ボリウッド・トーク・イベント@阿佐ヶ谷ロフトA

5月1日(木)の夜、東京都杉並区の阿佐ヶ谷ロフトAにてトーク・イベント『マサラスタイルでボリウッドNo,1!! 〜カレーに紙吹雪が入らないよう注意!〜』が開催される。詳細については以下をご覧いただきたい。

5/1 ボリウッド・トーク・イベント@阿佐ヶ谷ロフトA (Namaste Bollywood)

これは5月3日(土)から渋谷・シネマライズを皮切りに順次全国公開されることになるカラン・ジョーハル監督の『Student of the Year』(2012)に合わせて開催されるものである。

このトークイベントでは、ボリウッド映画を愛する人々にとって耳よりなお話が沢山飛び出してくることだろう。

Namaste Bollywood #38

Namaste Bollywood #38

今号の巻頭の特集はChallo Dilliである。2011年に公開された作品で、昨年の東京で開催されたIFFJ(Indian Film Festival Japan)でも上映されていたが、今年2月15日からはオーディトリウム渋谷を皮切りに順次全国劇場公開される。

ラーラー・ダッターとヴィナイ・パータクが演じるロードムーヴィー。エリートのビジネスウーマンがムンバイーからデリーへ空路でひとっ飛びしようとしたところが、ひょんなことから陸路で移動することになる。次から次へと降りかかるトラブルの中で、たまたま同じデリーに向かうことから道連れとなった下町のちょっと品がないけれども、機転に富みサバイバル本能にも長けたオジサンと繰り広げるドキドキ、ハラハラの珍道中。

内容についてあまり云々するとネタバレになってしまうので、このあたりまでにしておくが、商業映画としてはかなり低予算で製作されているようだが、ストーリーと演技、つまり中身で勝負して『結果を出した』秀作で、インド映画好きという括りではなく、世の中すべての映画ファンに鑑賞をお勧めしたい。

これに先立ち、サイーフ・アリー・カーン主演のエージェント・ヴィノードもシネマート六本木で公開されているが、こちらは2週間限定とのことなので、上映の残り期間はすでに秒読みに入っているので、観たいと思ったらまさに今、足を運ぶべきだろう。

その他もいろいろ大変興味深い記事が掲載されている。カタックの巨匠ビルジュー・マハーラージ師の来日、マードゥリーのボリウッド復帰作、日本版新発売のDVDその他いろいろ今回も貴重な情報が満載だ。なお、3月には「ボリウッド映画講座」の開講が予定されているとのことで、Namaste Bollywoodのホームページは常時要チェックだ。

さて、今年は日本在住のボリウッドファンにとって、これからどのような作品を観る機会が待ち受けているのか楽しみである。

新年快楽!心想事成!!

2014年の春節は1月31日である。その前日30日は大晦日ということになるので、中国、台湾、加えてその他の中国系のたちが多く暮らしている地域はそれから一週間ほど正月の華やいだ雰囲気の中で休日を過ごすことになる。

アセアン諸国には多くの華人たちが暮らしており、地域によって潮州人が多かったり、広東人が多かったりという特色があるが、それぞれのコミュニティにおける伝統にローカル色を織り交ぜて、様々な祝祭が展開される。

中国系の人々にとって、たとえ大陸の人であれ、在外華人であれ、そうした自分の住んでいる国の外で同じ中国系の人々、とりわけ同じ客家系であったり、福建系であったりといった同一のコミュニティに属する人々の暮らしぶりやしきたりなどを目にするのは、なかなか興味深いことなのではないかと思う。

自国の家庭内で使っている言葉が、まったく異なる国に定住した先祖の同郷の人々に通じるということはもとより、それぞれの土地に根付いて代々暮らしているだけに、生活様式もローカライズされ、普段使っている語彙も地元の言葉等の影響を強く受けていることに気付いたりもすることだろう。

