来、デリーやムンバイーなどで『伊勢丹』で買い物したり、夜半に『ファミリーマート』にノコノコ出て行き弁当を買ったり・・・といった日常がフツーになってしまうようなことがあるのかどうかわからないが、インドのすぐ東に位置するアセアンの国々の都会ではそれなりに長い時間をかけて(国や地域によって時期はさまざまだ。第二次大戦後間もなくからという地域もあれば、日本や欧州が『戦後』から抜け出した60年代からというところもある。あるいは80年代以降の好調な経済成長を受けて外国資本の注目を浴びるようになった国々もある。ともあれ東南アジアでは外国企業による小売業のチェーン展開や大型総合店舗の上陸という現象がかなり前からジワジワと進行してきたことになる。その中で進出企業の『撤退』まで数多く経験している。
     これに対してこれまで数々の規制等により『未開地』として残されてきたインドでは、多くの国々が経てきた数十年におよぶ時間を飛び越えて一気に奔流にさらされることになるため、相当大きなインパクトを受けることは容易に想像がつくものの、実際それがどれほどの規模のショックとなるのかちょっとわからない。もちろん地域や業種によっては細々と単品あるいはごく限られた品数を小売しているだけでは商いが成り立たなくなるケースも出てくるのだろうが、影響は決してそれだけではなく『インドで流通革命!』と表現されるような一大事が起きるのではないだろうかとも思う。
     もちろん外資をはじめとする大型商業施設が林立してみたところで、従来の小売業者たちがいなくなってしまうわけではないのは日本のみならず東南アジアの国々を見てもわかるとおり。また外国企業や国内大手資本がターゲットとする中間所得層よりも下の部分には貧困層を含むさらに膨大な人口を抱えているが、彼らまでもが新しい顧客層として取り込まれるわけでないことは言うまでもないだろう。それでも商業地内での力関係が、それ以前の『群雄割拠型』から『華夷秩序型』へとシフトすることは間違いないように思われる。
    大型商業施設の進出は、小さな店舗で客を待つ『一国一城の主』たちにどの程度の影響を与えるのかは今後人々が目にしていくことになる。そして街中の風景も今後ずいぶん変わっていくことだろう。

  • 旅先のお役立ちレンズ

    SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC OS
     ズームレンズは描写力、画質その他の面で単焦点レンズにはとうてい及ばないのは言うまでもないが、このところいろいろ出てきている高倍率ズームの『一本でアレもこれも』という便利さはとってもありがたいもの。旅行先での写真を楽しみたくても、それ自体が目的ではないし、荷物はできるだけ軽くしたいからだ。『デジタル一眼ブーム』がはじまってからというものの、これまで考えられなかったペースで新たなレンズ群が市場に次々投入されるようになっているのは皆さんご存知のとおり。そこに市場があれば、技術の進歩というものは限界を知らないようだ。
     この秋もやたら便利そうなレンズがいくつか発表されており、人それぞれいろいろ注目のモデルがあることだろう。昨年3月と4月にタムロン、シグマの両社から相次いで18-200mmの高倍率ズームレンズが発売されて好評を得ていたが、同年12月にニコンからAF‐S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mmF3.5-5.6G (IF)という、35mm換算にして27-300?相当の焦点距離、そして4段分の手ブレ補正付きのレンズが出た。これは評判もすこぶる良く、他社のカメラを使っている人たちはニコンのユーザーたちがちょっと羨ましくもなったことだろう。ちょっとISO感度を上げれば夜の街中でも自然光でしかも手持ちで撮影できる。また条件さえ合えば夜景だって三脚無しで写すことができるのだから。
     この秋になって、シグマからついにこの類のモデルの開発が発表された。18-200mm F3.5-6.3 DC OSというモデルだ。先述の18-200mm焦点域にOS(OPTICAL STABILIZER)機構という手ブレ補正機能を搭載したものである。サイズはふた回りくらい大きくなってしまうようだが、旅先にぜひともこういうレンズを一本携行したいと思う。
     シグマが手ブレ補正で注目を集めれば、ライバルのタムロンからは『同クラス世界最大』のズーム比(13.9倍)をうたうAF18-250mm F/3.5-6.3 Di II LD Aspherical [IF] Macro (Model A18)が名乗りを上げている。35mm換算でなんと28mmから388mmというオドロキの超高倍率である。ここまで来ると解像度他に問題はないのか、400mm近いテレ端側を使う際にはそれこそ手ブレ補正が欲しいなどと考えてしまう。しかしこのレンズを常用すれば、旅程に野生動物の見物、例えばコルベット国立公園にトラ見物、バラトプルの鳥獣保護区でバードウォッチングなどといったものも含まれていても、マルチに対応できて便利そうだ。
     両モデルとも発売時期は未定だが、おそらく年内か年明け早々には新製品として市場に並ぶのではないだろうか。インドでは今後半年近く旅行に適した時期が続く。お気に入りのカメラとレンズを片手に、被写体の宝庫を存分に満喫されてはいかがだろう。
    AF18-250mm F/3.5-6.3 Di II LD Aspherical [IF] Macro (Model A18)

