インドに『韓流デジタル一眼』がやってくる?

SAMSUNG GX-10
サムソンGX-10
PENTAX K10D
ベンタックスK10D
 昨年のちょうど今ごろだった。ペンタックスとサムソンがデジタル一眼レフを共同開発すると発表したのは。前者のブランドネーム、光学技術とレンズ群、後者のデジタル技術の融合・・・とくれば、やはりキチッと魅力あるもの、手堅いものが出てくるであろうことは想像に難くなかった。
 今年に入ってからペンタックス一眼レフの普及モデル*ist DL2*ist DS2(いずれも2005年に発売)の韓国版としてのGX-1LGX-1Sを発売して、レンズ交換式一眼レフ製造メーカーとしてデビューしたサムソン・テックウィン社。デジカメの他に光学部品や航空機用エンジンなどを製造している会社だ。2005年に韓国国内でデジタルカメラのトップシェアを獲得したという同社は、2007年には世界の三大デジタルカメラメーカーのひとつとなるという大きな野望を掲げている。(キヤノン、ニコン・・・そしてサムソンということか!?)
 ここにきて今年11月30日に発売が予定されているペンタックス最上位機種のK10Dの姉妹機GX10 のリリースも発表となっており、なかなか目が離せない状況になってきているようだ。
 ペンタックスの接続規格「Kマウント」のレンズ群が使用できるそうだが、これと同スペックで自社による「Schneider」ブランドの「D-XENON」と名付けられたレンズのラインナップがある。現在までのところサムソン製のレンズのバリエーションは乏しいものの、これからさまざまな新しいモデルを次々投入してくるようだ。
 こうした共通仕様のモデルを日本市場ではペンタックス、韓国ではサムソンが販売という棲み分けがなされるのはもちろんのことだ。そのためであろうか、サムソンの一眼レフの操作メニューには日本語は用意されていないらしい。(ペンタックス機には韓国語メニューがあるのだが・・・)
 おそらく日韓以外の第三国での販売テリトリーについてもエリアごとに分担するのではないかと思う。そうなってくるとインドはどうなのだろうか?日本国外ではヨーロッパと北米以外にしっかりとした販売網を持たないペンタックスに対して、現地で手広く事業を行なうサムソンだ。同社のインド向けのウェブサイトには同社のいくつかのデジタルカメラの紹介がなされている。おそらく機を見てインドに廉価版のモデルを投入することもあるだろう。
 今のところ日本のメーカーはインド市場での販売にあまり熱心ではないようで、販売やサービス拠点の多くは直営のものではなく委託を受けた地元業者が行なっているようだ。もともと一眼レフ、ましてやデジタルものともなればプロや一部の愛好家たち除いた一般の人々の間での普及率はとても低い。けれども富裕化する中で趣味のモノ、高いモノが売れるようになってきた中で、およそ都市部に限られるにしても写真に興味があり潜在的に今後より高級なカメラに手を伸ばそうという人たちは決して少なくないように思われる。そうした新規ユーザーはカメラのアクセサリー類や周辺機器を持ち合わせていないため、メーカーを超えての互換性がないことからくる既に所有している『レンズ資産』その他により特定のメーカーに縛られることもない。価格と性能のバランス、サービス網の充実具合その他の条件をもとに自由に選択することができる。
 カメラ販売業者が独自に外国から輸入したものはさておき、ひとたびサムソンが自社製一眼レフをインド市場に本格的に投入することがあれば、『韓流現象』が起きるのではないかと予想している。同国におけるプレゼンスの高さ、知名度、豊かな営業力を背景に、とりわけアマチュアを中心とした新規需要の多くを一手に取り込んでしまうのではないだろうか。もちろん製品を手にするユーザーたちの満足度も相当高いはず。発売元は一眼レフの分野では無名のニューカマーとはいえ、中身は名門ペンタックスのカメラと共通だ。この分野では世界の最先端を走る日本市場で販売されているモデルと同スペックであることは人々に強くアピールするだろう。もちろん細部の仕様やチューニングの具合にはペンタックスとの間に若干の差異が見られたりするのかもしれないが。
 近々帰国を控えた在印の日本人にとっては、サムソンの一眼レフがインドで発売されたとしても、同社のカメラの販売エリアに含まれていない日本に持ち帰ってから不具合等が起きた場合(大阪に一箇所サービス拠点があるのみ)のことを考えるとお勧めできない。しかしペンタックスのレンズ以外のアクセサリーについての互換性も問題ない(この部分については著者は未確認)とすれば、インドはもちろんサムソン・テックウィン社の販売網がカバーするエリアに含まれるその他各国に暮らす人々にとって非常に魅力的なものであることは間違いないはずだ。

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