中国から国外への移民の初期は、ほとんどが男性ばかりであったため、同じ潮州人、広東人といっても、本土の人々とはかなり異なる風貌になっていることも少なくない。それでも民族としての中国人、あるいはもっと細かなコミュニティの出自であるというアイデンティティを持つことができるのは、同族としての絆の深さと自身が背負う文化や伝統への愛着とプライドゆえのことだろう。

私自身は中国系の血を引かない、ごく普通の日本人であるため、そのような感情を抱くことはないのは少し残念な気がしないでもない。

さて、アセアン諸国から見て西の方角にあるインド。かつてほどの人口規模はないとはいえ、今も決して少なくない数の華人たちが暮らすコールカーター。多くは広東系あるいは客家系であるが、先祖の出身は広東省の梅県が多い。通信手段の限られた時代であったため、中国から国外への移民の場合だけでなく、インドから東南アジア方面その他への移民たちの場合でも、同郷から非常に多くの人々が渡ったというケースは多い。人づてのネットワークがそうさせたともいえるだろう。

コールカーターの華人社会について、地元で生まれ育った華人自身(現在はカナダに移住)によって書かれた本があり、インド人の大海の中の片隅で暮らす華人たちの暮らしぶりを活写している。描かれているのは、華人社会の中での濃密な人間関係であり、周囲のインド人たちとの関わりであり、1962年に勃発した中印紛争のあおりで苦渋を舐めることになった中華系の人々の悲哀でもある。

書名 : The Last Dragon Dance

著者 : Kwai – Yun Li

発行 : Penguin Books India

ほぼ同じコンテンツで「Palm Leaf Fan」という書名でも出版されており、こちらはamazon.co.jpでKindle版を購入することができるため、インド国外から購入の場合は手軽だろう。

書名 : Palm Leaf Fan

フォーマット : Kindle版

A SIN : B009LAH84G

同じ著者による論文「Deoli Camp: An Oral History of Chinese Indians from 1962 to 1966」は、ウェブ上からPDF文書でダウンロードできるが、こちらも必読である。ラージャスターン州のデーオーリー・キャンプといえば、第二次世界大戦時にアジアの英領地域に居住していた日本人たちが収容された場所として知られている。中印紛争により「敵性国民」とされることになった華人たち(インド国籍を取得していたものも含む)もまた、居住して商売を営んでいた土地から警察に連行されて、デーオーリー・キャンプに収容された時代があった。

この論文は、キャンプでの日々や解放されて居住地に戻ってからも続く差別や困難などについて、体験者たちにインタビューしてまとめたものである。これを読むと、ベンガル州北部のダージリン、メガーラヤ州のシローン、アッサム州の一部にも少なからず華人たちの居住地があったこともわかり、少なくとも中印関係が緊張する以前までは在印華人たちの社会にはかなりの奥行きがあったことがうかがえる。

さて、話は華人たちの旧正月に戻る。今年のコールカーターでの華人の春節のことを取り上げた記事をみかけた。

Chinatown in Kolkata, only one in India, to celebrate Chinese New Year amid plans for a facelift (dnaindia.com)

ライターであり写真家でもあるランガン・ダッター氏も自身のウェブサイトで華人たちの新年を取り上げている。

Chinese New Year, Calcutta (www.rangan-datta.info)

短い動画だが、昨年のコールカーターでの華人たちの旧正月の模様を映したものもある。

Chinese New Year in Kolkata India (Youtube)

Youtubeの動画といえば、ムンバイー在住のドキュメンタリー映像作家のRafeeq Ellias氏がコールカーターの華人たちについて取り上げた作品「The Legend of Fat Mama」を観ることができる。

こちらは旧正月の祝祭の映像ではないが、同地の華人社会をテーマにした秀作なので、ぜひ閲覧をお勧めしたい。

※「マジューリー島4」は後日掲載します。

FRONTLINE インド映画100年記念号

「前線」という名前どおり、思い切り左傾した隔週刊のニュース雑誌。いつも読み応えのある硬派な内容だが、前号(2013年10月18日号)の特集は「インド映画100年」であった。ここで取り上げるのが少々遅くなってしまって恐縮ながらも、iPadやandroidのアプリmagzterからバックナンバーとして購入できるのでご容赦願いたい。