  • 学園の輸出 2

     だがひょっとするとインドに負けず劣らず注目を集めているのが中東の産油国かもしれない。オイルリッチな国々も『石油後』を見据えての人材育成に乗り出すようになってきているからだ。このほどサウジアラビア政府は先進各国に相当数の政府派遣留学生の送り出しに着手することになっており、もちろん日本もその受入国のひとつとなる予定だ。
     またカタールにはアメリカから複数の大学院が現地分校を進出しており、アラブ首長国連邦を構成する首長国のひとつドバイでは、知識と学問のセンターとして設立されたKnowledge Villageに様々な外国の大学が進出している。設置されている主なコースはビジネス・マネジメント、IT、薬学、建築、観光学、金融etc.といったいわゆる実学ばかり目に付くことから、まさに脱石油による知識経済化を目指すための人材を育成したいという姿勢が感じられる。
     ここで目を引くのは、インドの複数の機関が含まれていることだ。それらの名前は以下のとおりである。
    ・Birla Institute of Technology & Science Pilani
    ・Institute of Management Technology
    ・Mahatma Gandhi University
    ・Manipal Academy of Higher Education
     なお、このKnowledge Villageにはパキスタンから進出している教育機関もある
    ・Shaheed Zulfikar Ali Bhutto Institute of Science and Technology
     英語による専門教育という強みはもちろん、地理的な近さと歴史的にインド人のプレゼンスが決して小さくないことからくる人的ネットワークの厚みなど、湾岸地域においてはインドに有利な部分が多いのだろう。昔から建設現場や工場などで働く単純労働者たちはもちろん、建築家、医師その他の高度な技能を必要とする職種のプロフェッショナルたちもインドから数多く渡っている。またインド人の語学(英語)教師の需要も少なくないと聞く。英語といえばインドの隣国ブータンの英語教育の礎を築いたのはインドから派遣された教員たちだというし、『インドの英語』の評判はなかなか良好らしい。
     地域に固有の学問ではなく、経済や工学といったユニバーサルな学問分野におけるインドの教育機関の海外分校設置という動きは、そのポテンシャルも含めて今後注目に値するのではないだろうか。

