元人民解放軍兵士54年振りの里帰り

ラージ・ババードゥル、本名王琪(Wang Qi)という在印華人のことがメディアで取り上げられている。

在印華人たちが1962年に起きた中印紛争をきっかけに、「敵性国人」の扱いを受けることとなり、カルカッタその他に暮らしていた彼らが次々に拘束されて、ラージャスターンのデーウリーにある収容所に送られたこと、その後も常に公安関係とのトラブルや差別的な扱いが続いたことから、大勢の華人たちの脱出が続いたことが知られている。

もともとインドに在住していた人たちとは異なり、国境地帯に勤務する人民解放軍の測量兵だったので、紛争の当事者のひとりであったとも言えるのだが、紛争数週間後に国境のインド側で迷い、インド赤十字に助けを求めたところ、インド軍に引き渡されている。

その後、スパイ容疑で7年間服役したが、出国許可を得ることが出来ず、M.P.州のナーグプル近郊の村に定住することとなり、現地女性と結婚して家庭を持ち、今では3人の孫もいるそうだ。

The Chinese man trapped in India for half a century (BBC NEWS)

駐インドの中国大使館の力添えと旅費の工面により、彼が今月11日に故郷の山西省に里帰りして、親族たちとの再会が実現している。

Chinese soldier returns home after 54 years in India (CGTN AMERICA)

元兵士とはいえ、インドに対する工作活動は、軍人であるがゆえに上官の命令に従ったがゆえのものであり、半世紀以上もの長きに渡り、故郷の地を踏むことさえ出来なかった彼もまた、戦争の犠牲者のひとりであったと言えるだろう。

報道されている内容から察する範囲では、王琪さんはインドで円満な家庭を築くとともに、地域で良好な人間関係にも恵まれているらしいことは幸いなことである。

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