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投稿者: ogata

  • ロヒンギャー難民

    最近もまたミャンマーからのロヒンギャー難民たちに関する記事がメディアに頻繁に取り上げられるようになっている。

    【ルポ ミャンマー逃れる少数民族】 漂流ロヒンギャ、苦難の道 迫害逃れ、過酷な船旅 (47 NEWS)

    昨年、ロヒンギャー問題で知られるヤカイン州のスィットウェを訪れたことがあるが、かつて英領時代には、この街の中心部でおそらくマジョリティを占めて、商業や交易の中心を担ったと思われるベンガル系ムスリムの人たちのタウンシップがある。そこには同じくベンガル系のヒンドゥーの人々も居住していた。

    スィットウェへ3 (indo.to)

    滞在中にヒンドゥーの人たちの家で結婚式があるとのことで、「ぜひお出でください」と呼ばれていたのだが、その街区はバリケードで封鎖されていて、訪問することはできなかった。
    その数日前に、たまたま警官たちのローテーションの隙間であったのか、たまたま入ることが出来て、幾つかの寺院その他を訪れるとともに、訪問先の方々からいろいろお話をうかがうことができたのだが。

    実のところ、その結婚式には日程が合わず出席はできないものの、同じ方々からもう少し話を聞いてみたいという思いがあり、足を向けてみたのであるが、バリケードの手前で、「ここから先はロヒンギャー地域だぞ。誰に何の用事だ?」と警官たちに詰問されることとなった。

    うっかり先方の住所や名前を口にしては、訪れることになっていた人たちに迷惑が及んではいけないと思い、「いや、向こう側に出る近道かな?と思って・・・」などと言いながら踵を返した次第。通りの反対側から進入を試みてみたが、同じ結果となった。゛

    ロヒンギャーとは、一般的に先祖がベンガル地方から移住したムスリムで、現在のミャンマーでは国籍を認められず「不法移民」と定義されている人たちということになっているようだが、ベンガルを出自とするヒンドゥーもまた同様の扱いを受けているように見受けられた。

    そのロヒンギャーの人たちだが、母語であるベンガル語の方言以外にも、インド系ムスリムの教養のひとつとして、ウルドゥー語を理解すること、またヒンドゥーの人たちも父祖の地である広義のヒンドゥスターンの言葉としてヒンディーを理解することはこのときの訪問で判った。もちろん個人により理解の度合いに大きな差があり、まったくそれらを理解しない人たちもいるのだが。とりわけ若い世代にその傾向が強いようだ。

    アメリカをはじめとする先進主要国から経済制裁を受けていた軍政時代には、ミャンマー国内の人権事情について、各国政府から様々な批判がなされていたが、民政移管に伴い制裁が解除されてからは、そうしたものがトーンダウンするどころか、まさに「見て見ぬふり」という具合になっているように見受けられる。ここ数年間に渡り大盛況のミャンマーブームだが、同国政府の不興を買って、自国企業の投資その他の経済活動に支障が出ることに対する懸念があるがゆえのことと思われる。

  • DARGAH HAZRAT NIZAMUDDIN

    DARGAH HAZRAT NIZAMUDDIN


    せっかくデリーに来たので、ニザームッディーンのダルガーに参拝。スーフィーのチシュティー派の聖者、ニザームッディーン・アウリヤーの墓廟。境内で演奏しているカッワーリーを聴きながら、しばし陶酔の時間を過ごすことができる。ムスリムだろうがヒンドゥーだろうが、はてまた外国人だろうと誰でもウェルカムな包容力がいい。祝祭の時期ではないこともあり、金曜日の割には空いていて、本殿で楽に祈ることができた。清浄な気分になってダルガーを後にする。







    先日、Karim’sのファストフードと題して書いた、南デリーのモールで見つけたファストフード版のカリーム(Karim’s)ではあまりにやるせなかったので、ダルガー参拝のついでにニザームッディーンにあるちゃんとした店舗のカリームを訪れた。しかしながら、カリームではあっても、ビリヤーニーまでもが破格の美味さというわけでもないようだ。もちろん上々の味わいであることは間違いないのだが。

    ダルガーの参道にはずらりと巨大な釜を並べるビリヤーニー専門店が並ぶ横丁がある。このあたりにKarim’sよりも旨いビリヤーニーを出す店がきっとあることだろう。付近にはティッカーやケバーブ、様々なナーンの類などを売る店も多く、これまた食欲を大いにそそる一角である。




