マスコミ人来たれ!

 東京都内の路上でのこと、手にした地図とにらめっこしては周囲をキョロキョロ見渡している外国人の姿があった。「何かお探しで?」と声をかけてみれば、こちらは土地っ子なのでたちどころに彼の問題は解決。
 風貌から南アジアの人かと見当はついたが、やはりインド人。しばらく立ち話をして名刺をもらったが、ある大手週刊誌記者であった。日本でIT関係の取材をしにきたのだという。
 まさにIT業界を中心にインド人のプレゼンスが目立つ21世紀の日本。やってくるのはそうした職場で働く技術者やその家族たちだけではない。コミュニティの規模が大きくなればこれらの人々の生活のニーズを満たすため食品や日用品その他を流通させたり、テレビ番組や映画ソフトなどのエンターテイメントを供給したりする業者も増えてくる。インド人による日本でのビジネスがそれなりに育ってくれば、それを取り上げるメディアも出てくるのだろう。
 インドのマスコミで、外国の通信社配信の日本関係記事が取り上げられることは少なくない一方、インド人ジャーナリスト自身による日本取材記事はとても少ない。広く世間にモノを言うことを生業とする人たちが積極的に日本の姿をカヴァーしてくれるのはありがたいことだ。日本に縁のない人、来る機会のない大多数の人々を含め膨大な読者たちを対象に全インド規模で「日本体験」を広めることができるのは彼らをおいて他にない。こうした動きは日印間の距離を確実に縮めていくことだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください