BS1の『内偵員』

すでに放送が終わってしまった番組で恐縮だが、NHKのBS1で、本日午後8時から9時まで、『BS世界のドキュメンタリー 内偵員〜インド・人身売買との闘い〜』がオンエアーされていた。
NHKのウェブサイトの番組紹介にもあるように、ムンバイーの歓楽街で売春を強要されている少女たちを救うために取り組んでいるNGO,Rescue Fondationで内偵員としての任務に従事するスタッフの活動を追ったドキュメンタリー。
定期的に髪型を変え、必要に応じて変装して隠しカメラを持って売春宿に客を装って入る。あらかじめ情報を得ている少女本人と接触するなどして情報を得て、警察と協働して摘発に臨む様子を描いている。
Rescue FoundationのNewsletterのページをクリックすると表示される内容は、この番組で取り上げられていた。
この内偵員という仕事、もちろんアンダーグラウンドな世界の仕事に干渉することになるため、探りを入れる相手に身元が割れると命の危険があり、またその社会で面が割れてしまうと仕事にならないため、なかなか成り手が見つからず、慢性的な人手不足の状態にあるようだ。
この団体の代表者は、創設者であり、最初の代表者であった人物の妻。ご主人は、救出活動を行なった帰りに、乗用車が大破する事故に遭い亡くなっている。その背景にはマフィアの関与も取りざたされていたのだとか。その遺志をついでこの責につくことになったということだ。
またこの団体では、保護された後のリハビリや社会復帰を助ける施設も運営しており、ウェブサイトでは、そうした活動を紹介するギャラリーも設置されている。
内偵の様子や警察と協働での摘発・救出活動の映像については、よく日本の民放であるような『摘発 歌舞伎町24時』といった番組でも見かけるような構成であった。
よくわからないのは、この団体そのものの背景だ。専従のスタッフを抱えて施設もかなりしっかりしたものを持ち、相当な資金力があることを感じさせる。
売春させられている個々の女性の動向についても、近々他の店に移る予定であることを把握していたり、仕事がムンバイーからデリーに移ったことやそこで働いている店が特定できたりするなど、相当な情報網を持っているようだ。
しかも警察と合流して現場の摘発に参加しているようなので、単に被害女性の保護と更正のために市井の人が取り組んでいる運動というわけではないように思う。
たぶん、かなり政治的なコネクション、相当有力なパトロンあってこそのことではないかと思うのだが、そのあたりについて番組が踏み込んで取り上げているわけではない。
もちろん、それだからといって、彼らの活動の価値が否定されるわけではないし、賞賛されるべき取り組みであることは何ら変わりがないのだが、この活動のアウトラインを知るうえで重要なファクターなので、とても興味をおぼえずにはいられない。
現在のところNHKのウェブサイト、BS世界のドキュメンタリーには示されていないが、いつかこの番組が再放送される機会があるのではないかと思うので、ご関心のある方はぜひご覧いただきたい。

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