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カテゴリー: politics

  • India Today系列のニュース番組で知るウクライナ情勢

    India Today系列のニュース番組で知るウクライナ情勢

    AAJTAK (ヒンディー語放送)の中継映像から

    ウクライナ危機に関するインドのニュース雑誌「INDIA TODAY」系のニュース専門チャンネルAAJTAKは情報量もあるし速報は迅速だし分析も深い。

    ご存知のとおりインド政府は友好国ロシアへの遠慮から国連の非難決議等は棄権するなど、自国民救出に奔走する一方で、ロシア・ウクライナの二国間の問題であるとして距離を置いているが、それとは裏腹に、民間のニュース番組はロシアへ厳しい批判を展開している。

    同時にウクライナを率いるゼレンスキーへも多少の疑問を呈するとともに、NATOの東方拡大へのロシアの懸念にも、これまたいくばくかの理解を示す部分もあるというスタンスのようだ。置かれている立場も旧ソ連時代からの深い仲でもあることから、ロシアに対する眼差しに異なる部分があるのは、まあ当然かもしれない。

    ロシアへの態度は、もしかしたら世代によっても大きく異なるのかもしれない。ニュースキャスターが原発施設への攻撃を厳しい非難を含めて伝え、原子力関係の識者が「原子炉が無傷であったとしても安心できはしない。電源喪失という事態になれば冷却できない状態で炉が加熱して爆発という事態になる。欧州最大級の原発がそんなことになったら、どうなるのか、想像することすら恐ろしい。なぜこんな愚かなことをするのか」と批判する一方で、年配の軍事評論家はこんなことを口にする。「ソ連時代に建築された発電所なので、ロシアは施設の配置や構造をすべて判っているので問題はない。発電所を占拠すること、原発でさえ躊躇せず襲うということで心理的な圧力をかけているのだ。情報戦の一環でもある」といった具合。

    インドのある程度以上の年代の人たちの間では、今もどこかに旧ソ連やロシアへの信頼感、憧憬のようなものがまだあるとしても不思議ではない。80年代以前、旧ソ連は社会主義の同志で、ポーランドやチェコのように旧ソ連に圧迫された経験もないため、ネガティブな感情を抱きにくいということもある。おまけに国境を接していないので領土問題もなく、旧ソ連時代には様々なレベル・分野での交流も盛ん、インド各地の大きな街にはモスクワに本部があるソビエト専門の書店があった。英語やヒンディー語をはじめとするインドの言語に翻訳された書籍が並んでいた。私もときどきそういう店で「インド人用のソ連書籍」を買ったことがある。同じ時期の日本から見たソ連への感情とは180度異なるものがあったように思う。その頃のインドはいわゆる「消費主義」へ批判的な風潮もあり、当時のソ連と心理的にも親和性は高かったのかもしれないし、彼らの進んだ科学技術への憧れもあったことだろう。

    AAJTAKで特異なのは、複数の特派員を送り、「グラウンド・リポート」として、キエフや郊外の各地から映像とともに情報を伝えていることだ。私たちの世の中の非常時であるとして、日々の放送内容の大半をウクライナ情勢に費やす心意気には打たれるものがある。印パ関係が緊張したときでも、「日々まるまる印パ関係」ということはなかったのに、ウクライナ侵略開始以来ずっと「ほぼまるごとウクライナ危機専門ニュースチャンネル」になっている背景には、この局がこの戦争について大変な危機感と問題意識を持っているからに他ならないだろう。国営放送及び民間放送の他局は通常通りに大半が国内ニュースで、ときどきウクライナ関係の映像が挟まる程度、あるいは脱出先の東欧からインド軍機で帰国したインド人留学生たちを取材する程度であるため、その特異性は際立っている。

    INDIA TODAY (英語放送)

    前述のとおり、AAJTAKはニュースメディアの「India Today」グループの放送局だが、この「India Today」名の英語放送も運営しており、ほぼ同じ内容のニュースを英語で見ることもできる。インドの多くのニュースチャンネルは、国営放送から民放まで、インターネットでもライブ放送をしている。インドでオンエアしている内容をそのままネットで見ることができるわけだ。日本放送局も同様のサービスをしてくれれば良いのにと思う。日本からの現地レポートが手薄ないっぽうで、国際報道の分野でも台頭するインドからのニュースで、よりわかるウクライナ情勢。ウクライナ情勢に関して、今ぜひ視聴をお勧めしたい。

