『旅行仕様』の楽しいカメラは 1

パナソニック LUMIX DMC-L1
 以前、デジタルカメラ市場の一眼レフの分野へ進出を狙う家電メーカーについて『家電メーカーのデジタル一眼に期待』として取り上げたが、そのうちのひとつパナソニックのモデルLUMIX DMC-L1 は今年の夏以降発売予定であることがすでに発表されている。
 オリンパスと同じフォーサーズシステムを採用、同社およびシグマから発売でこの規格に準拠したレンズが使用できるとはいえ、35ミリ換算で2倍の焦点距離となること、バリエーションはまだ豊富とはいいがたいこと、また超広角域をカバーするレンズは高価なものしかないところは弱みである。今後のレンズラインナップの充実具合は、この新モデルを含めた同システム採用のカメラ群の売れ行きいかんにかかっている。
 言うまでもなく、一眼レフはレンズやストロボその他の様々な周辺機器を自由に組み合わせて使うことができることにその価値がある。そうした既存のコンポーネントを持たない会社が新規参入するのは、技術の蓄積やブランドへの信頼感に欠けるのみならず、実はこの部分が特に難しいのではないかと思う。利用できる機材が何もないようでは、カメラ自体が魅力的でもそれをあえて買おうというユーザーはそういないだろう。
 フォーサーズとは撮像素子つまりセンサーとレンズマウントの共通規格だが、このパナソニックのカメラではオリンパス製品との包括的なシステム互換性を持たすことを想定しているらしい。つまりパナソニックブランドによる最初のモデルが登場する前から、利用できる機材がすでにこの世に存在するということは大きな強みである。
 それだけではない。DMC-L1と同時発売予定の『LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5』がとっても気になるレンズなのだ。『ライカ』ブランドであることについて特に関心はないのだが、その名前を冠しているからには相当良いモノであることを保証しているのだろうと期待するのはいうまでもない。そしてズームにしてはかなり明るいF値を持つことも特筆すべきだが、しかも3〜4段分の手ブレ補正つきということだから、手持ちでの撮影のチャンスがグッと広がる。
 ボディは丈夫なマグネシウム合金ダイカスト構造、記録メディアは軽量コンパクトなSD(新規格のSDHCにも対応)メモリーカード、内蔵フラッシュはバウンス撮影も可能、オリンパスのE-330同様に(カラクリは違うそうだが)背面のモニターではライブビューモードも選択できる。それなのに1/3段刻みのシャッターダイヤルが付いていたり、先述のライカブランドのズームレンズには絞りリングがあったりと、まるでマニュアル機みたいな雰囲気がある。
 私は現在キヤノンの20D を使用している。利用可能なレンズのバリエーションの豊富さとカメラ自体の機能面では大変満足しているものの、特に埃っぽいインドにあってはレンズ交換のたびにゴミやホコリが容赦なくドシドシ入ってくるのにはとても困るので、愛憎半ばするといったところだ。
 しかしパナソニックのDMC-L1には、オリンパス社のEシリーズダストリダクションシステムと同様のものが搭載されていること、そしてコンタックスのG2 並みにコンパクトであることに注目している。フォーサーズ規格の他のコンポーネントはさておき、このボディDMC-L1とレンズLEICA D VARIO-ELMARITの組み合わせだけでも充分すぎるほどの魅力がありそうだ。
 やはり予想していたとおり、カメラ界の老舗にして巨大メーカーであるキヤノンやニコンと真っ向から衝突するようなモデルではないようだ。おそらく同価格帯の他社モデルと比較したスペック面、AF性能、連写機能、操作性、画質等々のうち、どれをとってもあまり勝ち目はないのではないかと思う。だが秒進日歩のデジものの世界にあって、めまぐるしい進化に目を奪われて次から次へと興味関心が移ることなく、そろそろ長く使えるお気に入りモデルが登場して欲しいところだ。すぐに飽きがくるようなものではなく、写真好きな大人が趣味の機械として愛着を持って使っていけるような。
 日常的に小さなショルダーバッグに無造作に放り込んで使うのはもちろん、ちょっとがんばって本格的な撮影にも挑戦できる頼もしいカメラなのではないかと今から気もそぞろなのは私だけではないはず。

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