  • 学園の輸出 1

     アメリカやオセアニアではかなり早くから教育をひとつの大きな産業ととらえて、積極的に外国からの留学生たちを誘致したり、海外分校を設置したりする動きがあった。1980年代後半から90年代初頭にかけて、日本各地にアメリカの大学の日本校が30校とも40校ともいわれる規模で進出したことを記憶している人も多いだろう。ちょうど当時の中曽根首相が音頭を取り、官民あげての『貿易黒字減らし』の風潮の中、またどこを向いても『国際化』のコトバが叫ばれていたこともあり、ちょっとしたブームになるのではないかと期待させるものがあった。
     だがそれらは日本の文部省(現文部科学省)の基準に適合しないため、卒業しても大卒の資格を得ることができなかった。アメリカの大学の日本校にしてみれば日本のスタンダードに合わせるつもりはさらさらないという設置形態の問題、そして入るのは難しくても進級して卒業するのは易しい日本違うスタンスを持つアメリカの『大学』に対する考え方があった。さらには学費の高さやアメリカの大学側の期待を大きく下回る日本校に入学した学生たちの英語力の問題等々、誘致した側にとっても進出したアメリカの大学側にしてみても決して将来が明るいものではないことがわかるまで長くかからなかった。
     その結果、9割ほどが10年あまりのうちに撤退。その中でも特筆すべきはワシントン州立エドモンズ大学日本校東京キャンパスで、なんと開校から2ヵ月あまりで閉校を決めるという逃げ足の速さはやはり『ビジネス』ならでは・・・と感じた人たちは少なくなかっただろう。
     しかし少子化がすぐ目の前に迫った大きな社会問題として認識されるようになった現在、日本の大学は生き残りのために外国人留学生獲得に躍起になっているところは多い。また良質かつ高度な知識と技術を持つ将来の労働人口を確保するためにも、留学生の誘致によるメリットは大きい。隣国の韓国においてもこの動きは同様だ。今や北米、オセアニア、東アジア、欧州の各国が世界のさまざまな国々から留学生たちの気を引こうと、留学フェアその他の機会を利用、あるいは現地に学生募集窓口を設置したりするなどして、留学生獲得に積極的に乗り出している。同時に現地にキャンパスをオープンさせるという動きも、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの大学が中心となって推し進めている。
     そうした中で、世界の成長センターであるとともに世界最大の若年者人口を抱えるインドを新たな市場として分校を狙う大学が増えてきている。これはまさにバブルの頃の日本にアメリカの大学が次々と上陸していたことを思い起こさせるものがある。

  • インドに『韓流デジタル一眼』がやってくる?