  • 特集「ヒジャーブ」

    特集「ヒジャーブ」

     

    インディア・トゥデイ3月2日号の特集は「ヒジャーブ」。この下敷きとなっているのは、今月カルナータカ州のある学校で起きた出来事とそれに対する学校の反応がインド国内はおろか、海外でも大きく取り上げられるトピックになっていることがある。

    「私はムスリムなのでムスリムらしい格好で学校に通う」と、ヒジャーブ姿で登校した女子生徒。これを学校側が見咎め注意するも改めないためクラスへの出席を禁止、女子生徒は裁判所に訴え出るという顛末に。校内ではこの生徒に反発する生徒たちがアンチ・ムスリムの行動に出たり、外野の大人たちまで学校近くやSNSなどで騒ぎ立てるという具合になっている。

    これがインド国内でテレビなどでも大きく取り上げられると、BBC、アルジャジーラその他、海外の有力メディアでもカバーされるようになり、かなりホットなトピックになっている。これが目下の「ヒジャーブ論争」であり、これに対応して組まれた特集が今回のものという次第。

    こちらに張ったリンクは「インディアン・エクスプレス」の記事だが、同じインドメディアでも立ち位置が異なるものだと切り口や意見が異なるのはもちろんのことだが、イギリス、フランスなど欧州の報道陣による記事、隣国パキスタンや湾岸諸国の記事などと読みくらべてみると、さらに興味深い。視点や問題とする部分が大きく異なり、カルナータカ州の両者が折り会える着地点はないように思えてくるからだ。

    Amid hijab row, a refrain from a Kerala school: ‘Idea is to be inclusive, that’s what India stands for’(The Indian EXPRESS)

    学校に通う以上、そこの制服を着用することは進学を決めた時点で了解済みのはず。インドにおいても大多数の人たちがそう考えるはずだが、こうして社会問題化する側にはそれなりの意図と目的がある。行動を起こしたのは女子生徒個人であっても、そうさせることを仕向けた大人たちの存在があったのかもしれない。

    さて、カルナータカ州の学校においてムスリムの女子生徒が問題提起した「ヒジャーブ問題」だが、さらに波紋を広げ、ついに死人が出るまでの衝突にまでなっている。学びの場で発生した問題とはいえ、広くコミュナルな緊張を招きかねないトピックなので、1日でも早く収束してもらいたいと願うしかない。

    Security tightened in Karnataka’s Shivamogga after ‘murder’ of Bajrang Dal worker (Hindustan Times)

  • サント・ラヴィダース・ジャヤンティ

    先日、2月16日はサント・ラヴィダース(聖者ラヴィダース)またはグルー・ラヴィダースの記念日。この日がラヴィダースの誕生日であったとされる。ラヴィダースに因みのある施設等で人々が集って祝う。

    ラヴィダースは宗教家としてバクティ運動の中心のひとりとして知られているとともに、社会改革家としての側面もあった。万民の平等を唱えた人であったことから、ダリット層での人気も高い。選挙戦最中のUP州、ウッタラーカンド州、パンジャーブ州で右から左まで、政治家たちがこぞって「ラヴィダース参り」をしている。そんな中でモーディー首相もこのとおり。インドのリーダーたちにとって、こうした参拝はその支持層に対する「あなたたちをいつも気にかけていますよ」という姿勢を示すための大切な行為だ。

    近年のBJPの支持の安定した拡大の背景には、こうしたダリット層や部族層への着実な浸透がある。つまり以前は国民会議派、左派政党、各種地域政党の支持基盤であったところに大きく切り込んでいるからだ。そうした中でそうした旧被差別層の福利拡大にも取り組んでいる。BJPのスローガン「サブ・カー・ヴィカース、サブ・カー・ヴィシュワース、サブ・カー・プラヤース」(みんなの発展、みんなの信頼、みんなの取り組み)はただのお題目ではなく、BJPの本質として支持されるのは当然だろう。これでマイノリティー(ムスリム及びときどきクリスチャンへも)への冷淡な姿勢さえなければ、本当に良いのだが、