  • Karim’sのファストフード

    Karim’sのファストフード

    デリーの1913年創業のレストラン、Karim’sは誰もが知るムガル料理の老舗。創業者カリームッディーンの父はムガル宮廷の料理人であったとされる。デリー市内にいくつかの店舗を展開しているが、南デリーのモール内のフードコートにも出店しているとは知らなかった。

    Karim’s (DLF PLACE, SAKET)

    マトンコルマはプラスチックの使い捨て容器に入り、ルーマーリー・ローティーは目の前にある電子レンジでチン。まったくもってファストフードで寂しいとはいえ、味わいはやはりカリームなのでなかなか旨い。でもそこがまたやるせなかったりする。

    重厚感と軽さのミスマッチ、こういうところに来る人たちが求めるものはちょっと違うので、流行っているとか込んでいるという具合ではまったくないようであった。やはりKarim’sはちゃんとした店舗で食べるに限るのである。

    モールのフードコートのKarim'sはショボいが、それでも旨いのは、さすがという気はする。
  • 青蔵鉄路

    インドと関係のない話で恐縮ながら、インドの隣国にして中国による武力占領地のチベットの鉄道に関するNational Geographicによるドキュメンタリー作品。

    内容は政治的なものではまったくなく、2006年に開通した青海省のゴルムドからチベットのラサに至る青蔵鉄路建設に関わるストーリー。

    National Geographic – Extreme Railway: Qinghai Tibet Railway (YouTube)

    単線から成るこの鉄路だが、1950年代から構想が始まり、建設に当たってはチベット高原における高低差を克服するだけではなく、永久凍土上の地層、つまり冬季には凍結して嵩を増し、夏季には溶解して沈み込むとともに、場所によっては泥濘状態となる大地とどうやって折り合いをつけるかという難問もあった。

    どのようなアイデアでこれらを克服していったかについて、淡々と綴られているものの、その背後にこの事業に関わる人々による飽くなき探求心と情熱、深い知識と応用力あってのことだろう。

    こうした中国は、ネパール国境まで鉄道を延伸させる計画、さらには首都カトマンズまでこれを伸ばしていく構想まで持っている。

    China to extend rail to Nepal (ekantipur.com)

    中国の鉄道は、隣国ネパールを将来大きく変えることになるかと思うが、これはまたインドとネパールの関係、ひいては南アジアにおけるパワーバランスに多大な影響を与えることとなる。

  • 旅行荷物が軽くなる?

    旅行荷物が軽くなる?

    最近は旅行中にキーボード付きの10.1インチ画面のアンドロイドタブレットを持参している。普段から電子書籍閲覧に利用するなど重宝しているが、キーボードの使い心地も良くてなかなか満足している。

    しかしながら、どこかに出かける際に、もっと軽くならないかと思ったりもする。旅行の荷物は軽ければ軽いほどいい。このタブレットは、キーボードを付けた状態では1.1kgとなり、外出時のカバンに放り込んでおくと、それなりの重量感がある。滞在先の宿の部屋のリュックの中に放り込んでおくのも何か不用心でもあるので、やはり持ち歩くことになり、ちょっと負担に感じたりもする。

    そんなわけで、何か良い解決方法はないものか?と思っていたため、このほどBluetoothのキーボードを購入してみた。現在使っているHUAWEIのAscend Mate7は画面が6インチと大きめで、ズボンのポケットに入れるにはギリギリのサイズだ。CPUはオクタコアの1.8GBと強力、ちょうどハイエンドのPCのようにサクサク快適なので、外付けキーボードを用いてワープロとして使うのに何ら問題はないだろうと思ったからだ。加えて、バッテリーの持ちが良く、待ち受け状態ならば2日間は大丈夫なので、外付け充電池を持参していれば、特に残量を心配する必要はない。

    時と場合に応じて、鉄道駅やバスターミナルなどでのちょっとした待ち時間にはスマホのフリック入力で、宿の部屋の中ではスマホを小さな傾斜スタンドに載せて、キーボードで日記等を書き進めることが出来る。

    ワープロのアプリは、somnoteを利用することにした。3GやWifiなどで接続中の環境下で保存するたびにクラウドと同期されるため、スマホに万一のことがあっても、データ自体はどこからでも復元できるというメリットがある。訪問先で事務仕事をするわけでなければ、これで充分だ。