    SAMSUNG GX-10
    サムソンGX-10
    PENTAX K10D
    ベンタックスK10D
     昨年のちょうど今ごろだった。ペンタックスとサムソンがデジタル一眼レフを共同開発すると発表したのは。前者のブランドネーム、光学技術とレンズ群、後者のデジタル技術の融合・・・とくれば、やはりキチッと魅力あるもの、手堅いものが出てくるであろうことは想像に難くなかった。
     今年に入ってからペンタックス一眼レフの普及モデル*ist DL2、*ist DS2(いずれも2005年に発売)の韓国版としてのGX-1L、GX-1Sを発売して、レンズ交換式一眼レフ製造メーカーとしてデビューしたサムソン・テックウィン社。デジカメの他に光学部品や航空機用エンジンなどを製造している会社だ。2005年に韓国国内でデジタルカメラのトップシェアを獲得したという同社は、2007年には世界の三大デジタルカメラメーカーのひとつとなるという大きな野望を掲げている。(キヤノン、ニコン・・・そしてサムソンということか!?)
     ここにきて今年11月30日に発売が予定されているペンタックス最上位機種のK10Dの姉妹機GX10 のリリースも発表となっており、なかなか目が離せない状況になってきているようだ。
     ペンタックスの接続規格「Kマウント」のレンズ群が使用できるそうだが、これと同スペックで自社による「Schneider」ブランドの「D-XENON」と名付けられたレンズのラインナップがある。現在までのところサムソン製のレンズのバリエーションは乏しいものの、これからさまざまな新しいモデルを次々投入してくるようだ。
     こうした共通仕様のモデルを日本市場ではペンタックス、韓国ではサムソンが販売という棲み分けがなされるのはもちろんのことだ。そのためであろうか、サムソンの一眼レフの操作メニューには日本語は用意されていないらしい。(ペンタックス機には韓国語メニューがあるのだが・・・)
     おそらく日韓以外の第三国での販売テリトリーについてもエリアごとに分担するのではないかと思う。そうなってくるとインドはどうなのだろうか?日本国外ではヨーロッパと北米以外にしっかりとした販売網を持たないペンタックスに対して、現地で手広く事業を行なうサムソンだ。同社のインド向けのウェブサイトには同社のいくつかのデジタルカメラの紹介がなされている。おそらく機を見てインドに廉価版のモデルを投入することもあるだろう。
     今のところ日本のメーカーはインド市場での販売にあまり熱心ではないようで、販売やサービス拠点の多くは直営のものではなく委託を受けた地元業者が行なっているようだ。もともと一眼レフ、ましてやデジタルものともなればプロや一部の愛好家たち除いた一般の人々の間での普及率はとても低い。けれども富裕化する中で趣味のモノ、高いモノが売れるようになってきた中で、およそ都市部に限られるにしても写真に興味があり潜在的に今後より高級なカメラに手を伸ばそうという人たちは決して少なくないように思われる。そうした新規ユーザーはカメラのアクセサリー類や周辺機器を持ち合わせていないため、メーカーを超えての互換性がないことからくる既に所有している『レンズ資産』その他により特定のメーカーに縛られることもない。価格と性能のバランス、サービス網の充実具合その他の条件をもとに自由に選択することができる。
     カメラ販売業者が独自に外国から輸入したものはさておき、ひとたびサムソンが自社製一眼レフをインド市場に本格的に投入することがあれば、『韓流現象』が起きるのではないかと予想している。同国におけるプレゼンスの高さ、知名度、豊かな営業力を背景に、とりわけアマチュアを中心とした新規需要の多くを一手に取り込んでしまうのではないだろうか。もちろん製品を手にするユーザーたちの満足度も相当高いはず。発売元は一眼レフの分野では無名のニューカマーとはいえ、中身は名門ペンタックスのカメラと共通だ。この分野では世界の最先端を走る日本市場で販売されているモデルと同スペックであることは人々に強くアピールするだろう。もちろん細部の仕様やチューニングの具合にはペンタックスとの間に若干の差異が見られたりするのかもしれないが。
     近々帰国を控えた在印の日本人にとっては、サムソンの一眼レフがインドで発売されたとしても、同社のカメラの販売エリアに含まれていない日本に持ち帰ってから不具合等が起きた場合(大阪に一箇所サービス拠点があるのみ)のことを考えるとお勧めできない。しかしペンタックスのレンズ以外のアクセサリーについての互換性も問題ない(この部分については著者は未確認)とすれば、インドはもちろんサムソン・テックウィン社の販売網がカバーするエリアに含まれるその他各国に暮らす人々にとって非常に魅力的なものであることは間違いないはずだ。

  • 山下公園でディーワーリー

    Happy Diwali !!
     横浜インド文化交流会による『ディワリ・イン横浜2006』が10月22日(日)に横浜の山下公園で開催される。飲食物や雑貨等の露店、サーリーの着付けなどとともに、インドの音楽や舞踊などの演出もなされるようだ。
     この界隈をグルリと巡るだけで、元町でのお茶とショッピング、中華街での食事、そして山下公園でのイベントと盛り沢山な一日になるはず。ぜひこの機会に港町ヨコハマの秋を満喫されてはいかがだろう。
    ディワリ・イン・横浜 2006

  • バングラデシュの翼 日本乗り入れ便運休

    biman bangladesh
     長らく親しまれてきた(?)バングラデシュ航空の東京便が運休となる。(よくビーマン・バングラデシュという表記を見かけるが、本来『・』の前に部分については『ビマーン』とすべきである)
     この決定がなされたのは今月に入ってからだが、少なくとも今の時点では11月から来年3月まで、東京発着便の運行停止が確定している。4月以降については今のところ未定。同社に問い合せてみたところ、理由は『不採算路線のリストラによるフライトネットワーク再編成』とのことである。
     無論、先進国の首都に飛ばすから儲かるというものではない。今年5月のファクルル・イスラーム・アーラムギール航空大臣の発言によれば、ダッカ・ニューヨーク便についてはフライトあたり8万ドルの赤字が出ている計算になるとそうだ。もちろん発着にかかる費用や燃料費のみではなく、アメリカ現地に事務所を構えて操業するにあたってかかるトータルなコストを含んでの話である。

