インドのデジカメ考

Better Photography Magazine
 インドで「Better Photography」という雑誌が売っている。これは日本で言えば「日本カメラ」「CAPA」に相当する写真専門誌。ちょっとページをめくってみると、インド各地の美しい写真が目に飛び込む。この国はまさに被写体の宝庫である。
 だが簡単なスナップ写真はともかく、撮影テクニックを駆使した「趣味の写真」がまだ一般的ではないこともあり、内容は日本の専門誌と比べるとかなり初歩的だ。撮影技術に関する記事は少なく、新製品のレビューに終始しているといった印象で、しかもメーカーのカタログの記載内容をそのままなぞっているといった印象を受ける。
 そんな中、興味を引かれるのは、そうした紹介記事の大半がデジタルカメラに割かれていること。いままで、インドで見かけるカメラといえば、安手のコンパクトカメラくらいのものであったが、ちかごろ都市部ではデジカメを手にする人たちが確実に増えてきている。 
 日本の場合と同じく、価格が下がってくればデジカメの即時性、ランニングコストの低さは大きな魅力となり、さらに普及が進むはずである。
 雑誌の広告には、サムソンコダック(日本ではDCS Pro SLR/nという60万円前後の高級デジタル一眼レフを販売している)など、日本ではデジカメのメーカーとしては馴染みのない企業の名前も目につく。
 デジカメ業界では、銀塩カメラ以上に、技術的に先行するキヤノンやニコンといった日本企業による寡占状態が著しくなってきているが、海外市場ではこうした会社もエコノミーな価格帯ではけっこうがんばっているのだ。


 コンパクトタイプ以外にもニコンやキヤノンも普及版のデジタル一眼レフから上級機種まで市場に投入。SIGMA社の新製品のレンズもレビューが掲載されていた。
 こうしたカメラの値段は先進国での販売価格とあまり変わらない。ハイエンド機種やデジタル一眼レフを買うということは、インドの物価を考えれば大変な贅沢ということになるが、こういう雑誌が全国規模で販売されているのはそれなりの購買層があるからだ。
 また、デジカメ・データをメディアから直接取り込んで持ち運びできるストレージ、MERLIN社のDIGITAL PHOTO BANKという製品も紹介されていた。これは日本で販売されている飛鳥社製の「トリッパー」や、トランセンド社製の「デジタルフォトバンク」同様のコンセプトによる携帯型ハードディスクだ。
 こうした製品が登場する背景には、画像データの大型化・大量化という事情がある。業務用として購入するケースが多いのかもしれないが、用途はともかくデジタルカメラ上級機種のヘビーユーザーが増加しつつあることの証だろう。
 ムンバイのカメラ販売店のウェブサイト「Photo Centre India」を覗いてみると、最近の機種がけっこう出回っていることがわかる。
 購買力の関係で高級機種が一般に広く浸透することはあり得ないが、普及モデルについては、今後インドがデジカメの巨大市場として浮上し、一般ユーザーの手にするカメラがほぼデジタル化する日もそう遠くはないかもしれない。

「インドのデジカメ考」への1件のフィードバック

  1. デジカメ写真をプリントアウトしてくれる写真屋さんも急増していますよ。バンガロールでは、対応していない写真屋さんの方が少ないくらい!? こじんまりした埃っぽくて薄暗いい地味な写真店ですら、手製のポスターに「DEGITAL CAMERA Print Available」なんて手書きで書いてあったり…。
    かくゆうぼくも、先日近所の写真店でデジカメ写真のプリントを試しに出してみたところ、普通の銀塩写真のプリントとほぼ同レベルのプリントがあがってきました。
    店に渡すときは、スマートメディア各種、CD-R、フロッピーディスクなどに対応しているようです。ポストカードサイズのプリントで1枚/6Rsでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください