「単に旅行するだけ」の用途に向いたバックパック

気に入ったバックパックを長く愛用するため、頻繁に買い替えるわけではないが、購入先はアウトドア用品となることから、私からするとかなりトンチンカンな質問を店員から受けることも少なくなかった。

もちろんトレッキング目的で旅行することも少なくないのだが、これほど海外旅行人口が多い時代に、バックパックの品揃えの良い店と言えば山用品の店が大半というのはどういうことか?と思うこともある。

製造する側にしても、山以外の利用目的で製品を手にする人たちの需要を汲んでいるがゆえに、ある程度のサイズまでのバックパックにいては、ファスナーで大きく開口するタイプが主流になったり、内部が小分けされていたりというモデルが増えていたりするのだろう。

それでも、これまで「旅行に特化したバックパック」というのは目にした記憶はない。旅行に焦点を絞るとなると、以下の事柄に留意したモデルということになるだろう。飛行機で機内持ち込み可能なサイズであることは最低条件であるとしても、以下の1~6までが一応の条件となるだろう。その反面、歩くことが目的ではないため、山歩きの際に重要となる「背負って歩く際のフィット感」はあまり重要ではない。

1.それ自体がメインの荷となり、すべての旅行荷物を内包できる。
2.混雑した鉄道やバス車内で、他の乗客たちと揉み合いながら容易に乗車可能。
3.その混雑した車内で、身動きの取れない中でも、前抱えにしてスリ等から自ら危険を回避可能。
4.頭上の棚、足元のスペースにもまったく寸分の余裕もないインドの長距離バスに乗車の際に、膝の上に置いても楽チン。
5.移動ルートの途中、ふと思い立って鉄道やバスを下車して観光しても苦にならない。
6.「1~5」の条件を満たす中で、可能な限り小型、かつ頑丈である。

近年、街中で大学生などを中心として、四角くてランドセルを思わせる箱型のバックパックを持ち歩いている姿をよく目にするが、サッカー用品店でも着替え等の荷物を運ぶためのバッグ売り場で、そうしたものが定番品として並んでいるのを見かけるようになっている。

私自身、週末にサッカーやフットサルを楽しんでおり、その行き帰りには旅行に使っているバックパックにウェア、タオル、シューズや飲み物のボトルなどを放り込んでいたのだが、容量の割にはあまり収納効率が良くないので、箱型のリュックを購入してみた。いくつか同類のモデルが販売されているが、私が選択したのはTHE NORTH FACEのFUSE BOX だ。

幾度か使用してみると、30リットルというサイズの割には、想像以上に良好な収納性と出し入れ具合の良さがあることに気が付いた。収納性のカギは、「箱型」という形状にあるようだ。これは旅行用としてももってこいだ、と気付くまで時間はかからなかった。

スペック上は30リットル超でも、円筒形になっていたり曲面になっていたりすると、どこかに余計な隙間が生じてしまうため、想像したよりもモノが入らなかったりするもので、詰めてみるとパンパンになってしまったりする。

すると、モノの出し入れが大変になるし、ファスナーの開け閉めに無理がかかるため、突然壊れたりすることだってあるのだが、持てる容量すべてをキッチリと使い切ることが出来る形状であるこのモデルならば安心だ。しかも防水機能も高いので、ちょっとした雨ならばレインカバーも必要なさそうだ。

あまりに巨大で目立つTHE NORTH FACEのロゴはありがたくないので、地味な黒地に黒文字のカラーのものを選んでみた。

製造元は言わずとしれたアウトドア用品大手だが、タウンユースに特化したバックパックであるがゆえに、山歩きを意識したバックパックよりも、明らかに「単に旅行するだけ」の目的に合致した製品であるようだ。

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