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  • 加齢と闘うスターたち

     今年41歳になるサルマーン・カーン。特にインドではかなり大きな息子や娘がいても全然おかしくない年齢だが、80年代後半のデビュー当時と変わらないような役柄を演じ続けている。1965年生まれのアーミル・カーンだってまだ学生の役を演じることができるし、シャー・ルク・カーンもそんな歳にはまだまだ見えない。それでも3人とも1965年生まれだ。ジューヒー・チャーウラー、マードゥリー・ディクシト、アクシャイ・クマールらは彼らよりもふたつ下で今年39歳。
     でもこうした年齢は、日本はもとよりインドにおいてはなおさらのこと名実ともに立派なオッサンでありオバサンである。
     そういえば今では老人役ばかりの旧世代スターたち、今年64歳になるアミターブ・バッチャンは、50歳を目前にした15年前の『HUM』あたりまでは若者役が多かったし、リシ・カプールも10年少々まではまだまだ青年の役柄で映画に出演していた。90年代に差しかかったあたりは彼らにとってキャリアの大きな節目であった。
     観客側にしてみれば、野心溢れる青年たちがギラギラした中年期を経ることなく、いきなり年配者としてスクリーンに出るようになったのだから、どうも解せない気がするのは私だけではないだろう。

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  • スリランカな週末 東京渋谷の代々木公園

     10月14日(土)と15日(日)に今年で3回目となる『スリランカフェスティバル2006』 が開催される。
     日本におけるスリランカのプレゼンスの規模の違いを反映してちょっと小ぶりだが、ステージで繰り広げられる多様なプログラム、様々な業者や団体等による出店などと合わせて、ちょうど先日同じ場所で行なわれた『ナマステ・インディア』のスリランカ版だといえる。
     秋の柔らかな陽射しのもと、おいしい紅茶を楽しみつつ熱々のホッパーをほおばり、香り高いカレーを楽しんだ後はアラックを片手に舞踊や音楽を鑑賞しながら、ゆったりとした週末を過ごしてみるのはいかが?
    スリランカフェスティバル2006

  • サッカー インド大善戦!

     10月11日、バンガロールのスタジアムで君が代に続いてジャナ・ガナ・マナの演奏がなされた後、インド時間午後5時40分、日本時間にして夜9時10分にAFCアジアカップ予選A組インド対日本の試合がキックオフされた。
     すでに本大会行きが決まっている日本にとっては消化試合に過ぎず、今回の大会ではすでに後に続くものがないインドにとってもこの試合で具体的に得られるものは特にない。それでもインドにとっては世界レベルのチームとの対戦は決して多くない貴重な機会である。特に若手の選手にとっては自らの実力を自国のサッカー協会や所属クラブにアピールする絶好のチャンスだ。開催地がバンガロールということもあり、自国ファンの目の前でインドがどこまで頑張ることができるのか大いに期待されるゲームだ。
    ・・・とはいうものの、スタンドには空席が目立つ。サッカー熱の高いカルナータカで戦う自国代表の試合がこんなものであるのはちょっと寂しい。
     前半の日本は2点を挙げたとはいうものの、明らかに格下(FIFAランクを書く)のチームのペースに合わせてしまい、持ち味のスピード感を欠く退屈な試合をしていたと言わざるを得なかった。ただしこの両得点を挙げたガンバ大阪の播戸の気持ちの入ったガッツあふれる姿勢は良かった。風貌、体格といいプレーのスタイルといい、若いころのインドのエース、ブーティヤーを彷彿とさせるものがある。
     そのいっぽうインドはといえば、FWのバイチュン・ブーティヤーはインド、いや南アジアを代表する名手とはいえ、前線に張っている彼にいくつかのいいボールが渡っても、やはり相手が日本くらいのレベルになると特に目立たないごくフツーの選手となってしまうのはやはり盛りを過ぎたためもあったのかもしれない。全般に技術・戦術のレベルの差が大きいため個々の選手に気持ちの余裕がないのだろうが、せっかくフリーでボールをキープしていても平凡なミスにより失ってしまうシーンが目立つのは残念だった。
     だがインドは思い切り引いて守りを固めてカウンター一発を狙う・・・という形でくるだろうという大方の予想に反して、中盤の高いところから果敢にプレスをかけてくる積極的なスタンス、だからといって簡単に裏を取られることない守りの固さは大いに評価できるだろう。
     個々の選手としては中盤のマンジートはなかなかいい仕事をしていたし、ステーヴンも卓越した技術を見せてくれた。ディフェンダーのプラディープが自陣深いところから時おり前線へ繰り出す長いパスも魅力的だった。 誤解のないように付け加えておきたいが、FIFA世界ランクの評価ほどにはインド選手の個人技のレベルは決して低くないのである。