    外付けキーボードの使い勝手がポイントとなるが、カサも重量もコンパクトであることと、それなりに入力しやすいということが両立出来るものを探した。キーのストロークもまずまずで、キーボードのピッチが若干狭いようではあるもの、すぐに慣れた。外付けキーボード使用時にはスマホの日本語入力システムを変更しなくてはならないのは少々面倒ではあるが。

    スマホの画面が6インチというのは書籍リーダーとしても充分活用できるサイズなので、訪問する地域に関連する書籍やガイドブックなども保存しておき、必要に応じてスマホで開いて閲覧することが出来る。

    デジカメのデータバックアップについては、旅行先にタブレットを持参していたときは、Eyefy Mobiを使用していたが、大量の撮影データをコピーしようとすると、膨大な時間がかかることに閉口していた。これについては、転送が迅速なカードリーダーを手に入れることで解決できた。なお、これを用いるとUSBディスクや外付けハードディスクも接続出来てしまうなど、なかなか重宝しそうだ。スマホがほぼパソコンみたいな具合に活用できることになる。

    カードリーダー

    近年、旅行に持参する電子機器、充電器の類が増えてしまうことを苦々しく思っていたが、同じように考えている(旅行に限らず、外出時のそうした荷物が邪魔でもあることについて)人たちはやはり多いようで、そうした需要をうまく捉えた製品というのもいろいろあるものだな、と感心した次第である。

  • The Nilgiri Mountain Railway

    1908年に開通したニルギリ山岳鉄道。英国時代に建設され、2005年にはユネスコの世界遺産に指定された鉄道のBBCによるドキュメンタリー作品がYouTubeで公開されている。

    The Nilgiri Mountain Railway (YouTube)

    植民地時代にヒルステーションとして開発されたウーティーへの往来、そこに至る途中にある茶園から茶葉を輸送するなどの目的で開通したこの鉄道にて、1世紀に渡り世代を継いで奉職してきた人たちがいるのは、まさにこうしたヘリテージな鉄道らしいところだろう。今も英国の香りがほのかに残るヒルステーションのウーティーと同様に、それを感じさせてくれるのがこのトイトレインによるウーティーへの往復だ。

    高地にあり、冷涼な気候に恵まれた山岳地であるがゆえに、ひとたび天気が崩れると豪雨となることも少なくない。海洋地域から押し寄せる雨雲をブロックすることになるので、多雨となる宿命がある。崩れやすい斜面を走る鉄道だけに、列車が不通となることもしばしばあるのはいたしかたない。そうした運休時には、鉄道駅は眠ったように静かになるいっぽう、大忙しとなるのが保線関係技師や労働者たちだ。

    車両整備の現場には、この路線初の女性整備士が男性ばかりの職場で額に汗して働いている。娘がわずか生後1週間のときに異動の辞令が出たため、夫とその実家に赤ん坊の世話を頼んでここに赴任してきたという。インドの鉄道職員に産休や育休などの制度があるのかどうか知らないが、業務面ばかりではなく、生活の面でも様々な苦労を抱えている人たちは少なくないことだろう。

    趣のある機関車をはじめとする車両や駅だけではなく、そこで働く人々にもスポットを当てた、鉄道に対する愛情に溢れた素敵なドキュメンタリー作品である。ぜひご鑑賞をお勧めしたい。

  • 観光公社も分離 アーンドラ・プラデーシュ州とテーランガーナー州

    2014年6月にアーンドラ・プラデーシュ州からテーランガーナー州が分離したが、向こう10年以内はハイデラーバードが両州の首都として機能することになっている。

    その期間以降は、前者、つまりアーンドラ・プラデーシュは自前の州都を築くことが課されており、州が分離したことに続いて大きな負担を抱え込むこととなった。

    今年4月2日に、アーンドラ・プラデーシュ州首相のN.チャンドラバーブー・ナイドゥ氏がアマラワティを新州都とすることを宣言しており、都市機能の建設が急ピッチで進んでいくことになる。

    当然のことながら、州分離により、これまでアーンドラ・プラデーシュ州が運営してきたアーンドラ・プラデーシュ観光公社もふたつに分かれることとなり、テーランガーナー地域においてはテーランガーナー州観光公社がその役割を担うこととなった。