深い洞察眼で物事を徹底的に分析する「しつこいニュース雑誌」が全誌面150数ページのほとんどを費やしての総力特集を組んだだけに、とても濃い内容の記事がズラリと並んでいる。

ノスタルジアや憧れといった感情抜きに、社会学的な見地、言語学的な見地から見た映画事情、昨今の映画検閲の実情について、映画の周辺産業、ボードー語(アッサム州のボードー族の言葉)のようなマイノリティ言語による作品等々、「映画雑誌には出来ない映画特集」で、まさにフロントライン誌でしか読むことのできないものだ。

インドの映画界に関心を持つ者にとってはマストなアイテムと言って間違いない。うっかり買いそびれることがないように!と呼びかけたいところだが、幸いなことにmagzterならばいつでも購入できる。電子媒体なので在庫切れなどということもない。

ずいぶん便利な時代になったものだと思う。

Namaste Bollywood Mook Sutra Vol.4 はじめてのボリウッド

今年の夏、かつて一緒にヒンディーを勉強したドイツ人の旧友と、デリーで久々に顔を合わせて一緒に飲みに出かけた。彼はジャーナリストとして南アジア関係のニュース等を精力的に書いてきた人だが、現在はロンドンに在住。

その彼が言うには、「ロンドンはいいところだよ。誰が暮らしても自分がマイノリティであることをあまり意識しないね。いろんな人々がゴチャまぜに暮らしているから。ドイツではこうはいかないな。それに映画館では最新のボリウッド映画が当たり前に鑑賞できるとなれば、来てみたいと思うだろ?」

彼曰く、観客の大半は南アジア系の人々だそうだが、昔々の宗主国の首都は今でもインドとの間の心理的な距離は近いのかもしれない。ボリウッドをはじめとするインドの大衆娯楽映画の普及の背景には、往々にして文化的・民族的なインフラの下地の存在の有無が大きいということは否定できない。

ところで、ハリウッドに代表されるアメリカの映画の場合は、普遍性が高く、民族性も薄いものととらえられているのではないだろうか。こうした映画が文化圏を越えて広く鑑賞されるのには、世界に浸透している同国の政治・経済・文化の影響というインフラがあるためとみて間違いないだろう。これがフランス映画、イタリア映画となると、まだグローバル性はあるものの、かなり民族色や地域色が濃くなってくるといえるかもしれない。

ここからさらに日本映画、韓国映画となるとずいぶん事情が異なってくる。あくまでも日本の映画、韓国の映画ということで、それぞれの国外の人たちにとって、自分たちの世界とは違う異文化世界の物語ということになる。

ボリウッド映画は、といえばどちらとも少し事情が異なる。隣国パーキスターンのように、あるいはネパールその他の南アジア各国、つまり広義のインド文化圏にある国々の人々にとっては遠い異国の話ではない。加えて世界中に散らばるインド系移民が多くすんでいる地域でも、こうした映画の文化背景は決して遠く離れた世界のことではないだろう。

東南アジア地域に視点を移すと、タミル系住民の多いマレーシアではタミル映画が各地のシアターで公開されており、反対にマレーシアのタミル系住民の規模とは比較にならないほど人口規模は小さいが、北インド系移民の多いタイやミャンマーで劇場公開されるインド映画はボリウッド作品という事情に鑑みても、現地にそれなりの人口規模で在住するインド系の人々の出自による影響は無視できないものがあるようだ。

今思えば、90年代の日本で突如沸き起こった「インド映画ブーム」は何だったのだろう。一般的に市井の人たちの間にインドで製作された作品に対する興味や認識があったわけではない。つまりそれを受け容れるインフラも何もないまっさらな下地であった。少々意地悪な解釈をすれば、ある意図を持った仕掛け人たちが自らの描いた路線で、わずかに存在していた愛好家やその道に通じている人たちを都合よく利用してキャンペーンを張った結果の産物であったといえる。

