2007年発売 昔のバックパッカー風写真機

Kenko
デジタル化が一層進み、統合・再編の嵐が吹き荒れるカメラ業界。他企業との合従連衡、事業部の売却、カメラ関係事業からの撤退ありといったなかで、表舞台から姿を消すものがあるいっぽう、交換レンズのメーカーとして知られるシグマのように、カメラ本体の製造へと再参入する会社もある。フィルター、カメラケース、メンテナンス用品等写真関連アクセサリー類で知られる企業、ケンコーもまたカメラ自体の製造に乗り出している。
私にとって同社によるコンパクトデジタルカメラ類について特に関心はない。だが既存のカメラメーカーが銀塩カメラの製造を中止するなか、あえて今になって(今年8月に発売)ニコン・ヤシカ/コンタックス・ペンタックスといったマウントに対応するマニュアルカメラ各種を売り出していることは注目に値する。
まだ手元にマニュアルカメラ用のレンズを持っている人は少なくない。中古市場でも沢山出回っている。これらを活用したいが、手元にあるマニュアルカメラ本体がない、あっても老朽化しているなどということもあるかもしれないし、こうしたモデルがすでに新品で販売されていないことに不満を抱く人もあるのではないかと思う。
そうしたニッチな市場向けではあるが、実売価格2万円台と手ごろなこともあり、ちょっと惹かれるものを感じる人は少なくないことだろう。ニコンのFM2やそれを引き継いだ後継機FM3Aまでもが生産終了している中、メカニカルシャッターを搭載したマニュアルカメラが新品で購入できるなんて!思わず触手が伸びそうになったが、よくよく考えてみるまでもなく手元にあったニコンのマニュアルフォーカスレンズはとうの昔に処分してしまっている。
造りがシンプルな分、故障が少なく、おまけに価格も手ごろということで、昔のバックパッカーたちがよく手にしていたようなメカニカルカメラ。本当に職業として撮影している人から自称カメラマンまで、旅好きな人たちの中には写真が大好きな人たちがとても多かったようだ。いまさらデジタルカメラの便利さを投げ捨てるわけにはいかないが、『ここぞ』という風景や被写体に出会ったときには、こんな『写真機』で一枚一枚大切に撮っていくのもいいんじゃないだろうか。
ケンコー フィルムカメラメニュー(Kenko)