    出自が同じであるため、ふたつの州観光公社のウェブサイトにアクセスしてみると、造りが実によく似通っていることがわかるだろう。
    どちらも24時間体制のチャット機能も用意されており、質問するとすぐに何かしらの返事が返ってくる。もっとも、あまり詳しいことを尋ねても、さほど有益な回答が返ってくることはないようだが、たとえ観光公社の「オフィスアワー時間外」であっても、少なくともコンタクトする先、メールアドレスなり電話番号なりといったベーシックな情報は教えてくれる。このあたりは、民間会社に委託しているのだろうが、それでもITを上手に利用したスマートなサービスだと思う。

    しかしながら、テーランガーナー観光公社のウェブサイトに用意されている送信フォームから幾度か質問のメッセージを送ってみても、返信がなされることはなかった。器は立派になっても、やはり政府観光局というのはこんなものかな、と思ったりもするが、今のようにネットその他に様々な情報が氾濫する時代にあっては、すでに政府による個々の旅客に対する情報提供という業務の存在意義は限りなく薄れているとも言えるだろう。

  • M7.9の強い地震発生 ネパール

    本日4月25日、ネパールで現地時間午前11時41分にM7.9の強い地震が発生。震源地は首都カトマンズ北西81kmの地点であるとされる。すでに多数のメディアで報じられており、首都カトマンズでの建物の損壊等の様子が一部伝えられている。現在も余震が続いている模様。被害の全容が明らかになるにはまだ時間がかかるものと思われるが、今回の地震か甚大な被害を発生させていることが懸念される。
    また、すでにシーズンが始まっているエベレスト近辺でも地震によるものと思われる大規模な雪崩が発生しているという情報もあり、登山方面での被害も同様に心配されるところだ。現在、日本のアルピニスト野口健氏が、いわゆる「エベレスト街道」を移動中の様子がFacebookに綴られているが、この時期にネパールのヒマラヤ地域に滞在している登山関係者は多数あることだろう。
    今後の報道等に注目していきたい。

    RECENT EARTHQUAKES IN NEPAL (Facebook)

    Nepal Battered by 7.9 Earthquake, Tremors Across Northern India (NDTV)

    Live Updates: Massive Earthquake in Nepal Causes Tremors Across India (NDTV)

    Strong earthquake rocks Nepal, damages Kathmandu (BBC NEWS)

  • ナガランド州 女性初の女性オートリクシャー運転手

    先日のパーキスターンのラーホールでの女性による女性のためのオートリクシャーに続き、こちらはインドのナガランド州最大の街、ディマープルにおけるトピック。

    First Woman Auto Driver in Nagaland (Northeast Today)

    社会の様々な分野でよく働くナガ族女性だが、オートリクシャーの運転手となる事例は初であるとのことだ。ラーホールでのそれと異なり、女性客専用というわけではなく、性別に関係なく利用される普通のオートリクシャーだ。

    ナガランド州最大の街が州都コヒマではなく、ディマープルであるのは、山岳地、丘陵地から成る同州で、集落や町は往々にして山や丘の頂上部分を中心に広がる形であるのに対して、ディマープルはこの州でアッサム州境と接するごくわずかな平地部分に位置しており、鉄道や幹線道路が乗り入れる交通の要衝であり、ナガランド州経済の中心地であるからだ。

    そんな環境であること、平地からやってきた「インド人たち」が多いことから、州都コヒマから70km強の距離でしかないにもかかわらず、ここまで降りてくると「インドにやってきた」という印象を受けるほどだ。

    ディマープル市内のオートリクシャーを運転しているのは、大抵は平地のインドから来た人たちということもあり、ナガ族女性運転手によるサービスは、市内を往来する同性のお客からは「機会があれば利用してみたい」と好評を持って迎えられることだろう。ただし、目下、女性運転手はこのToliho Chishiさんのみであるため、なかなか巡り会う機会はないのだが。

  • パーキスターン 女性による女性のためのオートリクシャー

    パーキスターンのラーホール初の女性による女性のためのオートリクシャーのサービスが開始された。同地で環境NPOを運営する女性が始めた事業で、現在操業している車両はまだ1台のみ。

    Lahore gets first women-only auto-rickshaw to beat ‘male pests’ (DAWN)

    女性のエンパワーメントを目指すという目的もあるとのことで、これからの発展を期待したい。しかしながら、同国の中ではリベラルな都会ラーホールとはいえ、女性がこの分野に進出するのはインドよりもハードルが高いといえるだろう。