    RAVIDAS JAYANTI ‘Very special moments’: PM Modi takes part in ‘Shabad Kirtan’ at Ravidas Mandir in Delhi – Watch (ZEE NEWS)

    しかしながら常々感心するのはパールスィーの人たちの位置取り。外国起源(血筋だけでなく信仰も含めた)のコミュニティー、ムスリムやクリスチャンは冷遇されるいっぽうで、同じく外来というか、信仰だけではなく血筋すら外来の(先祖がイランから移住してきたパールスィーだがパールスィー以外と結婚するとパールスィーではなくなってしまう)パールスィーはBJP政権とも大変相性が良く、インドでいつの時代もインドのどこでも「愛国的コミュニティー」として認識されている。このあたりの世渡りの上手さはさすがである。あたかも10世紀に今のグジャラートのサンジャーンで現地の支配者に定住の希望を申し出たときの誓いが今の時代にも生きているかのようだ。

    (その誓いとは、定住に難色を示す支配者の目の前でミルクいっぱいにミルクを注ぎ、そこにスプーン1杯の砂糖を加えるが、コップからは一滴のミルクもこぼれることはなかった。「かように私たちはこの大地に溶け込み、世の中をを甘くすることを誓います」と述べたという故事のことである。)

  • ダバル・インジャン・サルカール

    現在、UP州とウッタラーカンド州にて、それぞれの州議会選挙戦展開中。こうしたシーンで、近年のBJPがよく口にするのは「ダバル・インジャン・サルカール (Double Engine Government)」。インドの英語ではDoubleは「ダバル」、Engineは「インジャン」と発音される。

    つまり中央政府の「インジャン」と地方政府の「インジャン」がともに連結し、どんどん前進していくというイメージだ。急勾配を上る列車が2連結の機関車に力強く牽引、あるいは先頭で1台の機関車が牽引するとともに、最後尾でもう1両の強力な機関車が押し上げていくイメージだ。

    日本の県よりもインドの州のほうが権限が大きく、場合によっては「違う国」みたいな様相を呈することすらある。たとえば州政権が変わると、いきなり「禁酒法」が施行されて、「ドライ・ステート」になってしまうこともある。

    しかしながら、州政権はあくまでもインド共和国内での地域政権に過ぎず、やはり中央政府の威光は強大。中央政権と関係の良い政党が運営する州政府には、有利な開発プログラムが導入されるいっぽう、折り合いの悪い政党の州政権には、あからさまな嫌がらせがなされることだってないことではない。そんな中で、特にBJP政権だと困るという層の人でなければ、UP州政権を率いるヨーギー・アーディテャナートには好感を持たなくても、中央政権のモーディーと関係が良いし、同じBJPだから「ダバル・インジャン」で経済発展をどしどし進めてくれそうと期待して票を投じる人も多いはず。

    それもこれも、やはり中央でも地方でも、BJPが少なくとも経済発展と民生の向上においては、いい結果を出していることがある。これがBJPよりもマイノリティ(ムスリム)に対してもフェアな態度で臨み、貧困層に属する割合が高いとされるコミュニティには気前よく留保枠を与える国民会議派や社会党だったらどうだろうか。たとえばUP州の人で、マジョリティのヒンドゥーで、とりわけヤーダヴではなく、OBCs(その他後進初階級)でもなく、少数民族や部族ではない人たちにしてみると、中央政府が国民会議派あるいは社会党(社会党は主にUPの地域政党なのだが中央政府に連立ではいるということはあり得る)で、自分の州の政権も社会党という「ダバル・インジャン」が成立したら、とんでもない悪夢だろう。

    形勢からして、どうやらウッタラーカンド州はBJPがそのまま再選されそうだし、UP州においても社会党はある程度の伸びは期待できても、BJPを政権から「引っこ抜いて捨てる」と豪語する社会党の若党首アキレーシュ・ヤーダヴの主張するような結果にはならないように思われる。

