Powershot G7はどうだったか?

PowerShot G7
昨年12月に『インドでいいかも?PowerShot G7』として取り上げたキヤノンのコンパクトデジタルカメラについて、2ヶ月余り使用してみた感想を述べたい。結論から言えば非常にオススメだ。その理由といえば、一眼レフデジタルカメラに押されて希少な存在となったハイエンドなコンパクトデジカメの最新鋭機であるという一言に尽きる。具体的にはすべてカメラ任せではなくマニュアルでいろいろ操作して撮影者の意図する画を創るために設計されていることだ。もちろんすべてオートの設定でシャッターを押してもキレイな写真が出来上がってくるわけだが、このカメラを持つ人が『オレはこういう風に撮りたい』という意志を反映できる部分が一眼レフ並みに大きいということが、このカメラの大きな特徴である。
他のコンパクトデジカメに触れてからこのG7に触れてみると、デジカメという名前は同じでも中身は全く別物と誰もが感じるだろう。解像度の優れたレンズを搭載していたメガピクセル機(センサのサイズが違うため一眼レフデジカメの1千万画素とは密度が大きく異なることには注意が必要)でもある。最もテレ端側で撮っても、なかなかピシッとした画になるし画質も思っていたよりずっと良好だ。
マニュアルで操作できる部分が豊富で、これらを積極的に使用することを前提に設計されているためいろいろなメニュー設定が手軽に行なうことができるようになっている。ログラム、シャッター速度優先、露出優先、マニュアルといった各撮影モードをカメラ上部の円形ダイヤルで切り替えるようになっている。様々なカラーモードも容易されており、特定の色味を強く出す設定、白黒、セピアなどいろいろあるのだが、特に『ポジフィルムカラー』というリバーサルフィルム調に仕上げるモード、『カスタムカラー』というコントラスト、シャープネス、色の濃さその他を細かく決めることができるメニューがついているのも良い。手ブレ補正機能が付いているので三脚を使わずに撮影できる領域が広がる。この類のデジカメとしてはISO感度を高く設定しても比較的ノイズが出にくい点も優れている。一眼レフを家に置いてきてもこれ一台でなかなか楽しめるのだ。たいていのコンパクトデジカメには劣悪な画質の動画撮影機能が付いているのが常である。写真を撮ることに徹したカメラの場合は不要だと思うのだが、G7でビデオ記録するならばコンパクトデジカメとしてはかなり解像度の高い設定も可能である。細部に渡って高水準であることへのこだわりが感じられる。


このカメラ一台で朝から晩まで、そして街中から野山まで、いつでもどこでも何とかひととおり撮影可能なことから、一眼レフカメラ関係の機器を携行することによる荷物のカサや重量といった足枷から解放されるという『自由』を味わうことができるのだ。
 またレトロな印象を与えるオプションのケースもなかなかいい。革製の上下のパーツから構成されており、左右のボタンをパカッと外すだけで上の部分が外れて即撮影することができるのでシャッターチャンスを逃さない。これを装着しているとパッと見で高級感があると感じられるのは日本での話で、インドではこういうカバーを付けたひと昔前の格好のカメラが現役でガンガン頑張っているため、首からブラ下げたG7がとても最新鋭のカメラに見えずちっとも目立たないのというオマケも付いてくる。
革ケース
もちろんコンパクトデジカメであるがゆえに一眼レフには遠く及ばない部分も少なくはない。レンズが交換できないという当然の制約はさておき、例えばズーム速度、AF合焦性能、連写性能はコンパクトデジタルカメラとしてはまずまずであるが、このレベルでは動きの速い被写体を追うのは非常に難しい。例えばスポーツを撮影するのには向かないのである。ハイエンド機には必須であるはずのRAW形式(後で画質を劣化させることなくレタッチできる)の画像で保存できずJPEGのみで記録されるのである。
また広角端が35mmからであることについてはかなり不便を感じる。そうした要望については『ワイドコンバーターを使ってください』ということになっているのだろうが、コンパクトデジカメに外付けのアタッチメントを装着するのは好きではない。本来のレンズの前に分厚いガラス体が入るので当然のことながら画質に影響が出そうな気がするからだ。加えてそれを着けたままではカメラケースに収まらないためいちいち取り外ししなくてはならないことも面倒である。とりわけG7のコンバーターはとにかく巨大である。カメラ本体よりも重量とカサがあり、実に存在感に満ちた代物なのでコンパクトデジカメの利点である携帯性を著しく損なう。こんなモノを持ち歩くくらいなら一眼レフをカバンに放り込んでおいたほうが良い・・・ということになってしまう。
ワイドコンバーター装着
だが意外にもその使用感(ワイド端で26.3mmの画角)はかなり良かった。こんな大きな外付けレンズを持ち歩くのは邪魔だが、装着してみるとなかなかホールド感も良好で気持ちよく撮影できるのだ。また肝心の画質について劣化はほとんど感じられず、グッと奥行きのある絵を撮影できた。広角ながらもあまり歪みは出ずなかなかいい具合だ。このカメラで広角写真を撮る道具としては極めて優秀であることがわかった。それにしても通常で35mmから200mmだが、コンバーター装着時には×0.75倍となり26.3mmから150mmとなる。アタッチメントを着けずカメラの本来の画角が後者であればどんなに良かったことかと惜しまれるところである。
 
動体追従性能やRAW形式記録はともかく、結局のところ旅行や日常のスナップ写真用に使うだけなので、個人的に気になるのは画角くらいのものであるため満足度はとても高い。同レベルで競合する機種が存在しないため、リコーの28mm単焦点のGR-Digital同様にオンリー・ワンな魅力がある。今後他社からもより優れたコンパクトデジカメの高級機が出てきて、近ごろの『ネコも杓子もデジタル一眼レフ』ブームに一撃を与えて欲しいものである。最後に手前ミソながらPowershot G7の撮影例を付けておいた。拡大表示すると画像全体が現れるまでかなり時間がかかるかもしれないが、細部の描写からもG7がすこぶる良いカメラであることはお判りいただけることと思う。
PowerShot G7 (CANON)

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