    もちろん女性運転手によるサービスであるがゆえに、女性利用客からの需要は高いことと思われるが、こうしたサービスを始めることよりも、むしろ今後継続していくこと、そしてこの事業を拡大していることについて、さらに大きな困難が待ち受けているのかもしれない。この「Pink Rickshaw」の今後の展開について、続報をウォッチングしていきたいと思う。

    ラーホール初のこの事例は、パーキスターン初というわけではないようだ。DAWNにこういう記事もある。

    Wajiha, the rickshaw driver (DAWN)

    上記リンク中にあるように、ラーホールのPink Rickshawのような前向きなものではなく、身体が不自由になった父に代わって、わずか11歳の娘が運転するという悲しい話である。せめて何か危険な目に遭わないようにと祈るしかないのがもどかしい。

  • W杯アジア二次予選 アフガニスタン代表

    サッカーのワールドカップのアジア二次予選の組み合わせが決定した。

    日本、シリアなどと同組…サッカーW杯2次予選 (YOMIURI ONLINE)

    非常に有利なグループ(日本・シリア・アフガニスタン・カンボジア・シンガポール)に入ったとメディアで取り上げられているが、そのとおりだろう。また、個人的には組み合わせはともかく、アフガニスタンと一緒のグループに入ったことについて興味深く感じている。

    2011年にアジアカップ一次リーグでシリアと対戦して、2-1と日本が苦戦した相手シリアはともかく、まったくノーマークのアフガニスタンに注目したい。FIFAランキングのシリア126位と同じく、アフガニスタンの135位はどちらも苦しい国情のためもあり、国際試合の機会が希薄であることからくるもので、実力を反映したものとは言えない。

    南アジアで開催された国際大会やアフガニスタン国内リーグなどをネット中継で観戦したことがあるが、南アジアサッカー連盟加盟の8か国(アフガニスタン、インド、スリランカ、ネパール、パーキスターン、バーングラーデーシュ、ブータン、モルジヴ)の中で、アフガニスタンは一線を画す存在だ。

    南アジア選手権においては、2011年大会に大躍進を見せて準優勝、続く2013年大会では見事優勝している。この大会の決勝戦で対戦したのは、2011年大会と同じくインド代表であったが、2-0でこれを下した。ちなみにこのときのインド代表には、日本で生まれ育った日系インド人(父親がインド人、母親は日本人)のMFプレーヤー、和泉新(いずみあらた)選手が出場していた。アルビレックス新潟のサテライト(シンガポールのSリーグ加盟)でプレーしていた選手だが、日本のアマチュアチームを経て、インドのIリーグの名門イーストベンガルに加入後、同じくIリーグのマヒンドラ・ユナイテッドFC、そして現在はプネーFCでプレーしている。

    さて、長年国内リーグを安定的に運営してきたインドをはじめとする国々が出場する大会で、これまでサッカーのインフラもなく、復興に向けてゆっくりと歩みを重ねつつある国の代表が制するというのは尋常ではないが、実はそれには訳がある。

    アフガニスタン国内を横断するトップリーグ「ローシャン・アフガン・プレミアリーグ」は2012年に始まったばかり。それでいながら、報酬を得てプレーする「プロ」選手も少なくない。現状はよく判らないが、少なくとも発足当時、選手たちは年契約ではなく、試合ごとに「日払い」で報酬を受け取るというのが普通であったようだ。もちろん勝敗や個々の活躍ぶりによって受け取る額は変動したのだろう。

    しかしながら、国内リーグの惨状とは裏腹に、海外のクラブにて活躍中で、母国の代表に招集される選手たちの存在と彼らのポテンシャルの傑出した高さがあるのがアフガニスタン代表の特異なところだ。代表選手たちの半数ほどは欧州を中心とする様々な国々のクラブでプレーしており、国外生まれの者も少なくない。

    よって、スタメンで出てくる主力は海外仕込みの選手たちとなるであろうことから、日本が相手にする相手の大半は、本格的なサッカー環境とはほど遠いところで育った「アフガンの地場産の選手たち」ではなく、外国の2部や3部のクラブに所属とはいえ、紛れもない「本場仕込みのプレーヤーたち」であることを念頭に置く必要があり、他の南アジアサッカー連盟に加盟している国々の代表とは格が違うのは当然ということになる。

