新加坡的印度空間 2

State Bank of India
美味しいバクッテーの店から徒歩でリトル・インディアに戻る。途中、異国にあってちょっと懐かしい感じを覚える店舗を見つけた。今日は日曜日なので閉まっているが、『ステイト・バンク・オブ・インディア』のリトル・インディア支店とある。
手持ちのシンガポール・ドルがあまりないので、両替を兼ねて宿近くのムスタファ・センターに行ってみる。インド系ムスリムのオーナーが経営するショッピングセンターで、1200人を越えるスタッフを擁するとても大きなものだ。
ムスタファ・センター
ウェブサイトを見てもわかるとおり、アクセサリー、化粧品、時計、電化製品などから医薬品、衣料品、両替なども行っている。また食料品や雑貨類を取り揃えたスーパーマーケットも入っているなど、いろいろ手広く展開しているようだ。従業員のほとんどがインド系だが、お客の半分以上もまたインドを含む南アジア系の人々だろうか。地元の人たちよりも、明らかに国外から来たと思われる人のほうが多いようだ。店外に掲げられた国際通話の広告も幾つかのインド系言語で書かれている。
ベンガル語(上)とタミル語(下)の看板
ひたすら商品を眺めるだけの人たちもあれば、何でこんなに?と思うほど買いまくる人もある。そうした人たちは店外に出てから待ち受けている仲間にその品々を渡し、巨大なスーツケースの中にそうした品々を詰めさせている。そして再び店内に戻っていくのだ。一体何をしているのだろうか。
店内は朝方からずいぶん混雑しているのに驚かされる。以前ここで中東への輸出仕様らしきシチズン製の金色の腕時計を見たことがある。文字盤にはアラビアで使われている数字があしらわれており、さらにダイヤ風にカットされたガラスが無数に埋め込まれているというスゴイものを見つけたことがある。
今でもそうしたものが売られているのかどうか知らないが、日常使うようなもので何か面白い掘り出しものがあればと思ったのだが、休日であるためか非常に込み合っており、身動きが取れずどうにもならず、早々に退散する。
Made in China
表通りのセラングーン・ロード(黄亜細肉骨茶餐室があるラングーン・ロードとは別の道路)を歩いていると、『2個で5S$』『3個で10S$』などといった表示が目に入る。店内ところ狭しと並んでいるのは、ヒンドゥーの神像。持ち上げて底を見ると『Made in China』とある。道理で台座の部分にデタラメな『インド風』文字が刻まれていたりするものもあるわけだ。ガネーシュが描かれていながらも、横に掛けられた穴開き銭とともに、柄やデザインがどうにも中華風に見える壁掛けなども見られる。売り手は華人であった。
なんだか中華風
リトル・インディアに暮らすインド系の人々による、ちゃんとインドから輸入した神像その他を売る店は以前からいくつもあるのだが、こうした店は私の記憶にはなかった。近ごろは中国大陸の旺盛な工業力は、インドの宗教の分野にも進出しつつあるということなのだろうか。ともあれ値段の割にはけっこうしっかり造ってあるため、おみやげとして購入する人は少なくないようだ。
インドの衣料品店
インドの衣類を販売する店、花輪を売る露店、ミールス屋に映画DVD屋その他いろいろインドな店舗が続く。ミターイー屋に入り、いくつか菓子を買ってその場で食す。店の奥ではインド系店主がデンと構えているものの、店先でお客の注文聞きにチョコマカ忙しそうに動くのは中華系の店員。ちょっと不思議な空間だが味は上々。
ちょっとくたびれたら甘いお菓子を!
観光客の姿も多く、込み合ってはいるもののけっこう整然としている表通りに比べると、裏通りはここに暮らしてきた人々の生活空間といった感じで、簡素や食堂や細々とした日用品を扱う店が軒を連ねるとともに、友人や知人たちが一杯のチャーイを片手に語らう場もある。
このエリアを出入りするベンガル系の人々の数は相当なもののようで、ムスタファ・センター近くの一角には、ベンガル文字のみが溢れ、ベンガル語が飛び交う雑貨屋、映画・音楽ソフト屋、食堂などもあり、ミニ・ベンガルといった様相を呈している。
密度の濃い商業地なので、細い道路一本越えると様相がガラリと変わる。こちら側では米穀、野菜などといった食材を商う店ばかりでも、そのすぐ裏手にはダンスバーがあったりする。そうした通りのまた路地裏では、性風俗関係の店が隠密に営業しているが、そうした地域ではヒジュラの姿もチラホラ見かける。彼ら(彼女ら?)はどういう経緯で、シンガポールくんだりまでやっくることになったのだろうか。

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