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  • ICパスポート(2)

     ところでインドでは、外圧よりもむしろ国内的な理由からパスポートの電子化急いでいるようだ。テロリストや犯罪者たちによる変造・偽造パスポートによる入国を防ぐことが、インドで『E-PASSPORT』と呼ばれる新型パスポートの導入の準備が急ピッチで進める主要な理由のひとつだ。 電子チップに記録されたデータにより、出入国地点でそれをチェックする設備が備え付けられている限りは、インドはもちろん他国でも不正な旅券を行使しようとした者を摘発することが容易になることが期待されている。もちろん入国審査の迅速化にも有効であることから、近年とみに増加しているインド発着の空の旅客の出入国管理の効率化にも役立つ。
     インドでは2007年から電子パスポート導入の試行期間として、政治家や外交官といった公用で外国を訪問する人たちのパスポートを電子化する予定。この中で技術的な改良や検討を加えるとともに、新しいタイプ旅券発行に対応できる体制を整えたうえで、ある時期を境にその後更新や新規発行がなされるものはすべて『E-PASSPORT』化されるのだろう。今年6月中旬の報道では『2013年までに』電子化を完了させる予定らしい。もちろんそれまでにE-PASSPORTを市民に発行する・・・といった悠長なものではなく、現存のものも新規発行のものからも旧タイプの旅券を排除し、すべて新しいタイプのものと入れ替えるということである。
     ただし技術的な問題もさることながら、ことインドのような国にとっては費用の問題も頭痛の種である。現行の旅券の場合は作成におよそ1500ルピーかかるというが、電子化するにあたり埋め込まれるチップひとつの価格が500ルピー近い。これらは旅券取得者に転嫁できるにしても、電子パスポートを作るための設備、出入国チェックその他必要な場所で電子情報の読み取り確認ができる装置等々の導入にあたっての初期費用だけでも相当なものだろう。もちろん一連の動きを新たなビジネスチャンスとして、これらに関する利権をめぐって水面下ではかなり前からいろいろな動きがあるはずだ。
     進んでいる部分は確かに目を見張るものがある反面、遅れているところについては目を覆いたくなるような状態であることが珍しくないインド。せっかく電子化されてもパスポート申請を取り扱う部署の腐敗や怠慢から不正な旅券の取得が発生したりすることもあるかもしれない。それにクレジットカード同様、新型パスポートの偽造だって不可能ではないそうだ。技術の進歩の権力側の専売特許ではなく、それに対抗する側もさらに腕を上げている。こうしている今もどこかで悪意を抱く人々が偽造・変造IC旅券の作製技術の確立に日夜取り組んでいることだろう。
     こうしている今も世界中で数え切れないほど多くの人々が国境を越えて移動を続けている。その中で旅券や査証などの偽造や変造およびその行使を行なう人はごくごくひとにぎりの例外的存在である。こうしたごくわずかな数の人たちによる不正を防止という非効率にしてあまり生産的とは思えない目的のために、世界規模で多額の資金や労力が費やされることになる。
     またICパスポートの導入について法的、政治的、人権上の問題が懸念されている部分もあるし、自国政府の権限の及ばない外国政府の手に自国民の個人データを蓄積させるのはいかがなものかという疑問も提示されている。これらすべてを含めて、善意の市民たちが払わなくてはならない代償はいかに大きなものであろうか・・・と思うのは私だけではないだろう。