    PM Narendra Modi lauds infra projects in Ghaziabad by ‘double-engine’ govt (HINDUSTAN TIMES)

  • PARVAT MALA PLAN (山のネックレス計画)

    2月1日、国会の予算審議中のインドで、モーディー首相が大胆な取り組みを打ち出した。これまで「SWATH BHARAT (CLEAN INDIA)」や「MAKE IN INDIA」等々、人々にわかりやすいキャンペーンを次々に繰り出してきたBJP政権。この「PARVAT MALA(山のネックレス)」については、人口流出が続くヒマラヤ山岳地域で、人々がよその土地に活路を求める必要なく、地元で安心して稼いで暮らしていけるように、地域間のコネクティヴィティーを向上させて経済発展に繋げるというもの。同時に国境地帯のセキュリティ強化も視野に入れている。具体的などのような施策がなされるのかについては、今後のお手並み拝見ということになるが、2022-2023年度予算のひとつの柱となるものだけに、大きな国家プロジェクトとして発進していくことは間違いない。

    Budget 2022 | PM Modi Announces ‘Parvat Mala’ Plan For Hilly Regions On India’s Border To Boost Security PM Modi said that the ‘Parvat Mala’ scheme (REPUBLICWORLD.COM)

    そのプランの中で実施される事業のひとつには、以下リンク先のようロープウェイで地域間を結ぶということも含まれているようだ。

    たしかに山間をバスで走っていても、直線では20KMくらいでも道路は山岳地で迂回を重ねながら続いているため、ずいぶん時間がかかるもの。あるいは山でトレッキングしていても渓谷の反対側斜面に張り付いている「目の前に見える村」は、川を渡る手段がなければ別世界みたいなものだ。

    平地と違って、そうした障害物で幾重にも遮られている地域であるがゆえに、山のこちらと向こうでは違う文化が育まれていたり、極端な場合暮らしている人種まで異なったりする。まさに尾根が世界を遮断しているのだ。

    そんなヒマラヤの複雑な地形は、インドの多様性を支える要素のひとつでもあったわけだが、国民の統合であったり、教育や就労等の機会の公平性であったりという観点からは、やはり障害であって、こうした山岳地域でもコネクティヴィティーの改善については、英国時代も独立後も政府が不断の努力で道路を開通させたり、トンネルを掘ったりと試みてきたわけだが、敢えてモーディー政権がこのように目玉として取り上げるからには、大胆かつ具体的な青写真が、かなり確度の高い勝算のもとで描かれているのだろう。

    BJP政権は「やる」といったら大胆にやる。そしてしつこいほどに推し進めていく。国民から人気が高いのはモーディー自身への高い評価もあるが、BJP政権そのものが国民会議派その他よりもよほど実行力があるからだろう。個人的にはモーディー首相、そしてヒンドゥー至上主義のBJPについては、いろいろ思うところはあるのだが、肝心のガバナンスという面では他党がこれに取って替わることができるとは思えない。もし私がインド国民だったら、あるいはどこかの州民だったら、そんなことからBJPに投票するのだろう。

    インドのニュース雑誌のサーベイで見たが、今月から来月にかけて州議会選挙が実施されるUP州で、前回2017年の選挙のときにはムスリム票の大半は社会党、そして国民会議派にも行ったのだが、それでも約10%のムスリムはBJPに投票していたのだ。今回同様にムスリムの候補を立てないどころか、明らかにムスリムを敵視しているBJPなのに。

    Ropeway connectivity under Centre’s ‘Parvat Mala’ plan brings hope in poll-bound Uttarakhand, may be a game changer in the hills (Firstpost)

    また、「PARVAT MALA PLAN」の中で推し進めていくことになるのだろうが、「VIBRANT VILLAGE PROGRAM」というのも表明している。モーディーがグジャラート州首相だった時代の「VIBRANT GUJARAT」で内外からの投資を積極的に誘致して州の経済成長に大きく貢献したことを彷彿させるが、北部国境地域の村々を振興させようというもの。

    Budget 2022: Transformation Roadmap for Rural India (INVEST INDIA)