「自分たちがこれまで親しんできた映画とはずいぶん異なる異次元世界」といったスタンスで、「歌って踊ってハッピーエンド」という紋切り型のワンパターン作品群という前提での取り上げ方であった。そこでは、貧しい庶民が苦しい日常を忘れてつかの間の喜びを見出す場であるなどといういい加減な言質がまかり通り、幾多のメディアによるそうしたスタンスで日本の読者や視聴者たちにそうした印象を与える扱いが相次いでいた。

それまでインド発の娯楽映画がほとんど未知の世界であった日本の観衆は、そうした仕掛け人たちの意図する方向へと容易に誘導されてしまうこととなったのはご存知のとおり。その結果、ヘンな映画、笑える映画といったキワモノの扱いで、ストーリーは単純でコトバが判らなくても楽しめるなどといった、ひどく安っぽいレッテルが貼られることになってしまった。

文化的な面を尊重する姿勢は見当たらず、「上から目線」でリスペクトの感情さえ欠如した負のイメージだけが残ることになり、その「ブーム」当然の帰結として一過性のものとなってしまう。当時のブームを知る世代の間では今も「歌と踊りのハッピーエンドのアレね・・・」という認識が根強く残っているようだ。

インドの娯楽映画に対する理解や普及といった面に限れば、当時刷り込まれた負のイメージの影響が、同国からの映画の日本での普及、とりわけそのインド映画の華といえるボリウッド作品の日本市場への浸透を妨げる要因のひとつとなっていることは否定できず、個人的にはあのような形でのブームはなかったほうが良かったのではないかとさえ思っている。とりわけ現在のボリウッド映画はかつてない幅広いバリエーションの作品群を抱えているだけに非常に残念なことである。

もっとも、当時のブームでインド発の映画作品に触れる機会を持ったことにより、一部ではインドへの留学や舞踊等の伝統文化の習得を目指して渡航する人たちが増えたり、あるいはビジネスでインドと関わりを持ったりする人々が出てきたというプラス面もあったようだ。

前置きが長くなってしまったが本題に入ろう。おなじみNamaste BollywoodのMook Sutraシリーズ第4弾の「はじめてのボリウッド」では、巻頭にて「ボリウッド(梵林)の定義とは」と題して、インド映画の中におけるボリウッド映画の位置づけを示したうえで、この偉大なる娯楽映画の世界を包括的に紹介している。

「梵辞林」という記事では昨今活躍している俳優や女優たちが取り上げられている。こうした企画は他の書籍でもときどきあったが、時代とともに移ろうものなので、ときどきこうして今の時代に旬な出演者たちを確認しておくといい。同様に大切な音楽監督たちやプレイバックシンガーたちついても代表作とともに紹介されており、このあたりをよく把握しておくことで、ボリウッド映画鑑賞の楽しみの奥行きも広がること必至だ。

その他、サルマーン・カーンのブレスレットのような細かな演出、ボリウッド映画のマーケティング戦略等々、この世界にまつわる様々な事柄について言及されている。これらの知識もボリウッドを理解するために大切なファクターである。

またボリウッド映画をめぐり、日本で流布する不可思議な都市伝説についての検証もなされており、これで汚名返上となることを期待せずにはいられない。

今年で2回目となるIFFJ (Indian Film Festival Japan)の開催や時折日本国内でも時折ボリウッドの秀作がロードショー公開されるようになるなどといった、ボリウッドをはじめとするインドの映画を愛する関係者の方々の努力により、これからは上映される作品に対して正当な評価が与えられて普及していくことを願いたい。

ごく一部の例外を除き、私たちの日常にはインドの文化・民族的なインフラがほとんど存在していないという不利な点はあるものの、それとは反対にボリウッド映画をはじめとするインドの映画の裾野の広さがそれをカバーして、日本の人々が自分たちの日常を忘れて異国の夢の世界に遊ぶ愉しみを見つける手助けをしてくれるのではないかという気もしている。

豊かなボリウッド映画世界への案内書として、ぜひともこの一冊をお勧めしたいと思う。お求め先については以下をご参照願いたい。

vol.4「はじめてのボリウッド」好評発売中! (Namaste Bollywood)