    Indians to have e-passports by 2013 (Times of India)
    便利だけですまないIC旅券:入管法改正案の問題点 (JANJAN)

  • ICパスポート(1)

     タイの知人のパスポートを見せてもらった。従来どおり茶色い表紙にガルーダのイメージがプリントされたものだが、手にとってみるとなんだか別物みたいだ。
     それもそのはず、日本でいうところのICパスポートである。写真、旅券番号、有効期限その他の個人データの入ったページは紙ではなくフレキシブルなプラスチックになっており、カバーには様々な情報が記録された電子チップが埋め込まれている。電子化の際にパスポートの素材も全面的に刷新したのだろう。追記や査証欄といった他ページの紙質も大幅に向上したようだ。携帯メモ帳並みの品質の紙に氏名その他のデータが手書きで記された隣国ミャンマーの旅券とは天地の差だ。
     90年代以降、偽造や変造を防ぐために多くの国々の査証は、それ以前の大きなゴム印等でペタリと押すスタンプ式のものからカラフルなステッカー状のものに変わってきている。昔は種別、発行地、発行日、有効期限くらいしか書かれていなかったものだが、今では所持者の氏名、パスポート番号等に加えて、日本のものように顔写真まで刷り込まれるものも少なくない。やがてこうした査証にも電子記録が施されたり、旧態依然の出入国印についても不正を防止するために何らかの手立てが打たれたりするのではないだろうか。
     ご存知のとおり、日本では2006年3月下旬からICパスポートの申請を受け付けている。これ以降に旅券の取得や更新をした人は、この新しいタイプのものを持っているはずだ。パスポートの電子化は時代の流れであるにしても、もともと日本にとっては取り立ててこれを急ぐ理由もなかったので、これを早期に採用することについて政府は積極的ではなかったようだが、主にアメリカからの外圧に屈した形で導入が決まった部分が大きい。具体的にはアメリカが入国査証の相互免除継続の要件として2005年10月(その後期限を延長して2006年10月となった)までのIC旅券の導入を提示したことである。(旧来のパスポート保持者は、有効期限内はビザなしでアメリカを訪問可能)
     ちなみに現在、同国の査証免除対象国とは、アンドラ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルネイ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、サンマリノ、シンガポール、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国の27ヶ国である。当然のことながら、これらの国々もそれぞれ複数の国々を対象に査証の相互免除の取り決めがあるわけなので、将来的にはこの27ヶ国もまた各々の相手国に同様の条件を提示することもありえよう。こうして『アメリカの意思』が世界の隅々へ浸透していくことになる。自国発の『グローバル・スタンダード』を世界に推し進めるアメリカの強い影響力を示す好例だろう。
     もちろんどの国にとっても出入国の不正行為防止には有効である。電子的に記録されている瞳の虹彩や指紋その他の旅券所持者固有の生態認証情報が、旅券の持参人当人と同一であることを容易に確認できる手段が確立すれば、他人のパスポートによる不正入国を防止する効果は期待できるかもしれない。現実に日本在住の一部の外国人たちにより、自分のパスポートを外見や年齢等が似通った人物に貸して出入国させるような大胆な事例は決して珍しくないようだ。たとえば中国のように、自国民が外国で出入国等にかかわる不正問題を多数発生させている国で、可能な限り早い時期に電子旅券を採用させるよう各国から圧力をかける必要があるだろう。
     欧米や中東産油国ではインド国籍保持者による同様の問題がありそうだが、こちらはすでに旅券の電子化のスタートラインに着いている。
    IC旅券の発行を開始しました(外務省)
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ic.html