    そのいっぽうで、現在選挙戦が進行中のUP州の田舎では、与野党の間で何十年も変わらず「BIJLI, PANI (電気と水)」(の供給、安定的な供給)の約束が繰り返されるという、昔ながらの有様が続いているのが不思議といえば不思議である。

  • UP州議会選挙戦 ブラーフマン層への働きかけ

    先日、ニュース番組Aajtakの中のShwetpatr(白書)というプログラムで、UP州議会選挙に係る興味深いトピックを取り上げていた。同州のブラーフマン層の人たちはBJPの施策にたいへん不満があり、この部分からの支持を吸い上げようと、社会党(SP)、大衆社会党(BSP)といった、前者はヤーダヴとムスリムを中心とする大衆層・貧困層、後者はダリットを中心とする大衆層・貧困層を支持基盤とする政党だが、いずれもブラーフマン層への働きを強めており、この部分は選挙の行方を決めるひとつの要素となりそうとのこと。

    たしかにUP州では1988年のN.D.ティワーリー以降、34年間に渡りひとりもブラーフマンのチームミニスター(CM)は出ていないのは知っている。以下、歴代のUP州のCMのリストだ。

    州政府の幹部人事にも同様の傾向が強いのだという。現在はブラーフマンの登用は珍しくなっており、タークル層が主流を占めているのだとか。現在同州のCM、ヨーギー・アーディティャナートはサンニャースィー、つまり世捨て人なので、本来カーストとは無縁なのだが、彼はもともとタークルの家に生まれている。SPが与党のときにはヤーダヴ、BSPが政権にあったときにはダリット層が大量に登用されているので、やはりこうしたことはあるのだろう。

    「ブラーフマンの貧困層」はあまりクロースアップされることはないのだが、指定カースト、指定部族以外にOBCs(その他後進諸階級)指定により、進学・公部門への就職等でなにがしかの優遇措置が講じられている層と異なり、事実上まったく何の救済もないことからくる不公平感も強い。

    そんな中で進行中のUP州議会選挙で、社会党、大衆社会党といった「貧者救済の社会正義」を政策の柱のひとつとする政党が、「貧しきブラーフマン」からの支持取り付けを試みるという逆説的な現象が進行中。

  • エアインディア 国営航空会社からターター財閥系航空会社へ移行

    エアインディア 国営航空会社からターター財閥系航空会社へ移行

    ついにエアインディアは、国営航空会社としての歴史に幕を閉じ、起業時のターター・グループに戻り、民営航空会社エアインディアへ移行した。

    元々のエアインディア、つまり国際線を主体に操業していたときには、近年ほど深刻な経営状況ではなかったものの、2007年におけるインディアンエアラインスとの合併が大きな苦境を招いた。旧ソヴィエト連邦時代のエアロフロートのごとく、政治理由により存在する不採算路線がとても多かったこと、政治主導の経営であったこともあり、なかなか自助努力いうものは容易ではなかったことと思われる。

    リンク先記事には、今後の機内食その他のアメニティ、接客姿勢等について触れられているが、そのあたりは民営化による変化の本質ではない。今後、広大な路線の整理・統合、アライアンス内での他キャリアとの後半な協力関係の構築、事業所・施設や人員の整理、新たな労使関係の構築等々、さまざまな事柄が粛々と行われていくはずなので、数年のうちにエアインディアはまったく別の評価か与えられるキャリアに変貌することだろう。

    また、ターター・グループがシンガポール航空と合弁で運営しているヴィスターラー航空との関係はどのように位置づけられるのか、このあたりにも注目していきたい。

    Air India handover: See list of in-flight changes as ‘Maharaja’ gets makeover (INDIA TODAY)

     

  • UP州議会選挙報道

    UP州議会選挙報道

    聞け、皆の衆よ

    いまこそ権力への道が開く

    政治の闘争の火蓋が切って落とされた

    そこはウッタルプラデーシュ州

    ・・・という歌で、ニュース番組「Aajtak」のウッタルプラデーシュ(UP)州の選挙関連ニュースが始まる。

    地方選挙とはいえ、人口2億人近い、インド最大の州。いわゆる「ヒンディーベルト」の中心にあり、「UPを制する者はインドを制する」というわけではないが、ここを自党あるいは協力関係にある友党が抑えるか、それとも敵対関係にある勢力に取られるかで、中央政権にとって、国政運営の安定感がずいぶん違ってくる。

