燃油代高騰によるサーチャージが膨らみ、空の旅にかかる費用に大きな『異変』が起きている昨今である。そのため今年夏のバカンス目的の国際線需要は、前年の数字を大きく割り込むのではないかと予想されているほどだ。そもそも燃料等のコスト上昇分を追加料金として堂々と別途請求できること自体、いかがなものかと思うのだが、航空・船舶関係は、寡占状態に近いものがあるので、こういうことが可能なのだろう。
ただし既存の航空会社の高コスト体質に抵抗する形で参入してシェアを伸ばしてきた新興の格安航空会社にとっては、これが頭痛のタネとなっている。フライトの運行にかかわるもの以外を極端に削ぎ落としてきたがゆえに低料金を実現しているわけだ。しかし会社設立の初期投資分の回収さえできず、厳しい競争のもとなかなか利益が出る見込みがつかないキャリアも多いと聞く。台所事情が厳しく、経営体力もない中で、追い討ちをかけるかのような燃料価格の高騰とあって、しばらく前までは航空業界再編のカギを握ると目された低コストキャリアが今では一転苦境に立たされており、フライトの削減により機材が駐機場にゴロゴロ・・・なんていう事例を報じたニュースを目にしたりもする。
こうした逆風をよそに、さらに強気な攻勢に出る格安航空会社もある。既存大手の牙城であり新興会社の実績がイマひとつの日本に黒船襲来か?とされるニュースをしばしば見かけてはいたが、ついに『来春にも就航』なんていう記事が出ており、あとはカウントダウンを待つだけのようだ。その話題のキャリアとは、マレーシアを本拠地として周辺国に展開しているエアアジアの長距離国際路線を担うエアアジアXで、日本就航を睨み、静岡、中部、福岡、新千歳空港といった地方空港の中から、乗り入れ先の選定に入っているとのこと。
実は、東南アジアのこうした新興航空会社による日本乗り入れは、これが初めてというわけではなく、すでにバンコクエアウェイズがバンコクのスワンナプーム空港から広島と福岡に定期便を飛ばしている。だがタイ国内や近隣国へのフライトは手頃な料金でも、日本への路線は特に安いというわけではない。だから『大手の半額』という低価格をセールスポイントに乗り込んでくるのは、エアアジアXが最初ということになるのだ。
同社は、韓国、そしてインドへの乗り入れも検討中とのことで、単に日本とタイの間を飛ぶ際の選択肢のひとつにとどまらず、スケジュールや料金次第では、東アジアと南アジアの間を往来する有力なキャリアとして浮上してくるかもしれない。今後の進展が気になるところだ。
世界最安航空、来春にも日本就航 「運賃、大手の半額」 (asahi.com)
投稿者: ogata
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エアアジアXがやってくる
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双子の母は70歳
インドのU.P.州ムザッファルナガル在住の70歳女性、オームカーリー・パンワールさんが双子を出産したとのニュースがインド内外のメディアで話題になっている。2005年にルーマニアで66歳での出産、2006年にはスペインにて67歳で出産した例があるが、これらを上回り70代という大台に乗せての堂々世界新記録ということになる。しかしこの年齢については、やや疑問符が付いているようだ。彼女の出生についての記録がなく、自身が『インド独立時に9歳であった』ということが、70歳という年齢の根拠であるからだ。
予定日よりもひと月早く、男の子と女の子を帝王切開にて出産。容態が悪化して病院に担ぎ込まれたときは出血がひどく意識も朦朧として危険な状態にあったらしいが、母子ともにその後の経過はまずまずとのことで何よりだ。
体外受精医療の進歩と普及を受けて、近ごろのインドでは代理母出産に加えて高齢での出産も増えているとのことで、メディアでしばしばそうした例も取り上げられているのを目にする。どうしても子供が欲しいという気持ちについては一定の理解を示していても、往々にしてそうした傾向に好意的というわけではなく、母体への危険とともに倫理的にどうなのか、親として責任を果たせるのかどうかといった疑問符が付く。これには私も大いに同意するところだ。
