あったらいいな

タイ・カンボジア両国の間で、観光業振興を目的として『共通ヴィザ』が発行されるようになるのだという。ただし私たち日本人を含めた42ヶ国・地域の人々の場合、観光目的で入国するにあたり、タイの場合は本来査証の取得が必要であるものの、出国用の航空券を所持していれば、30日以内のヴィザ無しでの滞在が認められているし、カンボジアについても出入国地点(空港および国境)でヴィザが取得できるため、あまりメリットはないように思われる。
さらに今後はベトナム、ラオス、ミャンマーも『共通ヴィザ』のスキームに加わる可能性があるとのこと。前者二か国はともかくとして、最後のミャンマーについては今までのところ事前の査証取得が必要であることから注目する人もあるかもしれない。事前に現地旅行代理店を通じて仮申請する『アライヴァル・ヴィザ制度もあるが、観光目的には適用されなかったり、団体ツアーのみ対象となったりと、時期によって流動的である。
国情も政治体制も異なる国々が『共通ヴィザ』を発行することについて、そもそも『査証』は何のためにあるのか?と疑問を感じなくもないが、こうした国々を訪問する側にとっては事前の手間が省けることから決して悪い話ではない。
さてこうした制度が南アジアにあったらどうだろうか?共通ヴィザでインドからそのままバングラーデーシュへ、パーキスターンからそのままインドへと出入国ができれば、前もって複数の国の査証を取得することなしに、国境の両側に広がるひとつながりの歴史遺産や自然など、たとえば亜大陸北西部のムガル遺跡めぐり、ベンガルのテラコッタ建築群の見学や東西スンダルバン横断旅行といった楽しみかたができることは容易に脳裏に浮かぶ。もちろん他にもいろいろ楽しいアイデアを持つ人は多いだろう。
インドはもとより、その周辺国にとっても『せっかくここまで来たから』と事前の準備なしに気楽に国境を越えて見物にやってくる人々が増えればそれなりに役立つことがあるだろうし、これまで自国だけでは難しかった地域についてボーダーをはさんだ両国共同での観光振興の可能性も出てくるはず。
もちろんASEAN加盟の国々とSAARC諸国の間では、国家間の協力のレベルや対立の度合いも異なり、政治環境そのものが違うので現状では『共通ヴィザ』という構想が浮上することはないように思うが、将来そういう時代が訪れることはあるのだろうか。
そうでなくともスリランカがそうであるように、日本を含めて地域で特に問題のない国の人々に対するヴィザ無しでの滞在を認める措置、あるいはネパールのように国境での査証取得を可能とするといったことが、南アジアの他の地域にも及んでくることがあれば、とてもありがたく思う。
共通ビザ発行へ=タイとカンボジア(時事ドットコム)

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