    また多極社会のインドにおいて、文化の中心地、核といったものがあちこちに存在しているとはいえ、やはりUPはそうした数多い中心地の中でも特に大きなもののひとつでもある。

    州選挙報道のテーマソングまで作って、選挙自体を日々様々な方面から報道し、スタジオに政党関係者や識者などを集めて討論するほどヒートアップするのが、こうした重要な州の選挙。

    前回選挙で初めてUP州政権党となったBJPが再選されるのか、それともヤータヴとムスリム、その他OBCs(後進諸階級)を票田とする社会党(Smajwadi Party=SP)が返り咲くのか。今回はダリットの女王マーヤーワティー率いる大衆社会党(BSP)の存在感は薄い。

    2月10日から3月7日に渡って、7つのフェイズで投票が実施される。州の有権者たちが下す決断が明らかになるのは最後のフェイズが終了してから。人口2億人の巨大州の行方やいかに?

  • UP州議会選挙 ムスリム候補者はゼロのBJP

    2月から3月にかけて、7つのフェイズで投票が実施されるインドのウッタルプラデーシュ州の州議会選挙の候補者リストが出た。BJPから出馬する候補者たちは総勢105名。候補者の名前からして、ブラーフマン、タークル、カトリーなど、上のカーストの人たちに加えて、ジャートやOBCs(その他後進諸階級)その他いろいろいるようだ。それでも同州で20%を占めるムスリムはひとりも含まれていない。

    この州のチーフミニスター、ヨーギー・アーディティャナートはインタビューで「この州は8割の人々のもの」であると言い放つ。つまり「ムスリム以外の人たち」という意味だ。BJPのムスリム候補者ゼロは、今回のUP州議会選に限ったことではないが、典型的な「アイデンティティ・ポリティクス」がここにある。

    BJP所属の国会議員で、わずかながらムスリムの代議士もおり、インド国会のラージャ・サバー(上院)議員のサイード・ザファル・イスラーム(BJP所属)はその好例だが、やはり一般に期待されるムスリム議員とは異なる役回りのようだ。

    現在州与党のBJPだがゴーラクブルを本拠地とするチーフミニスター、ヨーギー・アーディティャナートは、他の選挙区から出ることになるかもしれないという観測があったが、結局同じところから出るようだ。彼はゴーラクプルにあるゴーラクナート寺院の高僧でもある。

    UP Election 2022: Complete List of BJP Candidates (india.com)

  • スワーミー・プラサード・マウリャーのBJP脱退

    今年2月から3月にかけて行われるUP州議会選挙を前にして、同州BJP重鎮、州政府の閣僚ポスト経験者のスワーミー・プラサード・マウリャがBJPを脱退して社会党に入る模様というニュース見て仰天。昨夕のAajtakでは本人へのインタビューも実施されていて興味深かった。
    かつてはマヤワティの大衆社会党、そしてBJPへと鞍替えして今度は社会党。いつも「勝ち馬に乗る」人なので、もしかしたら今回は社会党政権復活か?という観測も一部で出ている。
    マウリャは下層出身でヒンドゥーからの改宗仏教徒。いわゆるネオブディストだ。
    BJPではこの社会層を代表する存在で、彼が抜けると同州の被抑圧層からの支持とアピールには弱いBJPにとっては大きな打撃である。

    Will join Samajwadi Party on January 14, says Swami Prasad Maurya day after quitting UP Cabinet (THE ECONOMIC TIMES)

  • ミッショナリーズ・オヴ・チャリティー(神の愛の宣教者会)とBJP

    世俗主義、マイノリティー擁護のトリナムール・コングレス政権の西ベンガル州から、ヒンドゥー保守派からの支持取り付けを企図する中央政権党BJPの試み。最終的にミッショナリーズ・オヴ・チャリティーが支援を受け取ることを認めたものの、おそらくBJPとしては、一定の効果を得た感触があったに違いない。目的はマザーテレサの団体の息の根を止めることではなく、「問題提起して大衆を啓蒙する」ことなので、知名度の高いこの団体を攻撃してみせることについて、よくよくプランを練ったうえでのアクションだったはず。このあたりの宣伝活動は、いつも彼らは巧みだ。