オームカーリーさんの77歳の夫は、土地をカタに借金し、家畜を売り払って資金を工面したと記事中にある。とうの昔に成人した二人の娘と五人の孫がいるということで、曾孫であってもおかしくないような子供を出産したことになる。わざわざ体外受精で妊娠したのには、どうしても男の子が欲しかったためとのことだが、ぜひとも男の子をという伝統的価値観あるいは相続の問題など具体的かつ実質的な問題によるものなのか、具体的な背景には触れられていない。
しかし相当な高齢での出産が、リスクが大きいとはいえ技術的に可能になっている今、70歳での出産という事例よりも重要なのが、『それでも産もう』と夫婦を決心させる動機にあたる部分ではないかと思う。
医療技術の進歩に感嘆し、母は強しと畏れ入るとともに、他人事ながらもその年齢での子育て(たぶん親族内でなんとかなるんだろうが)や夫婦に残された時間と子供の成長を思い合わせると、なんだか複雑な気持ちにもなる。
念願かなっておめでたいことであるのには違いないとはいえ、いろいろと考えさせられることの多い世界最高齢出産である。もちろん他人がとやかく口出しすることではないことは言うまでもないのだが。
ともあれ、無事生まれて何よりだ。今後、双子の赤ちゃんたちとオームカーリーさん夫婦の幸せを祈ろう。
70-year-old grandma gives birth to twins? (DailyIndia.com)
Gran, 70, gives birth to twins (The Sun)
70-year-old woman becomes world’s oldest mother with birth of twins (Daily News)
70歳ママが双子産む、インドで世界記録 (日刊スポーツ) -
愛が凶器に変わるとき
近年のインドのニュースで、恋愛のもつれに起因する凄惨な事件をよく目にするなあ、とは思っていたが、インディア・トゥデイ6月25日号によれば、国内で発生する殺人の三大動機のひとつだそうだ。特にパンジャーブ、デリー、グジャラート、マハーラーシュトラ、アーンドラ・プラデーシュにおいては、殺人事件における最も大きな割合を占める原因が男女関係であるとも記されている。
同誌英語版では、6月23日号にこの内容の記事『Crimes of Passion』が掲載されている。近年の男女間のトラブル、恋人同士、夫婦間、不倫等を発端とする事例の数々を提示したうえで、その背景にある社会的な要因を探る努力がなされている。詳しくはP.38からP.45までの記事内容を参照いただきたいと思う。大局的に価値観やライフスタイルのありかたなどで、旧来の価値観と新しい世代のそれとの間の齟齬が大きく、それらが衝突を起こしているがため、というステレオタイプなまとめかたがなされるのではないかと思ったが、そうではなかった。
社会的にも経済的にも独立して着実に地位向上を目指す女性たちが増えている昨今、強くなり進歩的になった女性とそれについていけず男性主導型の考えに固執する男性たちとの間の摩擦が主要な要因であるとし、今を性革命の時代とすれば一歩も二歩も先んじているのは女性であり、男性たちは後塵を拝していると指摘する部分が新鮮だった。
政治であれ、コミュニティーであれ、従来力関係に変化が生じたときには新たな秩序を組み上げるにあたり、自らをより有利なポジションに置くために、積極的なパワーゲームが展開されるものだ。中世の王家などで、後継者を定めずに支配者が没した際の世継ぎをめぐる熾烈な争いなどもその典型だろう。
だがたとえ男女のありかたが変わっていっても、人の数だけ出会いはあり、恋愛はひとつひとつ中身が違う。しょせん生まれも育ちも違う他人同士が好き合うのだから、楽しいこともあれば、互いに理解しがたく堪忍袋の緒が切れることもあるだろう。いつの時代にあっても、男女の仲は睦まじくも難しいもの。
しかしながら人間として越えてはならない一線を踏み外してしまった人たちの事例とその背景にあるものの分析は、今の世相を考えるうえで示唆に富むものであった。 -
E-タバコ
