NASAテスト No.1の怪

 先日、U.P.州に住む少年ソウラブ・スィン君がNASAのISD(International Scientist Discovery) Examinationで20万人中トップに入ったという快挙が報じられていた。
 この試験は、アブドル・カラム大統領が1960年に7位、一昨年1月にスペースシャトル着陸直前に起きた事故で亡くなったカルパナー・チャウラーさんが1988年に21位であったという。
 あるメディアのウェブサイトには「Aeronautics-A++; Physical Chemistry-A++; Organic Chemistry-A++; Magnetism-A++. Then the horror. He scored a mere A+ for Electronics」という試験のスコアまで記されていた。
 そしてインディア・トゥデイ2月28日号には、ソウラブ君は歴代の第1位の栄冠に輝いた者の中で最年少の15才であり、今年末から1年間勉学のためにNASAへ招待される予定であると書かれていたのだが・・・


 しかし今週水曜日(2月23日)にこの快挙を受けてアブドゥル・カラム大統領が本人と会見する直前に突然疑惑が持ち上がった。「試験そのものが実在しない」というものであり、会見はもちろんキャンセルとなった。同日には続いてマンモーハン・スィン首相との面談も予定されており、あやうくインド政界トップの面目丸つぶれになるところであった。(国家を代表する人たちからの祝福が予定されていたこと自体大失態だが)
 ちなみに「7位に入った」ということになっているカラム大統領自身はその試験を受験したことを否定しており、NASAの報道担当官も「そんな試験聞いたこともない」発言している。
ソウラブ君に対してU.P.州のムラーヤム・スィン・ヤーダヴ首相から50万ルピーの祝い金が授与されることも決まっていたが、当然これもキャンセルされた。
 しかしどうしてこういうことになったのか?当のソウラブ君の身内は「政府のお金でロンドンへ試験を受けに行った」「NASAによる証書もあるし、カラム大統領からお祝いのメッセージも受け取っている」と主張しているようだが、なんだかよくわからない。
 メディアによっては彼の年齢が15才だったり17才だったりとまちまちなのはまだしも、具体的に報じられていた「快挙」がすべて虚報であったとすれば、いったいどこから何を目的に出された情報だったのか。いくらなんでも少年がたまたま思いついた冗談をメディア各社が裏をとることなくそのまま世間に流してしまい、この騒ぎに発展してしまったなんてことはないと思うのだが。
 大手各社も今回のニュースを競って流しており、この顛末によってインドマスコミ(これを真に受けて報じてしまった海外メディアもあるが)の威信と信頼が大きく傷つけられたことは間違いない。

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