POSTE RESTANTE 局留郵便(2)

 手紙の受け取り方法は局留めだけではない。日本大使館や領事館、それら附属の文化広報施設などで旅行者宛ての手紙を預かってくれるところもある。
 ニューデリーのネパール大使館近く、日本大使館附属の施設屋外に置かれた大きな箱の中、イニシャル別の区切りから自分宛てのものを探す。一応「職員に声をかけて持っていくように」と書かれているものの、旅人宛ての手紙など、持ち去る者などおるまいということか、それほど厳密に守られているわけではなかった。
 「マナリーから大量のガンジャを大使館気付の自分宛てで送った」などと吹聴している日本人がいたので、まさかと思い、彼より一足先に行ってみると、サイズの割にやけに軽い封筒で彼宛ての手紙が届いていた。そっと表面を押してみると、乾燥した植物が入っているような感触。「大使館宛てで送れば、大事に届けてくれる」という彼の言葉どおり、開封された形跡は無かった。


 そんなチャッカリ者もいたが、いつも混み合っている郵便局と違い、落ち着いて手紙のチェックをできるのがありがたかった。
 そういえば、大手クレジットカードやトラベラーズチェックのオフィスでも、手紙を預かってくれるところがあるそうだ。利用する予定のホテル宛てで受け取る人も多いだろう。旅行者の多い宿では、メッセージボードに手紙や封書が貼り出されているのをよく目にする。
 電子メールが出現して、局留郵便の不便なところはすべて解消された。瞬時に届くこと、どこにいても受信できること、旅人からの一方通行になりがちだった連絡が、双方向になったことの意味はとても大きい。初めての街で中央郵便局を尋ねて右往左往することもなく、保管期限に気をもむこともない。旅先で別れた人と近況をやとりとすることだってできる。荷物を送ってもらわないかぎり、わざわざ郵便を利用するはことなくなった。
 これは旅先に限ったことではないが、電子メールが普及し、人に何かを伝える文章を書く機会が増えた。筆不精だったはずの友人にメールを送ると、翌日には短いながらも返事が届いている。
 内容はさておき、物を書くのがずいぶんと手軽になった。年賀状の返礼は億劫でも、メールの返事ならば苦にならないのは不思議だ。筆不精がやたらとメッセージを書き連ねて送る。これだって立派な「通信革命」に違いない。
<つづく>

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