嫌煙権と言うコトバが生まれたのは30年くらい前のことだという。もちろんその背景には、世間でタバコの害について認知が進んだことが背景にある。非喫煙者の副流煙による間接喫煙を原因とする健康被害にあいたくないという、ごくまっとうな意見が静かにしかし着実に浸透し、分煙化が進んでいくことになった。
確かに古い映画、ドラマ、報道番組などを目にすると、事務所内がタバコの煙でもうもうとたちこめていたり、デスク上の灰皿がてんこ盛りになっていたりして、画面から匂ってくることはないとはいえ、今とはずいぶん違う雰囲気を感じる。
当初は交通機関や多くの人々が利用するスペース等に『禁煙車両』『禁煙コーナー』といったものが設けられ、煙がくることを望まない人が特別にしつらえた環境下でそれを避けることが可能となったが、その後さらに喫煙規制が進んだ結果、『喫煙車両』『喫煙所』という形で、タバコを吸う人たちを特定の場所に囲い込むことになる。つまりスタンダードな立場が喫煙者から非喫煙者たちのほうに移ったわけで、地道に進められていった喫煙規制運動の勝利といえる。
もちろんこれは日本に限ったことではなく、世界中でほぼ共通の現象であり、特に規制の進んでいる地域に比べて、日本では人々の所得水準に比してまだまだタバコの小売価格が安いが、喫煙率も同様に比較的高い水準にあるのもそのためだろう。
日本のメディアのウェブサイトに、以下のような記事があった。
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世界のたばこ事情
価格水準 先進国の中では低め
(北海道新聞)
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そういえば、インドもそうだが諸物価に比してタバコが高い国々では、しばしば10本入りパッケージが売られている。あまりにお金がかかるので「やめよう」と思いつつも、『この小さい一箱で終わりにしよう』なんて手を出してはそのままズルズル・・・という姿や、禁煙3日目あたりの人が『ちょっとだけ、この小さなパッケージだけ・・・』なんて妥協しては元の木阿弥なんていう人の姿が目に浮かぶようだ。
だが一本ずつのバラ売りというのは、それ以上に注意を要する存在である。やめるつもりでも日に数回禁煙を『いとも簡単に中断』できるし、『スパッとやめたぜ』などと公言しつつも、ポケットからコインを出して一本買っていたりする。それでも箱で購入していないので、禁煙の誓いに負けたなんていう気がせず、『オレはタバコやめた』という自信が揺るがないのが不思議だ。しかし手元にあるタバコの数を制限できるので、節煙になることは間違いないが。
現在の私自身はといえば、喫煙者とも非喫煙者ともいいがたいものがある。たとえばどこかで酒を飲むときはタバコが欲しくなって吸うし、自宅をしばらく離れて旅行するときには一時解禁ということにしている。もちろん帰宅するとスパッとやめているつもりだ・・・とはいえ、やはり未練が残っているので完全にタバコから縁が切れたとは言い難い。
ところで『オレは止めないぞ』と喫煙意思の固い人たちも決して少なくはない。そういう人たちは、禁煙時代の飛行機での移動、とりわけ国際線の利用となるとかなり困るらしい。ターミナルビルの外で吸いだめしてみたところで、出発2時間ほど前にチェックインし、目的地にもよるが概ね長いフライト時間、到着してからも行列しての入国手続きや両替等を済ませ、ようやく外に出てからタバコに点火。『やれやれ、これだから飛行機は嫌だなあ』といった具合なのだそうだ。
何かと便利なモノが次から次へと出現して、あの手この手で消費者の懐をうかがうこの世の中、そういう人にピッタリ(?)な商品がすでに出ているようだ。電子タバコなる代物で、その名もSUPER SMOKER。どんな味なのかよくわからないが、どうせならもうひと捻り加えて、世界的にメジャーな銘柄のテイストを選択できるようにすると、かなり好評を得るのではないかと思ったりもする。
電子タバコ「Super Smoker」がヘビースモーカーの命を救う!? (MSMデジタルライフ) -
解禁から2年 東京の店頭にインド産マンゴーは並ぶのか?
