宿と犬

共用井戸のある中庭を囲む形で複数の建物が並んでいる。
共用井戸では女性たちの井戸端会議が開かれる。

バクタプルの宿であてがわれた部屋は、「本館」から少し離れたところにあるネワール式の長屋みたいな建物の中にある部屋。宿のオーナーが最近買い取っただか、借り上げただかで、客室に転用したそうだ。そんなわけで、あたかも地元の人の家の中の部屋を借りて滞在しているような感じなのは良い。

その長屋の入口は道路から奥まったところにあり、昨日宿のスタッフの女性が案内してくれたとき、細い通路から二匹の犬たちが勢いよく飛び出してきて、びっくりした彼女は「ひぃー」と悲鳴を上げている。

「あたし、犬が苦手なのー。」

駆け出した犬たちは長屋風の建物の中庭部分に座り込んでいる。私も犬は苦手なので、果たしてここに泊まってよいのか?とちょっと迷うが、まあ吠えたり悪さしそうな感じではないので、まあ良しとしておいた。

その後、近くで食事したり、傘を取りに戻ったりしたときに判ったのだが、彼ら2匹はいつも建物入口通路部分に寝そべっているのだが、住民たちからはよほど荒っぽく扱われているのか、私たちが通ろうとすると、「ハッ」という顔をして、いそいそと中庭に出て行くのだ。

世の中の犬たちが、すべからくこういう具合であれば助かるのだが、決してそんなことはないのが頭の痛いところだ。

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

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