携帯電話 2

 いまさら言うほどのものでもないが、どこに行っても携帯電話の普及はめざましいものがある。もちろんインドもその例にもれず各社いろいろな料金プランを提示して競い合っている。
 そうした中であまり可処分所得が多いとは思えないような人たちもけっこう携帯電話を持ち始めたころにはなんだか不思議な感じがした。だがもちろんのこと稼ぎのかなりの部分をつぎ込んで友達とのおしゃべりに費やす・・・わけではもちろんなく、『仕事を取る』ためプリペイドの安いプランで待ち受け専用で使うのだから理にかなったものであろう。  
 タクシーの運転手はもちろんオートの運転手も携帯を持っている人は多い。とかく外に出て仕事をする人たちには何かと便利で充分ペイするのだろう。はてはサイクルリクシャーを引く者であっても胸ポケットから電子音が鳴り『ハロー』なんてやっているのを見かけることがないでもない。携帯で出張散髪の注文を受けたりする床屋さんも少なくないと聞く。
 ダージリンを訪れたときのことだ。額に固定したストラップの助けで家具類や大きな水のタンクといった大荷物を背負って運ぶネパール系のポーターたちの姿はヒマラヤの丘陵地ならではのものだ。彼らが仕事の合間に茶をすすりながら道端に座り込んでいる姿が市内各地で散見される。こうした人々も携帯電話の普及で『仕事が貰いやすくなった』のだという。そんなことを話してくれた男のポケットからメロディーが鳴り響く。電話を切った彼は『まあ、こんな具合さ』と言い残して新たな依頼主のところに出かけていった。

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