    来月には北部の重要な州、UP州の州議会選挙もあることから、こうしたマイノリティーへの牽制や対立する陣営や勢力へのリードパンチは、手を替え品を替え続くのだろう。先日、UP州のチーフミニスターのヨーギー・アーディティヤナートの演説をAajtakのニュース番組で見たが、「州内の8割(ヒンドゥー、ジェイン、スィクなど)の人たちが支持してくれれば良い。残りの2割(ムスリム等のマイノリティー)はどうせあちら側(世俗主義政党や左翼政党など)に投票するのだから。ここは我ら8割のためのUP州だ」というようなことを平気で言い放っていた。典型的なアイデンティティ・ポリティクスである。

    長らく世俗主義、融和的、左派支持であった西ベンガル州で、そういう層を掘り起こして、拡大して、大きなうねりを起こしてUP州のようにしたい、というのがBJPの狙いであり、同時にこれから選挙のシーズンに入るUP州でもマイノリティーへの警戒感を高めて、支持層の結束を図るという目的があるはずだ。

    しかしながら中道左派、世俗主義の国民会議派に較べて、BJPは比較的クリーンであること、統治の効率性も経済や治安対策もよほどしっかりしており、少なくとも彼らの側に立つマジョリティの有権者にとっては、コミュナルな問題を内包しつつも、BJPこそが「間違いのないベターな選択肢」でもある。彼らに拮抗する世俗勢力が見当たらないのが、今のインド政界のトレンドであると言える。

    マザー・テレサ団体に一転許可 外国からの支援受け取り―印 (JIJI.COM)

  • Coronavirus LIVE

    現在「第3波」に見舞われているインド。以下のURLには同国におけるコロナ関係の記事が順次アップデートされているが、1月22日18:19(IST)時点では、直近の24時間で20万人近くの人々が感染したことが伝えられている。インドにおけるデルタ株による「第2波」では、1日で40万人を超える感染者数を記録していたインドだが、今回はこれを軽く超えることになるかもしれない勢いだ。

    昨年末までは、国内でオミクロン株による感染は伝えられていたものの、同国のメディアは遠からず第3波が来るであろうことを警告しつつも、「現在までのところ大きな感染の波が起きる予兆はない」としていたのだが、年が明けると一気に拡大している。このあたりは日本のそれと似ているとも言える。デルタ株の3倍とも言われる強力な感染力と、感染してから概ね3日半くらいで発症するという潜伏期間の短さ、加えて感染者のうち3割程度の人たちは無症状のままで気付かないまま通常通りに仕事をしたり、生活したりしているため、知らずに感染を広めてしまうということも背景にあるようだ。

    デルタの頃に較べて救いと言えるのは、重症化する割合が低いとされることで、まさにこれがゆえに、インドでもそうだが、日本でもこれほどの速度で爆発的に広がっている割には、社会にあまり緊張が感じられないのかもしれない。

    欧州では、今後6~8週間ほどで、域内の人口の半数程度が感染する見込みとも伝えられている。ブースター接種の効果と併せて、膨大な人口が免疫を獲得することとなり、同時進行で治療薬も普及していくことから、まず米国やEUなどが新型コロナへの感染症指定をインフルエンザ同様のレベルに落とし、その周辺地域や日本その他の国々も追従することにより、それぞれの国・地域における新型コロナ対応策の緩和、国境を越えた活発な往来の再開へと繋がり、コロナ禍の収束へと向かうことだろう。

    もちろん新型コロナウイルスが雲霧散消することはないので、「終息」ではなく「収束」で、ときおり地域的に流行が拡大したり、落ち着いたりを繰り返しながら、ちょうど季節性のインフルエンザがそうであるように、「いつものこと」として、今後の私たちは対峙していくことになるのだろうか。

    Coronavirus LIVE: Data suggests reduced risk of hospitalisation for Omicron compared to Delta, says health ministry (INDIA TODAY)