築浅「宮殿風」ホテルもいいかも?

AMAR MAHAL
インド各地、とりわけラージャスターン州、マディヤ・プラデーシュ州といった地域を中心にかつての支配者たちの宮殿を宿泊施設に改造したヘリテージ・ホテルが多い。それらはかかつてそこに起居していた藩王の子孫の手によるもの、民間会社がリゾートとして転用したもの、州政府観光公社が宿として運営しているものなどさまざまである。またホテルとしての格も千差万別で、タージ・グループによるウダイプルのタージ・レイクパレスのように一泊何万ルピーもするところがあるかと思えば、ラージャスターン州政府観光開発公社(RTDC)経営のプシュカルにあるホテル・サローワルは一室150〜990ルピーと低価格。しかも安旅行者向けのドミトリー(100ルピー)も併設されている。
パレス、宮殿といったところで、壮大な規模で豪華絢爛であったものもあれば、やや大きめのお屋敷という具合だったところもある。ましてや宿泊施設としての運営主体や部屋の料金帯が違えば、そのメンテナンス具合も実に様々なので、「宮殿ホテル」なんていう形容はあまりに大雑把すぎるかもしれない。
宮殿ホテルは、その建物自体の歴史性、文化財としての存在にこそ価値がある。ゆえにこうした宿泊施設にあっても最近できた「新館」であったりすると興ざめだ。あるいはそこが旧来の「宮殿」の建物であっても、広い床面積のうち実際にロイヤル・ ファミリーが普段使用していた場所となると限られてくる。するとあなたが利用する部屋は、使用人たちが起居していたところや宮勤めの事務方の人たちが仕事をしていた場所かもしれない。あるいは単に倉庫スペースだったかもしれない。お客を宿泊させて料金を取る宿泊施設となった時点で、間取りや内装その他大きく変更されていることは間違いないだろう。今風にモダナイズされているところも多い。宮殿というまったく性格の違う建物をホテルに転用しているため、同じ料金レベルの客室でも部屋ごとの個性があったりするのは面白いが、いっぽう当たり外れが大きいともいえる。


そんなことを思えば、ごくごく新しくパレス風に建てられたホテルなんかも悪くないのではなかろうか。ここ10年少々で人気が急上昇したオールチャーには特にオススメのホテルがある。
それはアマル・メヘルだ。かつてブンデールカンドの中心地として栄えていたオールチャー、このホテルはそのブンデールカンド様式のパレスをコンセプトに造られており、開業当時初めて足を踏み入れて「あれ?ここに宮殿なんてあっただろうか?」と思ってしまったほどよくできている。ペルシャ風庭園を囲む形で客室が配置された低層建築は、映画のロケで利用されそうなくらいムード満点だ。周囲をグルリと遺跡に囲まれているのだが、ホテルの中の居心地が良いので観光に出歩くことを忘れてついつい長居してしまいそう。
一定の画一性を持つことを前提とするホテルとして設計されているため、広々とした部屋の造作に不自然なところは見当たらないし、同じタイプの客室ならば窓の方向以外にとりたてて大きな違いはない。完成してからまだ4年ほどしか経っていない築浅「パレス」だ。オールチャーに立ち寄ることがあればぜひ利用してみてはいかがだろう。
やや距離を置いて隣り合う位置にはオールチャー・リゾートという、この地にあってはウルトラ・モダンなホテルがある。調度品やバスルームの施設なども日本の高級ホテルと同等で、インドの田舎にいることを忘れてしまうほどピカピカで快適。でも廊下や客室の床面に見事な大理石細工があしらってある以外は、どこの国にも普遍的なリゾートホテルなので、インドならではの宮殿風の前者に宿泊したほうが面白いかもしれない。
ただしオールチャー・リゾートでは10月から3月までの間、敷地内の芝生スペースに空調やバスルームなども備えたテントも用意されているので、その時期ならばこれを利用するのも面白いだろう。テントとはいっても天井は高く床面積も広い。建て付けもしっかりしており、実際のところ「テント風コテージ」である。凍てつくような寒い冬の夜でも、大型のヒーターをガンガン利かせて薄手のシャツ一枚で過ごすことができる。気候の良い時期ならば、テーブルやイスを芝生に出して満天の星を仰ぎながら友人たちと飲むのもよし、ポットに入った暖かい紅茶をお供に読書にふけるのもよし。
両者とも気の利いたホテルなので人気が高く、インド国内はもちろん欧州からの団体客の利用も多い。シーズン中はかなり込み合うため事前に電話予約しておいたほうがいいだろう。どちらもオフにはかなり値引きしている。
AMAR MAHAL
ORCHHA RESORT

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