2年前からインドからのマンゴー輸入が解禁となっているが、なぜか日本国内・・・というか少なくとも東京都内の店頭ではトンと見かけず、あるのは『メキシコ産』『フィリピン産』『タイ産』といった従来どおりのラインナップ。いったいどこで売られているのだろうか・・・と不思議に思っているところだ。でもよくよく目を凝らすと、加工品の類はそれなりに出回っていることに気がつくこのごろ。
あるスーパーでマンゴージャムなるものを見かけた。ごく普通の小さな瓶入りのもので、価格は1480円とある。どんなものかと興味を引かれたが、ちょっと高すぎて手が出ない。その横に並ぶのはマンゴージュースで200ml入り350円。インド料理レストランと食料品輸入とを行なう日本の会社が手がけているもので、同社は他にもインドからその他のマンゴー加工製品や蜂蜜なども扱っているようだ。
ジュース、ジャム、缶詰といった具合になってしまうと、どれも同じような味になってしまうので、やっぱり期待したいのは生の果実がドカンと大量に入ってくること。インドのマンゴーを、日常的にアメ横あたりでダミ声のオジサンが台車で叩き売りするくらいになってくれるとうれしいのだが。品種豊富な中で、好みもいろいろかと思うが、とりあえず生果実がふんだんに入ってくることがあれば、何であっても御の字である。
マンゴーの世界での総生産高のおよそ半分が収穫されるというマンゴー大国インド。日本の食卓に供給する余力充分(・・・たぶん)と思いたいところだが、時期が時期だけに、今の時期までに店頭になければ本格的に期待できるのは来年以降になってしまうのが寂しい。 -
Namaste Bollywood #13

早いものでもう2カ月かぁ・・・と思う。4月に12号が出てから、アッという間に時間が過ぎ去って行った。
今号の目玉は、『はやわかりボリウッド』とのことで、映画界に関する豆知識が散りばめられている。ムンバイーで製作される映画の国際性、映像技術の高さ、大人が楽しめる質の高い作品群等々に情報がぎっしりと並んでいる。こういう努力の積み重ねが、日本の映画ファンの間で根強いボリウッド映画ひいてはインド映画全体に対する誤解や先入観を解き、が様々なジャンルの異なるテーマの無数の作品群の中から好きなものをいくらでもチョイスできる無尽蔵の宝箱のようなボリウッドの世界の魅力に開眼する手助けとなることだろう。
また個人的にちょっと気になる記事があった。リライアンスグループを率いるアニル・アンバーニーが映画製作に意欲を示しているとのこと。飛ぶ鳥を落とすような勢いの新興財閥がエンターテインメントの世界で何を仕掛けてくるのか?という期待とともに、欧米嗜好のテイストが好みらしいことから、限りなくハリウッド的なボリウッド作品、あるいはボリウッド的なハリウッド作品を量産しようとしているのでは?という不安も感じないではない。
他にも5月にバングラーデーシュから来日したバウル・ロッカーへのインタビュー、ヌスラット・ファテ・アリー・ハーンの後継者であり甥でもあるラーハト・ファテ・アリー・ハーンに関する記事、書籍の項には往年のボリウッドのダンスシーン彩ったヘレンの伝記『HELEN』の紹介等々、いつものごとく何でもアリのリッチな誌面だ。
巻末のBollywood Filmy Pedigreeに登場するのは、サイーフ・アリー・カーンとその親族。『世が世なら』の正真正銘の王子様であることは広く知られているが、彼が持つ高貴な雰囲気と傲慢さはまさにその血筋ゆえのことだろうか。元妻のアムリター・スィンの叔父は有名な著述家クシュワント・スィンであることはちょっとビックリしたが、それ以上に興味を引かれたのは、パタウディーのナワーブであった父方のほうも、ボーパールのナワーブであった母方のほうも、印パ分離独立時に親族もインド側に残る者あれば、パーキスターンに移住した者ありといった具合であったとのこと。映画以上にドラマチックな出来事に満ちた王子様の家族史の糸口が行間に見え隠れしているようである。
今号もまた非常に力のこもった濃い内容のナマステ・ボリウッド誌だ。 -
ジャパン・バングラデシュ フレンドシップフェスティバル
近ごろ都内の野外イベント会場では、バングラーデーシュ関係が目立つ。4月に池袋西口広場で行なわれたカレーフェスティバル&バングラデシュボイシャキメラ、6月のバングラデシュフェスティバル2008、に続き、8月2日(土)と3日(日)には、渋谷の代々木公園イベント広場および野外ステージにて、『ジャパン・バングラデシュ フレンドシップフェスティバル2008』というイベントが企画されている。
もちろん今の日本で、とりたててバングラーデーシュがブームというわけではなく、6月のイベントにおけるテーマが地球温暖化を考えるという趣旨であったように、8月に予定されているも催しは、バングラーデーシュでの国際協力にかかわる事業を実施している団体が、同国の文化や歴史を紹介、そこで行なっている事業についての報告をするとともに、一人でも多くの人からの理解と協力を得ようという真面目なものである。
このプログラムの成功を祈るとともに、バングラーデーシュはもちろん南アジアの様々な国や地域へ、多くの人々の興味・関心がこれまで以上に寄せられるようになることを期待したい。 -
2012年 ドゥバイが楽しみ
下記リンク先の記事を見ていただきたい。ボリウッドの映画監督ヤシュ・チョープラーがにこやかに握手を交わす相手のアラビア人女性は、中東の金融センター、UAEのドバイを拠点とするドゥバイ・インフィニティ・ホールディングスのCEOであるサミーラー・アブドゥルラザク。
Yash Raj Films (YRF) signs a Joint Venture with Dubai Infinity Holdings (Yash Raj Films)
両者の間で、ヤシュ・チョープラー監督率いるヤシュ・ラージ・フィルムズによる『YRF Entertainment District』なるものがドゥバイに造られることが決定した。詳細はまだ明らかになっていないが、テーマパーク、ムービーパレス(?)およびホテルといった施設が含まれるそうだ。もちろんどれもボリウッドがテーマとのことで、UAEに暮らすビジネスマン、技術者、建設労働者など、様々な業種の150万人ものインド人居住者たちの関心を大いに引くことだろうが、同時にインドの富裕層に人気のレジャー先でもあることから、『いつか訪れてみよう』と思っている人も少なくないだろう。
完成予定は2012年。まだまだ先だが、かなり興味を引かれつつもなかなか足が向かないドゥバイに、そこを訪れるためのひとつの大きな動機ができるわけで私としてはちょっとうれしい。またひとつ目玉が出来るわけでちょっとうれしい。果たしてどんな施設が出来上がることになるのか、続報を待つことにしよう。
ヤシュ・ラージ・フィルムズの提携相手のドゥバイ・インフィニティ・ホールディングスは、昨年12月に発足したばかりの会社だが、金融と観光とファッションの街ドゥバイをまさに地で行くような活動を展開しているようだ。主にエンターテインメントやレジャー関係で多額の投資を行なっているらしい。
テーマパークはさておき、個人的にかなり気になるのはサミーラーCEO。巨万の富(・・・たぶん)を自在に操る、若くて見目麗しき辣腕経営者。それこそ映画に出てきそうな人物だ。あまりにカッコ良すぎるが、この財の源泉と地位の背景には何があるのか?この人はいったい何者なのだろう?謎多き美女である。単なるマスコット的なお飾りなのか、それとも真の実力者なのか。同社ウェブサイト中の『Ask the CEO』に何か意見を書き込むと、本人が直接返事をくれるとある。今のところ何かメッセージを送って贈ってみるつもりはないが、ちょっと興味をそそられる。なかなか上手い演出だな、とも思う。 -
便利になった
空港に着いた。国内各地をひっきりなしに飛び交う多くのキャリアの社名やシンボルマークが目に飛び込んでくる。かつてのインドの各空港のゆったりと鷹揚な雰囲気はいまいずこ。21世紀のインドの空の旅は、新興航空会社の伸長にともなう発着便の大幅な増加により、既存の空港や管制システム等への負荷が大きくなりすぎている。空はともかく、空港や関連施設はどこもずいぶん手狭になっている。
極端な話、チャンディーガル・デリー間のような近距離の移動の場合、飛行機を選ぶと実質の移動時間はごく短いとはいえ、鉄道と違って出発予定時刻よりもかなり早くチェックインしなくてはならないこと、フライトの機材が搭乗する空港に到着するまでに相当な遅れを蓄積していたりすることなどにより、『あぁ、鉄道で行ったほうがよっぽど早かった』なんてこともしばしばあるだろう。
混雑と遅れの解消とスムースな運行を目指して空港の増改築、新規の空港建設などが進んでいるところだが、相応の落ち着きを見せるにはまだまだ時間がかかりそうだ。視点を変えれば、こうしたインフラ関連の産業は、どこでも引く手あまたで今後も着実な成長を見せる証拠ともいえるだろう。 -
カレーなる梅雨の中休み

バングラデシュフェスティバル2008に行ってきた。6月中旬の屋外イベントともなると、まずは天気がどうなのか?と気になるところだが、東京の雨季は小休止でカンカン照りの本日。第一回目の開催とのことで、かなり空いているのだろうか、でもこの天気ならば多少込み合っているかも?と思いつつ、会場に入ってみると、拍子抜けするほどの広い空間が広がっている。
なんだかけっこう店が出ている割には人出が少ない。もし雨でも降っていたならば、ガラガラに空いていたのではないだろうか。そもそもこういうイベントが行なわれていることも世間であまり知られていないようだ。新規立ち上げのイベントを宣伝するということは、なかなかむずかしいことと思うが、『果たして来年はあるのだろうか?』と気になるほどだ。それでも昼下がりからさらに夕方近くなるころには、おそらくこのあたりを散歩していてたまたまこのイベントが開かれていることに気づいたらしい人々が次第に集まってきたようではある。
しかしこれとは反対に、イベントがあまり盛況すぎるのも、そこに集う人々にとってはちょっと考えものではある。たとえその会場で『昼ごろ会おう』なんて待ち合わせしていても、携帯電話を家置き忘れたり、たまたまバッテリーが切れてしまったりするとうまく会えなかったりということもあるだろうし、出店で食事を買うにも長い行列、座るところもなく立ちっぱなしで話していて疲れてしまったりと、人ごみのワサワサした雰囲気と合わせて、あまりリラックスできる感じではないからだ。
主催者側が用意したいくばくかの座席がすっかり埋まってしまうことはなく、待つことなく席を占めることができるし、音楽の演奏などがなされているステージ前も好きなところに座れるし、とかくスペースがふんだんにあるのは快適だった。もちろん『これくらいがちょうどいい』なんて言い切ってしまうと、主催あるいは出店している方々からは『冗談じゃない』と怒られてしまうだろうが。
食べ物の露店は、他のこうしたイベントでもおなじみのレストランからやってきているものが多いようだ。オーナーがベンガル人だったり、ベンガル料理の店ということになっているところだったりするのだが、やはりテントの露店でできる品目には限りがあること、日本で南アジアの料理として期待されるもの、好まれている品に特化しており、ベンガル料理らしいアイテムはほとんど見当たらないようだ。お客の間でのベンガル料理への認知度と売り上げとの狭間で、当事者たちはいろいろ思うところはあるのではないだろうか。
会場の隅のほうでは、このイベントの正式な出店者とは思えない民芸品その他の業者たちの姿あり、普段公園内で飲み物を扱っている業者がイベントスペースにはみ出して(?)営業していたりと、かなりユルい感じの会場。主催者の姿がよく見えず、特に押し付けがましいところもなく、統制もほとんどないようで、あたかも『たまたまこういう露店が集まりました』といった感じの伸び伸びとした空気が心地よかった。
明日15日はこのイベント二日目にして最終日。もし新宿・渋谷界隈に足を伸ばす予定があれば、ちょっと立ち寄ってみてはいかがだろう。 -
2010年 ムンバイーに新名所登場

やはり今世紀は『インドの時代』ということなのだろうか。おそらく私たちの多くがこれまで見たこともないような超モダンかつハイテクなビルが市内に建築されるとのことで、2010年末までに完成予定とか。
James Law Cybertecture Internationalがデザインを手がける32,000平方メートルの床面積を持つこの卵型の建築物、Cybertecture Eggは、卵型で容積にくらべて外面積が少ないことから、強い陽光や外気の影響を受けにくく、建物外装に装備される緑地が建物を冷却する機能を持つ。加えてこの建物には太陽および風力による発電機能を備えているそうだ。さらにはここで働く人々の健康状態までモニターしてくれるのだとか。
