AFCアジアカップ予選開幕

 横浜の日産スタジアムにて、インドそして日本の国歌斉唱に続いてAFCアジアカップ予選における両国の最初のゲームがキックオフとなった。
 2004年に中国で開かれた同大会で日本が優勝したのは記憶に新しい。そのため「えっ、もう予選なの?」と不思議に思う向きもあるかもしれない。前回まではワールドカップの中間年に開催されていたが、次回からはワールドカップ翌年に行なわれることになった。その背景には2008年に北京で開催されるオリンピックとバッティングしてしまうことがある。
 AFAアジアカップ本大会は2007年6月下旬からインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの四カ国共催で行なわれるが、これまでと違い、前回優勝国の予選免除がなくなった。そのため日本と対戦することになったインドは不運といえば不運であったといえるかもしれない。 この予選に参加の24ヶ国・地域が6組に分かれて争う。各組とも上位二位までに入った国・地域が本大会出場の切符を手にする。予選の組分けは以下のとおりである。
Group A 日本・サウジアラビア・インド・イエメン
Group B イラン・韓国・シリア・台湾
Group C UAE・オマーン・ヨルダン・パキスタン
Group D オーストラリア・クウェート・バーレーン・レバノン
Group E 中国・イラク・パレスチナ・シンガポール
Group F ウズベキスタン・カタール・香港・バングラデシュ
 各組において本大会に進出すると思われる二カ国を左側に寄せてみた。他の参加国との力量は大きく、あまり番狂わせが起きる可能性はないように思われる。ただしD組においては前回日本を苦しめたバーレーンが、オーストラリアおよびクウェートを相手に三つ巴の熱い闘いを展開しそうで注目している。
 予選で台風の目となることが考えられるのは、イエメン、レバノン、パレスチナの三ケ国・地域だろう。一般にアラビアのチームは身体能力と個人の技量の高さから、決してあなどることができない。「持って生まれた何かが違う」と思わせるのはアラビア各国の代表クラスの選手に共通する特徴だ。


 横浜の日産スタジアムで久保田真澄によるジャナガナマナの斉唱に続き、君が代が流れる。
 そして午後7時半からキックオフ。現在FIFAランキング118位のインドと18位につけている日本。その差100位の壁はどうあがいても決して越えることができないことを前者の首脳陣も重々承知のことであろう。以前ワールドカップ予選で対戦したときと同じく、前線に一人残して自陣深くまで引いて守備を固め、可能な限り少ない失点で乗り切ろうという構えである。
 前半戦は、プレーの精度を欠いていた日本に対するインド側の懸命の守備が功を奏し、小野の先制点のみ0-1でハーフタイムを折り返すことができた。しかし後半に入ってからはほぼ10分おきに巻、福西、久保、佐藤、久保(同選手二点目)と立て続けにゴールを決められてしまい、6失点にして無得点の大敗を喫することになった。
 インド側にはほとんど見せ場がなく、90分間一方的に押し込まれる苦しい展開が続いていた。それでも南アジア屈指の実力を誇るエースのブティヤーが片鱗を日本のファンの前で披露する場面があった。前半39分、日本選手のファウルで拾ったペナルティエリア右斜め前からのフリーキックである。日本人選手が作る壁の上を巻く鋭い弾道を描いてゴール右上に突き刺さった・・・ように見えたのだが、実は右サイドネット外側。残念ながら得点にはならなかったものの、素晴らしいシュートであった。
 インドは機を見てカウンターを狙うことを意図していたものの、ワントップで前線に張っているブティヤーにボールが渡ることはほとんどなかった。それでもごくわずかなそうした機会で、日本ディフェンス陣3人に囲まれ孤立しつつも卓越したボールキープ力を見せてくれた。
 次のインドの試合はデリーで3月1日午後2時半キックオフ予定のイエメン戦だ。ホームでの健闘を祈りたい。

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