インドの新しい顔

マンモーハン・スィン新首相 / photo by rediff.com
 すったもんだの末、ようやくインドの新しい首相が決まった。インドの新しい顔となったマンモーハン・スィン氏は、1990年代初めに国民会議派=ナラシマ・ラオ政権で財務大臣を担当。91年の経済危機を乗り越えて、その後の成長へと続く改革の道を切り拓いた。当時のラオ首相の最大の功績は、彼をこのポストに起用したことだとまで言われる。
 1932年、現在パキスタン領内にあるパンジャーブ州西部生まれ。パンジャーブ大学、オックスフォード大学、ケンブリッジ両大学で学んだ後、国内いくつかの大学で教えた経済学者であるとともに、中央銀行総裁をしていたこともある。
 パキスタンのムシャラフ大統領(インドのデリー生まれ)とともに、南アジアの両大国のリーダーの生まれ故郷は、そろって国境の反対側ということになる。このふたつの国の血のつながりの濃さを象徴しているようだ。
 マンモーハン・スィン氏はインドで初めてのスィク教徒(非ヒンドゥー教徒としても最初)の首相でもある。彼によって「名前の綴りにRが含まれる人物は首相になれない」という謎めいたジンクスは破られた。
 過去のインド首相で、自身がこれほど経済に明るい人物がいただろうか。どこから見ても異色な新リーダー。会議派政府を閣外協力する左派との関係の舵取りが難しいと思われるが、今後の手腕に多くの人びとが期待しているに違いない。

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