    地域では突出しているとはいえ、日本代表が圧倒されるケースは想像しにくいが、「意外にいいサッカーをする!」と評価される可能性があるアフガニスタン代表だ。国内が安定して成長が見込めるようになると、今後さらに急伸していく可能性もある。

    アジア二次予選では、ホーム&アウェイ方式で二試合ずつ、合計8試合行われることになるが、情勢が緊迫しているシリアもさることながら、果たして首都カーブル(「カブール」という表記がメディア等で見られるが、ペルシャ文字で「کابل」と綴るので、「カーブル」が適切)で今年9月8日に予定されているゲームが実現できるのか、第三国での開催となるのかについても注目したい。

    安全確保が最優先であるのは当然だが、関係者たちの努力により、カーブルでのアフガニスタン代表のホームゲームが開催されるとなれば、アフガニスタンサッカー界にとって歴史的な快挙となるだけではなく、アフガニスタンのサッカーファン、とりわけ元気な子どもたちへの大きな贈り物にもなる。また、長く続いた内戦でズタズタになった国で、異なる民族の人々が声をひとつにして「私たちの代表」を応援できるということは素晴らしいことだ。

    スポーツが平和のためにできることはいろいろある。勝ち負けだけではない「絆」や「共感」を持つことができることもまた、スポーツの国際大会の大きな意義のひとつだろう。アフガニスタンのサッカーファンにとっては、今や世界的な強豪国の一角となった日本を迎え撃つ「ワールドカップ予選試合」をホームで実現することは、日本がこの二次予選、そして最終予選を制して6度目の本大会に出場する以上に大きな意味のあることだ。勝敗はともかく、これを実現するということは、人々の心に届く、真に勇気ある国際平和貢献となることは言うまでもない。

    はなはだ残念なことであるが、シリアにしても、アフガニスタンにしても、こうした大きなイベントは反政府勢力にとって格好のターゲットとなり得ることは間違いない。スポーツに政治を持ち込むことなく、誰もが心ひとつにして自国代表を力いっぱい声援できる環境を造ることは、思想や主義主張を越えて、FIFAや日本とアフガニスタンサッカー協会関係者たちはもちろんのこと、アフガニスタンの行政、治安当局や反政府勢力等々にかかわるすべて大人たちひとりひとりに課せられた責任でもあるとともに、私たち日本人もまた実現に向けて世論を後押ししていくべきだろう。

    アフガニスタンで、後世に語り継がれる「伝説の試合」が現実のものとなることを期待したい。

  • ニュース雑誌 Northeast Today

    インド北東地域の通称「セブン・シスターズ」。アッサム州、アルナーチャル・プラデーシュ州、トリプラー州、ナガランド州、マニプル州、ミゾラム州、メガーラヤ州のことだが、「充分にインドらしさがある」アッサム州とそれ以外の州では様相が大きく異なる。

    地理的には隣接していながらも、民族的にも文化的にも差異が非常に大きく、それぞれ別々の国であるかのようだ。ヒンドゥー教や仏教に取り込まれることがなかった地域さえある。
    北東地域を総括する共通項といえば、「どれもインド共和国に所属している」ということくらいではないだろうか。

    そんな民族のモザイクのような魅力に溢れる北東地域だが、アッサム州を除けば巷にこの地域の情報があまり多くないのは、同州以外は経済的に重要な地位を占めていないという事情はもちろんのこと、人口が少なく、地元マスメディアのインフラが貧弱であることなどがあるだろう。情報発信力が弱いだけではなく、記事の質や信憑性といった面でも、アッサム州を除く北東地域以外とは比較にならないといって間違いない。

    そんな中で、北東インド地域を包括する月刊ニュース雑誌Northeast Todayはなかなか重宝する。アッサム州の州都グワーハティーをベースとするメディアだが、ヨソではあまり話題にもならない「セブン・シスターズ」各地のニュースを精力的に取り上げている。

    興味深いことは他にもある。誌面で取り上げられる中央政界のニュース、対中国その他の国際関係の記事などが、北東地域の視点から書かれていることだ。

    近年は、MAGZTERで定期購読もすることができるようになっているのだから、インド世界も狭くなったと言えるかもしれない。月刊誌であることから、トピックのフレッシュさの面で不利になることは少なくないため、同誌のウェブサイトのほうも併せてチェックしていくといいだろう。