新旧織り交ぜて様々な顔を持つインドの『先進的な』部分を象徴するようなこの建物、入居するのはどういう企業?あるいは施設?だかよくわからないが、非常に注目度の高い超ハイテクビルということもあり、セキュリティーに対する配慮はそうとう厳しいものになるのではないだろうか。真新しい建物内を自由に散策しつつ、カメラでパチリパチリと撮影を楽しむような具合にはいかないような気がする。でもムンバイーまでわざわざ見物に行かずとも、竣工後には映画のロケでもしばしば使用され、スクリーンで目にする機会も多いのではないだろうかとも予想している。
いつも明るい話でもちきりとはいえないムンバイーだが、同じ時間軸のうえで交わることのない様々な事象が展開していく重層性には、この都市のひいてはこの国の懐の深さを感じずにはいられない。

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インド洋海域から眺めた世界
陸路はもちろん海原を通じてもインドと外界とのコンタクトは続いてきた。かつて徒歩や騎馬などにより遠路はるばるやってきた勢力が、インドにいくつもの王朝を建ててきた。もちろん同じルートをたどって経済活動を行なうことを目的にやってきた人々の流れもあった。同様に、海からも船舶に乗っていくつかの外来勢力がインドを目指してやってきて、支配を確立していった。そして最後にやってきたのがイギリスということになる。もちろん侵略や征服目的といった意図を持たず、商取引やより良い生活条件を求めて渡航してきた人々も多数あった。
インドで先祖の出自をそうした外国からの移住者と認識するコミュニティが多数存在するのと同様に、インドから様々な国々に出て行き定住した人々もまた多い。陸路でたどり着ける地域はもちろんのこと、アラビアやアフリカでもインド系移民たちがコミュニティを形成してしいたり、生活や経済活動等のさまざまな痕跡や影響を残していたりする。
かつて日の沈まない世界帝国として君臨したイギリスの支配下ないしは強い影響下にあった地域が多いことも、こうした活動の拡散に追い風となったようだ。航海技術の発達に加えて、地域間交通がよりマクロ的な視点から発達し整備されるようになったこと、更には経済活動や商取引等にまつわるルール等、ある一定の共通のモノサシが普及していったことなどは、大英帝国とその支配の構図が、一種のインフラとして機能し、人やモノの行き来を促進することになっていったといえるだろう。
インド亜大陸のアラビア海に面した西岸部と海原を通じてつながる中東・アフリカ各地の岸辺をひとつのつながりとして俯瞰したこの図書から、『アラビア海域』というひとつの世界が見えてくるようだ。中東・アフリカ地域のインド系住民たちをDiaspora、つまり経済的理由等で本国から離散した人々と見るか、それとも今なお本国と有機的なつながりを持つインド世界の飛び地と見るのかで見えてくる世界が違ってくる。
さまざまな人々が行き来する海上からその沿岸地域を見渡す視点を与えてくれるこの一冊を手にしてみた。インドをアフガン・イラン方面ないしは、日本・東南アジア方面からという二方向から地続きで眺めてしまいがちな私たちに、海域を通じた第三の視座を与えてくれる一冊である。海原は決して無の空間の広がりではなく、異なる文化圏をつなぎ合わせる広大なネットワークであることを改めて思い起こさせてくれる。
この『インド洋海域世界』は、東は東南アジアから西はアフリカ東海岸までの、人々やモノの移動、文化の伝播や商業ネットワークの構築といった多様な切り口から、地域間で繰り返されてきた重層的なコンタクトの豊富な事例を交えて、異なる地域間からなる『ひとつの世界』が存在してきたことを私たちの目の前に提示してくれる。
インドに軸足を置いてアフリカを眺めてみるのもよし、インドネシアからはるか西のメッカを望んでみるのもよし、ザンジバルの港からオマーンの方角へと目を凝らしてみるのもまたいいだろう。海域世界というマクロな観点から複眼的な視野で眺めた雄大な風景に胸がすくような思いがする。

書名:自然と文化そしてことば インド洋海域世界
著者:小西正捷他
出版社:言叢社
ISBN-10: 4862090222
ISBN-13: 978-4862090225
